【今月のビジネスクイズ②】
経営者の仕事:その2
■ まず前回の問題と解答です。対象は経営者や経営幹部の方々でした。読者の中にそういう方はおられましたでしょうか?現在はそのような立場でない方でも将来、既存の組織の中で経営の一翼を担いたい方はぜひ参考にして下さい。勿論、自分で起業をしようという方にも参考になるでしょうが、そういう方には他の要素が重要になることを補足しておきます。
●では問題の振り返りと解答と解説です。
次の言葉は著名なセオドア・レビット教授、ドラッカー教授、伊丹敬之教授がそれぞれの著書で述べられている経営者の仕事(役割)の3つの中からの抜粋です。それぞれ誰の言葉か指摘してください。
● ①われわれの事業の目的は何か?この事業の成果は何か?そのためにどのような強みを活かして何をなすべきかを考え抜くこと。
● ②組織の目的と方向について、自分自身で考えること。
● ③事業のグランドデザイン(戦略と経営システムと人事配置の設計)を行うこと。
A:レビット教授 B:ドラッカー教授 C:伊丹教授
■ 正解は①はBのドラッカー教授 ②はAのレビット教授 ③はCの伊丹教授です。
● ①はドラッカー教授の最後の著書と言われる「ドラッカーの遺言」講談社刊からの抜粋です。この本の第5章と第6章を読まれると良いでしょう。この本の評判は良くないようですが、私にはわかりやすく読みやすいものでした。
●ドラッカー教授は「三つの質問」というところで次のような文を書かれています。
●「経営の本質とは何でしょうか?」― こう問われるたびに、私が問い返す三つの質問があります。
● ①「あなたの事業は何か?何を達成しようとしているのか?何が他の事業と異なるところなのか?」
②あなたの事業の成果を、いかに定義するのか?」
③あなたのコア・コンピタンス(独自の強み)は何か?」
● 以上の三つの質問を一言で言ったのが問題にした言葉です。短い言葉の中に経営の本質を言い表しています。そのことを「考え抜く」とは私の追加ですが間違いないでしょう。
● ②はレビット教授の「有能な経営者」ダイヤモンド社刊からの抜粋です。この本は1998年の刊行ですが、いまも色あせないおススメ本です。「思考」「変化」「実践」の3部から構成されています。全部で170Pの読みやすい内容です。
● 問題の文章だけ読まれると当たり前のように思われますが、この「自分自身で考えること」の意味を読み進めると含蓄のある示唆が得られます。
● 冒頭から「経営者が行なうべき最も大切なことは、単純な問いを投げかけることである。…以下略」その理由を読むだけでなるほどと肯けます。
● そして思考について含蓄のあるメッセージが続きます。例えば「自分で考え抜いて答えを出すということは、実際に重視されている経験という有力な要素に頼らないとうことなのである」
●「われわれがもっとも学べるのは、経験からではなく、悪い経験からだからである」と成功体験に依存することの危険性を戒めています。
● 経営者が仕事に持ち込む最も危険なものは、経験に基づく知恵である」等々。
第1部の「思考」編では他にも「自分自身で考えること」の意味とヒントがちりばめられています。
● ③は伊丹教授の「よき経営者の姿」日本経済新聞社刊から、経営者の3つの役割の中の「設計者」からの抜粋です。
●「経営者の第3の役割は、設計者としての役割である。企業のグランドデザインの提示者、と表現してもよい。」「企業のグランドデザインは2つのパートからなる。ひとつは戦略の設計図でありもうひとつは経営システムと人の配置の基本設計だと考えてよい。」
●「グランドデザインとは基本設計であり構造設計である。決してディティール設計ではなくプロセス設計でもない。大きな枠組みを提示するのが経営者の仕事で、その中身をつめる仕事は部下にやってもらう方が良い。」
伊丹教授の視野の広さがうかがえる内容です。
● 以上、それぞれの教授がおよそ3つずつに分けて提示されている経営者の仕事の中からひとつずつを選んで問題としましたものです。では他の項目は何だったのか気になるところですね。そこでもう一回同じ教授たちの言葉を推測してみましょう。
■ 今回の問題です。以下の6つの言葉を該当する教授と結びつけて下さい。
①「組織の中で働く多くの人々を束ね、統率していくこと」
②「組織と社員が効果的かつ効率的に行動するよう事業を指揮すること」
③「リーダーとして効果的にふるまえる習慣をもつこと」
④「コミュニケーションの重要性を認識しており、それに基づいて行動すること」
⑤「変化を生み出し、またこれを管理すること」
⑥「外部に向かっての代表者であること」
A:レビット教授 B:ドラッカー教授 C:伊丹教授
- 登録日時
- 2011/02/10(木) 10:14