今月読んだ本 きほんからわかる「モチベーション」理論
08年6月発行 池田光〔編著〕+NTTラーニングシステムズ㈱栗原晴生、滝本泰士、永屋義行[著] イースト・プレス
■北京オリンピックまで1ヶ月を切りました。出場が決まった選手は本番での好成績をめざして、出られない選手に比べてモチベーションは高いでしょう。
プロ野球の阪神タイガースの選手たちは横浜ベイスターズの選手たちに比べて、優勝へのモチベーションは高いでしょう。
■仕事においても、やりたいことであろうとやらなくてはならないことであろうと、目標と期限が明確になっていてそれが成果に貢献することならモチベーションは高くなるでしょう。一方、やりたいことであってもそれが成果や報酬に結びつかなかったり、期限が曖昧だとモチベーションは低くなります。
■先般の秋葉原事件のように、自分の人生が自分の思うようにならなかったら
マイナスのモチベーションとなってエネルギーを発散してしまうのも人間です。モチベーションとはかように人間の行動を促進する要因は何なのかと研究された旧くして新しいテーマだと思います。
■自分自身はともかく自分にかかわりのある人々のモチベーションに貢献しようと思っても、その基本的な考え方ややり方を学ぶ機会は少ないものです。そんな時に古今東西の権威ある人たちが研究されたモチベーション理論の数々をコンパクトに紹介された本書は、忙しいビジネスパーソンにとってたいへんありがたい1冊です。しかも総ページ数が144Pというのも嬉しいですね。それでも内容は濃いですよ。
■本書の本当の目的は、第3部(part3)のケース7「モチベーション持論で自分を勇気づけるには?」にあるのではないでしょうか?
■「持論アプローチ」という視点は神戸大学の金井壽宏教授の紹介ですが、本書でその核心に触れられています。
「本書では11のモチベーション理論が紹介されていますが、そんななかにあって、自分に合ったモチベーション理論を編み出していくことが大切である」と述べられています。
■この章では自分を勇気づけるというテーマで書かれているのですが、私は本書を活用するにあたっての真髄はここにあるのではないかと思います。
■本書の読者は、第1部(part1)を読まれたあとに、この130Pを読まれてから、11の理論にチャレンジされた方が効果的でしょう。そして最後に7つのケースを読みながら思考を深めていただければ、持論を整理してみたり、これから組み立てる手がかりになるのではないかと思います。
■そしてこのテーマの持論化に動機付けられた方は、興味ある理論を本書の参考文献を参考に専門に勉強されることをお薦めいたします。そしてこれまでのご経験、これから出くわす様々な問題解決を通じてご自身の持論づくりに役立てていただければと思います。
■わたしが興味を抱いた理論は「選択理論」と「フロー理論」でした。そして事例編の最後に出てくる「空間マネジメント」です。その理由は自分がよく知らないという知的好奇心からです。
■事例では研修講師もしている関係から事例4と5が大変参考になります。私の中にある問題意識とフィットするからです。本書を参考にこの課題の解決方法を考えていきたいと思います。
■最後に、本書は有益な辞書として使えます。そのために本に見出しのシールを付けられる事をおすすめいたします。11の理論が見出しでわかるようにすればあとで活用がしやすくなります。そして手元にずっと置いていただいていつでも読み返せるようにして下さい。事例集はご自身の体験を通じてオリジナルを記録される事が有益でしょう。
- 登録日時
- 2008/07/09(水) 09:39