【2017年2月のトピックス②】
▲「相棒」の劇場公開版の脚本も太田愛さんなのですね。映画館には行けそうにないのでBDになれば観てみようと思います。
写真は知人から送っていただいた【霧氷】です。今から50年前の歌謡曲、橋幸夫さんが歌ったレコード大賞曲が思い出されます。叶わなかった男の恋心が歌われています。(宮川哲夫作詞、利根一郎作曲)最近BS朝日の「人生歌がある」で、橋さんが五木ひろしとデュエットしていました。橋幸夫は衰えずの声です。
事実の使い方<その2>
■さてテーマである「事実」について整理してみましょう。私の場合は自分のフォーマットで思考する習慣があります。それは①言葉の意味(もしくは定義)を明らかにする。②そのことのねらい(目的)は何かを考える。➂それを得る、あるいは使うための手段・方法を考える。④事例、もしくは注意点を提示する。というものです。
■以下このフォーマットの手順に従って進めていきます。まず「事実」ということの言葉の意味ですがネット検索で確認してみました。事実とは【本当にあった事柄、現実に存在する事柄】というのが気に入りました。
●他にも「実際にあった」と多くの人が認められる事柄、客観的に認められる事柄とあります。また調査や実験で必ず確認できることともありました。
●まとめると『現実に起こっていることで客観性があること』だと言えるでしょう。(読者の皆様は独自に意味づけをしてみてください)
■次に何のために「事実」把握を行うのか、そのねらい(目的)について考えましょう。故伊櫻先生の教えは「事実を掴んでから考える方が良い知恵が出る」というものでした。私は若き日にこの言葉に大いに共鳴したものです。
●医者は事実把握(検査など)して診断(病気のポイントを掴む)してから処方箋(対策)を行います。ポイントが十分につかめず経験則から対策を講じることもあるでしょう。ですが事実把握(検査)は必ず行います。それは最適な処方箋を出すためです。
●刑事が活躍するドラマを観ていると、犯人を突き止めるために捜査=事実把握を行います。それから犯人を推定し、証拠を固めて行ってから逮捕です。
●私たちの仕事でも、通常のオペレーション時にはミスをしないように正確に繰り返すとか、決められたことをそのとおり行うことがメインになります。ですがひとたび問題が発生すると原因を特定するために事実把握から始めます。それは正しい対策を打ち出すためです。
●事実を把握するためのねらいは正しい手段、良い手段を生み出すことにあります。ねらい(目的)はこれで良いでしょう。この段階ではねらいを良い成果を出すためとしない方が良いでしょう。なぜなら実務的には良い成果に結びつけるには手段の見直しが必要になることがあります。その場合事実を見直すこともあるからです。
■事実を把握してから考えた方が良い知恵が出る、良い手段を生み出すことが可能になることは分かりましたね。ではそれをどのような手段・方法で行うのかをまとめておきましょう。
●事実を把握するには自分で現地、現場、現品を確認することだというのはすぐにわかりますね。ですが自分でその場に行けない場合はどうするかという課題が生じます。
●その場合は現地、現場、現品を確かめた人から報告を受けるということになります。その時に重要になるのが「事実と真実の違い」と「事実と意見の違い」を見極めることです。
●「事実と真実」はどのように違うのでしょうか?事実は「現実に起こっていることで客観性のある事」と意味づけました。では真実とは…、「嘘偽りのない本当のこと」ですね。事実は客観性のあることですが、真実は人それぞれに考える本当のこと(事実)で、主観的なものです。
●安倍総理とトランプ大統領がゴルフをしたというのは事実ですが、それぞれに何を得たかというのはそれぞれの思惑によるもので、それがゴルフ会談の真実ということになります。事実は1つですが、真実は複数あると言えるでしょう。
●ですから事実を把握するということは、客観性のあるできごとをあるがままに知るとともに、その奥にある真実まで踏み込んで確かめないと良い知恵(手段の創出)にはつながりません。
●自分で現地、現場、現品を確かめた時は、謙虚で先入観がなければ事実及び真実に近づくことができやすいでしょう。ですが間接的に報告やデータに頼る時は起こった事実のみならずその真実に近づくための質問や思考が必要です。
●では「事実と意見」はどのように違うのでしょうか?事実の意味付けを少し補強しましょう。事実は調査や実験で必ず確認できること。STAP細胞事件を思い出しますね。小保方晴子さんの「STAP細胞はあります」「私は何回も再現しました」は小保方さんの意見です。事実は調査や実験で証明されませんでした。
●意見は自分の判断や自分の考えです。自分で直接事実を見る時も自分の経験からくる思い込みで事実を見ないことが必要ですが、人から事実報告を受ける時には、事実と報告者の意見を見極めて聴く必要があります。
●ビジネスでは「お客さんはいっぱい来ていました」。「競合店より値段が高いようです」。「品切れがひどいようです」。「集金に行っても留守が多いんです」。「部品の入荷が遅れています」などの情報は必ずしも事実を伝えているとはいえません。
●形容詞を使った言葉はその人の意見である場合が多いのです。これを正しく事実を把握するには、5W2Hで質問しながら事実と意見を聴き分ける必要があります。(5W2Hについては別途稿をあらためましょう→これも私は仕事の基本の基本だと思っています)。
●私たちの多くは、事実をありのまま素直に見ることは苦手です。経験が豊富であればあるほど自分の見方(思い込み)にとらわれます。また即座に自分の意見で解釈しようとします。それはなぜか、うまく説明はできません。
●研究的態度(科学的態度)は訓練されないと身につかないのかもしれません。子供のころは素直であっても成人するにしたがって自我が確立され、功名心や自尊心が強くなるからかもしれませんね。
●「俺は知っている」「そんなことはない」「○○○だよ」とすぐ答え、対策を出す。思い当たることはないでしょうか?自分自身、周りの関係する人々の言動を思い出してみてください。
■最後に事例や注意点で考えることでしたね。特に注意点をしっかり知っておく必要があります。①「原文改定を排す」については前回述べました。②事実に対して「人は自分が見たいように観る」ユリウス・カエサルとあるように事実をありのまま見ることは難しいということ。➂人はしばしば自分の先入観に支配されて事実を見てしまう。
●④事実で争うと人間関係は壊れやすい、仕事関係にこそ有効である。⑤研究的態度(科学的ともいえる)では事実から始めよ言うが、P・Fドラッカーは意見からスタートせよという。調査や実験では確認できないこともある、つまり仮説を立てることの方が飛躍的な成果をあげることがあるなどです。
●➂の先入観(思い込み)によって失敗したという事例がネットで出ていましたので紹介します。それはプロ野球元西武の大久保二軍コーチの体験談の反省記事です。以下抜粋して掲載します。
●大久保氏は2010年、西武の2軍打撃コーチに就任。その年にドラフト1位で入団した菊池雄星投手に暴行を働いたとして謹慎処分に。後に球団を解雇された。
その当時を「まだ若かったし、自分の指導が正しいと思い込んでいた」と語った大久保氏。菊池に対して「お前のやってることは悪い」と告げたとし、「噂だけで雄星を責めた」という。このことは「僕の最低なミス」だったと振り返った。
西武との裁判では、「俺の指導は正しかったっていうのを見せたい」と自身の主張を通すつもりで臨んだものの、裁判が進むにつれ、自分に非があったことが分かり始めたという。「喧嘩している相手の方が俺のこと分かってる。俺は何をやってんだろう」と思い始め、「あれは100%、僕が悪い」という気持ちになったと明かした。
●人の噂を信じ、事実を確かめもしないで部下を攻めて、挙句の果て自分の感情をコントロールできず手を出す(暴力)。他山の石としましょう。しかし大久保さんは高い授業料を払ったのでしょうが、結果としては良い経験をされたことになります。
●④事実で争うと人間関係は壊れやすい、仕事関係にこそ有効である。と、故伊櫻先生も最初におっしゃっていました。対象は人を責めることではなく仕事関係を対象にしようと。私たちは他人や自分を責めることで良い成果を生み出すことはありません。
●人間関係を改善するなどということに「事実はもろい」のです。人はそれほど自分の考え、意見にこだわる動物だからですね。論理より感情が優先する人が多いのです。(これは私の意見です)(笑)。裁判沙汰になる時以外事実は無力です。裁判をするのなら事実の力は非常に重要ですが、通常の人間関係の改善には「止めておいた方が良いでしょう」。
●また少し長くなりました。もう一回ドラッカーの言う「事実より仮説から始める」についてまとめてみます。<以下その3に続く>
- 登録日時
- 2017/02/15(水) 10:53