【2017年1月のトピックス➂】
▲ジュリアンの花。花言葉は青春の喜びと悲しみです。稀勢の里関のここまでの人生を表現するひとつです。これからは大人として心・技・体の成熟に向かわれるのでしょう。
稀勢の里関の父上の親心に共感する
■いやあ良かった。贔屓の大関稀勢の里関の初優勝と横綱昇進を可能にする14勝1敗の好成績。白鵬の巧みな手抜き相撲というか負けてやってもよいという強引な攻めを凌いでの勝利。完勝とはいきませんが(高安が白鵬に勝った相撲は完勝でした)勝ちは価値ある1勝でした。
●前日も白鵬が貴ノ岩にふがいない負け方をしたので気になっていました。それまで4日間は従来の強さを発揮していたのですが、突然のダメ相撲です。空気を読み過ぎではないかと思います。千秋楽に優勝決定という状況にもっていってもらいたかったですね。(ここまでは私の推測です‐笑)
●14日目に稀勢の里の優勝が決まり少し私の高揚感は下がりました。それでも千秋楽にネット検索をしていたら稀勢の里の父上の手記が掲載されていました。内容も文章もとても素晴らしいと思いました。
●初優勝を祝福しながらも横綱昇進が確実になったことを受けて、おめでとうと言いながらもこれからのことを思うと気の毒だという本音。愛情に満ちた親心に稀勢の里関は幸せ者です。ですがやるのは本人です。父上の愛情を糧に自分の道を自分で切り開いてもらいたいものです。以下、父上の手記を転載しておきます。ぜひ読んでみてください。
■◇稀勢の里初V【スポニチの記事から】
稀勢の里の父、萩原貞彦さん(71)は優勝を決めた瞬間を茨城県牛久市の実家で迎えた。野球少年だった長男が角界入りした後もアドバイスを送り続けた相撲好きの父は、大きな壁を乗り越えた自慢の息子へさらなる精進を期して、スポニチ本紙への手記に思いを込めた。
まずは先代鳴戸親方に感謝しなければなりません。草葉の陰でさぞかし喜んでくれているのが目に浮かびます。厳しい教えと薫陶を受け、そのことをしっかり受けとめ精進してきました。本当にありがとうございました。
今までの相撲人生を振り返ると順調過ぎるほど順調に来ていたと思います。周りからは幕内に入ってから伸びは鈍化し、足踏みが多かったのではないかという声が聞かれますが、関取以上は幕下以下に比べれば密度は濃く、また、三役以上はさらに密度が濃く大関ならばなおさらです。
密度の度合いを幕下以下に置き換えれば幕内に入ってからの伸長率は決して鈍ったのではなく、一歩ずつではありますが順調に来たのではないかと思っています。
よく引き合いに出ますが「上に上がるときは一気に上り詰めるもの」。歴代横綱の多くはそうであったという声が多いが「とんとん拍子の出世」はまれな例であると思います。
また、現在本人を取り巻く環境は過去の環境とは比べようもないぐらい大変な時代ではないでしょうか。戦後復興のハングリーな日本と同じ環境のモンゴル勢と、相撲史上最強と思われる白鵬が君臨し、大いに盾になっています。そういう中で日本勢対外国勢という構図が出来上がり、日本代表として日本人ファンまた関係者の期待を一身に受け、中学を卒業して相撲しか知らない純粋培養の本人にすれば病気になるぐらいの重圧を感じていました。こういった環境の中で非常によくやったと思っています。私としては大関のままでケガなく病気にならない体づくりを第一に考え、好きな相撲を長くやってもらうのが念願でした。しかしそれではお世話になった人、世間が許してはくれません。
現在の閉塞(へいそく)した時代、日本人としての気概に乏しくなった時代に伝統文化、様式美を具現化した相撲は、相撲を通じて礼儀、作法、道徳等の日本の良さを見直し、知らしめるという義務使命があるのではないでしょうか。
また、上に上り詰めたときは自分もしくは家族のためということから手を離れて、国家のため日本の伝統文化に気概を持って伝承しなければなりません。
さて、これからが大変です。今まで以上に稽古をこなし、自分を律し、より勉強して名実ともに誰からも模範になるような立派な人間になるよう努力しなければなりません。
そういった意味で「おめでとう」と言うよりはこれからはなお一層頑張らなきゃいけないと思うと気の毒になったというのが本音です。【ここまで転載】
■千秋楽は国技館で奥様共々観戦されていました。71歳とは思えないほど若々しい姿でした。母上は泣いておられましたが父上は終始泰然自若とされています。手記と実際の姿のイメージが一致する方でしたね。顔は稀勢の里関によく似ています。<完>
- 登録日時
- 2017/01/23(月) 14:56