【今月のビジネスクイズ②】
売上高の公式:その1
■ では前回のクイズの解答から。前回は久保憂希也氏の著書「数字力の教科書」大和書房から「仕事に活かす数字が絡んだ法則」についての出題でした。
● Q:以下の数字と該当する法則を結んでください。
①80:20 A:メラビアンの法則
②50 B:ハインリッヒの法則
③7:38:55 C:パレートの法則
④26.1:41.7:73.9 D:組織バス1台の法則
⑤1:29:300 E:ランチェスターの法則
● 正解は①とC、②とD、③とA、④とE、⑤とBです。ではひとつずつ簡単に解説しておきます。詳細を知りたい方はネットで検索すると多くの情報を得ることが可能です。
● ①は『パレートの法則』です。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏が発見した法則です。「社会全体の8割の所得を2割の高額所得者が占めている」というものでが、現在では「80:20の法則」として様々の分野において使われています。
● 小売業では品揃えの20%で80%の売上を創っていることを実証して重点管理に生かすとか、組織の中の人材の能力分布を20:60:20に分けてそれぞれに対するアプローチを変えるとか、顧客と売上の関係を把握して対応を考えるなどに使われています。
● 現実にはすべてきれいに80:20にはならずに、70:30とか65:35になることがあります。厳密に区分することが目的ではなく、対象を区分して重点項目に対して打つ手を有効に配分することに使うのが効果的でしょう。
● ②は『組織バス1台の法則』です。マネジメントできる人数の限界が、バス1台に乗れる人数だということを表わした法則です。チームだと7人が管理の限界だといわれていますが、複数のチームで競争したりするには、同じような仕事で、テリトリーやチャネルを変えて6チームか7チームにすると活性化するという経験則です。
● ③は『メラビアンの法則』です。1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが、コミュニケーションに関する実験の結果を数字で表わしました。感情や態度と矛盾したメッセージがあった場合、どのように受け止めるかというのがその実験内容です。
● 結果は、話の内容などの言語情報が7%、口調やスピードなどの聴覚情報が38%、視覚情報が55%という割合でした。この数字から「7:38:55のルール」とも言われます。
● 要は同じ言語情報でも聴覚情報(声の質、調子、スピードなど)と視覚情報(見た目、雰囲気など)によって受け止め方が大きく変わるということです。
● 販売スタッフの接客力を向上させるとか、セールスマンの能力開発の場合、何を尋ねるのか、何を言うのかという販売トークの中身だけでなく、声の調子、スピード、表情、身振り手振り、態度、身だしなみなども重要な指導ポイントになるということです。
● ④は『ランチェスターの法則』です。もともとは戦闘行為における力関係に関する法則として考えられたものです。故田岡信夫氏(経営コンサルタント)が企業の競争戦略として体系化されました。
● この数字はその中の「市場影響シェア」に関する数字です。それぞれの数字の意味は以下のとおりです。
・73.9%:(上限目標値)絶対的な独走状態。これ以上のシェアを獲得すると無競争状態になり、むしろ市場活力を失わせてしまいます。
・41.7%:(安定目標値)安定的な強者の位置です。
・26.1%:(下限目標値)強者と弱者の境目。トップになることもあるが、不安定なのでさらなるシェア拡大を目指す必要があります。
● 現実にはシェア26.1%以上のビジネスはそんなに多くはありません。商品別、
得意先別(顧客別)、チャネル別などに分けてシェア26.1以上をめざすのが
現実的です。そのパイを大きくしていくのが競争の目標になります。
● ⑤は『ハインリッヒの法則』です。これはアメリカの技師ハーバート・W・ハインリッヒが労働災害の統計から導き出した法則で、1件の重大な事故があれば、その背後に29件の軽い事故、さらにその背景には300件の「ヒヤリ・ハット(ひやりとしたり、ハッとした事例)」があるといものです。
● 特に、人的災害やクレームなどがクローズアップされたときその背後に予兆となるサインがいくつもあったのだと言われます。要はどのような小さなミス、クレームも真摯に受け止め、その要因を探り出して仕組みを変える、行動の習慣を変える必要があるということです。「氷山の一角」とはそのことを言い表しています。
● このような法則を知っておくと、問題解決や戦略構築、組織設計などのビジネスに役立ちます。著者の久保氏は問題解決を行う時の「あたりをつける」のに有効だと教えてくれています。これは著書のほんの一部です。他にも「数字」に基づく仕事の仕方の着眼点を学ぶことができます。関心がある方はご一読をおススメいたします。
■ それでは今回の問題です。
今回は「売上高の公式」について学びましょう。以下の公式は売上高に関するものばかりです。それぞれの( )に入る適切な言葉を入れてください。
① 売上高=( )×客単価
② 売上高=( )×販売個数
③ 売上高=( )×売場面積
④ 売上高=( )×商品回転率
⑤ 売上高=( )×従業員数
- 登録日時
- 2011/03/21(月) 11:34