【今月のビジネスクイズ①】
携帯電話ショップの店長さんへ<課題解決クイズ:その2>
■ 新年あけましておめでとうございます。携帯電話ショップの多くは年中無休ですから正月もお仕事だったと思います。お疲れ様でした。小売・サービス業以外の一般の勤め人の方々は昨日ないし今日から仕事始めでしょう。しかし学生さんはまだ冬休みです。しばらくはお客様の数は多いことと思われます。頑張って下さい。
■ 今年も【月刊TSURUSAKI】のページにお越しいただきありがとうございます。時々覘いてみてください。私が見聞したトピックスへの見解、いくつかの提案、店舗拝見・チラシ拝見の見解、本の紹介、そしてビジネスクイズなどのカテゴリーで書いて行きます。今年もどうぞよろしくお願いたします。
■ それでは前回の問題の解答と解説です。前回は1問だけでした。皆様いかがだったでしょうか、考えられましたでしょうか?
● Q1:ある日の日曜日、自店に若い女性、中年のビジネスマン風の男性、お年寄りのご夫婦が来店され、商品展示ゾーンにおられました。そのうち中年の男性は売場を一巡したあと、商品を手にとられるまでもなく立ち去ってしまいました。
この情景を見てあなただったら下記の記述のどれに近い見方をされますか?
□にチェックを入れて、その理由をまとめて下さい。
① □「単なるヒヤカシのお客様か、競合店のチェックか」と思う。
② □ 「気に入ったケータイがなかったのかな、どんなケータイが欲しかったのだろうか」と思う。
③ □ 「せっかく来店してくれたのに、なぜ商品を手にとって吟味しなかったのだろうか」と思う。
【解説】
● クイズですから正解があると思われたでしょう。しかしこの問題には絶対の
正解はございません。
私の答えの評価は3が◎、2は○、1は△です。理由は以下のとおりです。
まず①を選ばれた方、どのような理由を考えつかれたでしょうか?
前提として、もっと早く接客アプローチをして確かめるべきだというご意見も
あろうかと思います。しかし、ここではお客様の動向をしばらく観察していた
ということにして下さい。
● 私は、①では心の中での見切りが早いと思います。相当経験が豊富でいろん
なお客様と接しておられて、かなりの確率でお客様の来店意図を見極められる
ようになっておられるならいいでしょう。そういう人も実際におられます。
● 下見や購入のためでないお客様を見極められることは、同時に来店されてい
る他の有力な見込み客の方に優先的に接客をすることができます。接客のプロ
としては行動観察から見極める術を身につけられるのは必要なことです。
●しかし、それは簡単なことではありませんね。普通はそのような達人は
少ないのではないでしょうか?
そうすると①のように決めつけるのは、接客をして確かめるという
行動につながっていきにくくなります。部下に、来店されたお客様には接客を
して確認をするという指導がおろそかになるでしょう。
● もうひとつ私が△にした理由は、この見方だと「自分の判断に意識が向いて
いて」、相手である「お客様への意識が低い」ということです。商人は常にお客
様へ意識を向けて、その心理を慮り自分の方を変化させるのが仕事です。
この意識を養わないとお客様満足を実現する商売は遠くなります。
● では②を選ばれた方はどのような理由でしょうか?
これも接客さえすればわかることですね。しかし、携帯電話ショップには発売
されている商品は全て揃っているのが基本です。一部の人気機種は「入荷待ち
状態」になることはあります。
● そういう商品の前でPOPを見て出て行かれたなら②のような判断もありえ
るでしょう。そうでないとそこから「次の一手」が生まれません。入荷待ちの機種
が多い状態なら「やっぱり商品が揃っていないからだろう」という判断もでき
ます。
● ただこの店長さんは、お客様への意識があると言えます。「気にいったもの
がなかったのだろうか、どのようなものが欲しかったのだろうか」と思いを
お客様に向ける意識は、商人店長として重要な資質だと思います。
● ではなぜ3番が◎なのか?私と同じ見解の方はいかなる理由を考えつかれたの
でしょうか?
この設問に込めた私の思いは以下のとおりです。
●「せっかく来店していただいた」のに「なぜ手にとっていただけなかったのか」
というお客様への意識があること、「接客を受けなくても触っていただける
ような売場づくり、商品陳列ができていないのでは」という「次の一手」につ
ながる思考をしていることです。
● 店長(マネージャー)の仕事は、【お客様】に対して【売場と商品】と【部下であ
るスタッフ】をマネジメントして店の目標を達成することです。毎月の数値目
標の達成に向かって、その【要因を改善、強化、そして新しい取り組み】を行
なわなければなりません。
● その手段は、頭で考えるだけでは出てきにくいものです。常に現場で観察し、
確かめ、ポイントを掴んでこそ有効な手段が生まれます。その前提になるのが、
【相手に意識を向ける】ことです。自己中心にならないで、相手に意識を向け
ないと有益な情報は入ってきません。
● 店長が接客する意味は、この相手に意識を向ける気持ちを忘れないようにし
て、お客様の生の声を吸収すると共に観察力に磨きをかけるためだと思います。
部下との面談もしかりだと言えるでしょう。
■ では今回のクイズ(問題)です。解説が長くなりましたので今回も1問です。
● Q2:新しく赴任した店の売場の手直しをした2日目のある朝、店内の商品展示ゾーンを
チェックしたところ、一部の商品にプライスカードがついていないことに気づきました。
● このような場合あなただったらどのようなことを思いますか?以下の3つの
中からあなたの考えに最も近いものにチェックを入れて、その理由を考えて下
さい。
①□ なぜプライスカードが付いていないのか、すぐに担当スタッフを呼ん
で確認し付けさせて、以後気をつけるように注意する。
②□ とりあえずプライスカードはすぐ付けさせる。そして、どうして誰も
気づかなかったのだろうか、この売場の手直しは、誰がどのような
分担で、どのように進め、フォローしているのかが気になる。
③□ すぐ対処する。しかし昨日の朝には付いていたから、途中ではずれたのだろう。
すると昨日のお客様で、売価がわからないで買われなかった方がいらっしゃるのでは
ということが気になる。
● 次回は14日(金)です。以降毎週金曜日に掲載の予定です。
- 登録日時
- 2011/01/05(水) 18:44