▲大卒の就職難を伝える新聞記事(11月17日付け朝日新聞朝刊)です。何とかしてあげねばなりませんね。政治の課題でもありますが個人の課題です。
【今月のトピックス②】
『就活』にマーケティング理論を活用する
● 先月、就職に関する話題で採用側の広告コピーに学ぶというのを書きました。10月の日経MJ誌を処分するために整理をしていましたところ、先月10月25日の「八塩圭子ゼミ」という記事で就活について取り上げられていました。
● 八塩さんは大学の教授ですからこの時期、学生から相談を受けることが多いそうです。そのときの体験から学生達の言動の問題点を提起しながら、解決策としてマーケティングセオリーを応用するように勧められています。
● 例えば、「マーケティングの前提とも言える『事業領域』が定まっていない学生が多い。『何を、誰に、どのように提供するか』を就活に当てはめれば、『どんな業種で、どんな仕事をしたいのか』だ。せめてこの前提は、入れそうかどうかではなく、自分の内なる声とじっくり対話して見つけて欲しい。逆に言えばこれがしたいという確固たる希望がないと就活では勝てない」とおっしゃっています。
● そして次に、状況分析を行なえと。状況分析は受けようとする業界、企業のことと自分の市場価値を把握する必要があるというので、「SWOT分析」の活用を勧められています。
● Sは強み、Wは弱み、Oは機会、Tは脅威ですがこれは簡単ではないでしょう。八塩さんもおっしゃっているようにSとWは出ても、OとTは出にくいし、自分の強みと関連付けて考えるのは容易ではありません。
● そのあとも「S・T・P」や「4P」を使ったマーケティングミックスに進むのがマーケティング戦略立案の流れだとおっしゃいます。そのなかでも強調されているのがP=ポジショニングです。(4PのPではありません)
● 八塩さんは学生時代に体験したこと、身につけたことでキラリと光るものかが問われるという。しかし私は、そういうのは大学に入学したときから教えてあげないと活用は難しいだろうと思いました。
● 私も八塩さんがおっしゃるように自分の就職戦略を立てることは重要だと思います。
八塩さんはコトラーのマーケティング理論をベースに話を展開されていますが、むしろ日本人の経営コンサルタント、佐藤義典さんの「戦略BASⅰCS」の方が使いやすいと思います。(ⅰは記号で意味はありません)<著書は多数あります>その概要は…。
● B=戦場、これを事業領域ととらえ、「どんな業種でどんな仕事をしたい」のかを決めることです。これを決めるには自分でアルバイトをしたり、違う業界で働く仲間から情報収集すべきでしょう。参考書では村上隆氏の「13歳からのハローワーク」などがおススメです。
●そして、めざす企業が「どのような人材を望んでいるのか」を情報収集する必要があります。戦略は自分を確立すると共に、狙う対象の実態とニーズをリサーチするという機能をはずしてはいけません。
● A=独自資源、これは自分の性格、資質、スキルなどを把握することです。性格や資質は診断を使うとよいでしょう。「さあ才能に目覚めよう」で有名な「強み診断」はおすすめです。他にも当社発売の「カラータイプ診断」も使えますよ。あとは「現在、何ができるか」です。例えば車の運転、英会話など。
● 私が重視する就職時に必要なスキルでは、パソコンのリテラシーとコミュニケーションスキルです。ケータイは強いがPCは苦手という女性もまだまだ多いようです。やらなければ身につきません。やれることでしか仕事はできませんから、「一歩踏み出す勇気を」持ちましょう。
●コミュニケーションスキルでは、「たずね・聴く・答える」という方法に磨きをかけましょう。特に意識を相手に向ける努力、そのためには聴くための質問が重要です。そして態度では笑顔が大切。あとは体力ではないでしょうか。
● S=強み、これはAの中からこれは自信があるというものが必要です。自信というのは成功したという経験の積み重ねから生まれるものです。失敗してもそこから何かを学んでいれば自信につながります。ポジティブに考えることが必要です。(これは本当に大切なこころの持ち方の習慣ですよ)
● C=めざす企業を絞り込む。絞り込んだ企業は深く研究することです。通り一遍ではわかりません。製品を出している企業ならそれを販売しているところの状態を見る、販売員に尋ねる、買ってみる、使ってみることです。
● 小売業ならそこのお客になって買物をしながら観察することです。深く掘り下げることです。普通の人が10回体験するなら100回体験することです。10は簡単でも100は難しいからです。量をこなせば質につながる「見方」がわかるようになります。
● 私もアイデアを出す時は、あるテーマについて10個ぐらいは短時間で出ますが、100個となると1ヶ月近くかかります。それも後になるほどとても苦しくなります。しかしそこまでやると他の人とは違ったものに気づくことができます。
● SはSM=セリングメッセージの略です。最近はMと表示されることが多いようです。要は自分の「売り文句」です。強みを言葉にする力が必要です。面接を受ける時に自己をアピールする手段・方法を知っていて「できなければ」伝わりません。
●ポイントは「1分間」で話せることです。練習しましょう。早大の斉藤佑樹投手のように短い言葉で気の利いたコメントをすると相手は感心します。
● いかがでしょう?八塩さんのマーケティング戦略を使うのもよろしいのですが、個人の場合はもう少し絞り込むために戦略BASⅰCS(M)の活用をおすすめいたします。
● ①どこでどういう仕事をしたいのか、②それはなぜなのか(理由を明確にしておく)、③そのために自分には現時点でどのような強みがあるのか(資質面とスキル)、④それを活かす企業はどこなのか、⑤相手のニーズと自分の希望はマッチしそうなのかを把握した上で、⑥自分の強みを効果的(魅力的でも良いでしょう)に伝えるアピール方法を身につけることが、厳しい時代の就活の要諦だと思います。学生のみなさん頑張って下さい!<完>
- 登録日時
- 2010/11/19(金) 10:12