【今月のビジネスクイズ③】
携帯電話ショップの店長さんへ<課題解決クイズ:その3>
■ まずは前回のクイズの解答と解説です。
今回は「売上高の公式」について学びましょう。以下の公式は売上高に関するものばかりです。それぞれの( )に入る適切な言葉を入れてください。
① 売上高=( )×客単価
② 売上高=( )×販売個数
③ 売上高=( )×売場面積
④ 売上高=( )×商品回転率
⑤ 売上高=( )×従業員数
■ ①は「客数」 ②「商品平均単価」 ③3.3㎡当り(坪当たり)売上高
④商品在庫高(売価) ⑤1人当り売上高
● 小売業の売上高を様々な視点から見ることで、課題発見に生かそうというのがねらいです。公式を知っていることで課題発見の「あたり」をつけることができます。但し、出てきた数字とそれぞれの会社が標準(目標)とする数値を知っておかねばなりません。
● 標準値(目標値)と実績の差から「差異分析」ができないと単なる物知りに終わってしまいます。ご自分の担当する店、部門の標準値(目標値)とそれを算出する公式は小売業で働く人の基礎知識です。
● まず「客数と客単価」は基本中の基本でしょう。これはお客様の数と扱っている商品の品揃え及び価格構成と提供方法によって決ります。商売はお客様と商品を結びつけるのが仕事の本質です。その結果が売上高という数字に表れます。
● したがって、現状の売上高がお客様の数の増減によって変化しているのか、商品の品揃え及び価格構成や売場づくり、接客応対の巧拙によるものかについて、自店内部ならびに競合店との比較で課題発見のあたりをつけることができます。
● まず客数ですが、これを区分けすると新規客と既存客に分けることができます。さらに会員制などでデータが豊富な店では性別、年齢別、地域別などに細分化もできます。
● 客単価も部門別の商品平均単価と買上点数(販売個数)に分けることができます。それによって部門別の品揃えならびに価格構成や売場づくり、POP、接客などの販売手段に課題を見出すことができます。スーパーマーケットなどではチラシの効果測定にも使えます。
● 客数×客単価は売上高を分解する場合の基本中の基本です。この公式と数字にこだわって課題解決に集中されるだけでも仕事の能力を磨く事は可能です。3年間、1000日続ければ実力アップは間違いないでしょう。
● ②は客単価を分解した時の公式です。③は場所の効率を表わしています。3.3
㎡(古い言い方では1坪)あたりの売上高はいくらかを把握する意味は、効果
的に売場を使っているかを見極めるためのものです。
● 売場には設備投資と維持費が固定費としてかかっています。固定費とは売上
の変化に関係なく発生する費用です。この数字を把握することで、売場のレイ
アウトや部門別の品揃えを見直すことができます。また人員配置の判断にもつ
ながります。
● 売場を効果的に使っているかの判断をより正確にするには売上高より粗利
高で見ることが必要です。但し、売場トータルで儲けを出すのが目標ですから、
売場の部門構成とレイアウト別に粗利益率の違う商品を戦略的に組み合わせる
ことも必要です。
● ④はふたたび商品に関する公式です。商売は投入した商品(在庫)をどれだ
け多く回転させるかで売上高、ひいては粗利高、営業利益高が決ってきます。
在庫高は品揃えによって決ります。豊富で品切れの少ない店はお客様にとって
魅力の要因です。しかしながら在庫は機会損失を防ぎながらも過剰にならない
ことが求められます。
● 過剰な在庫は会社のキャッシュフローに影響を与えます。売上の悪い部門の
在庫は「罪子」と言われるぐらい危険なものです。したがって、在庫と売上は
いかに効率よく回転させるかは重要な視点なのです。売上によって変動する費
用である在庫は会計上、変動費として分類されます。
● ここからは、発注量のあり方、売れない品目の管理、売場づくり、価格設定
などの手段に影響を与えます。小売業で働くということは、この変動費である
在庫をコントロールしながら売上をあげて、粗利高を稼ぐものだと言ってもよ
いでしょう。
● ⑤は人的な投資に対する採算を表わすものです。従って売上高にとどまらず
粗利高が重要視されます。一人当りの売上高(粗利高)は多いほうが儲けは多
くなります。人件費は近年、非正規社員の構成比をあげることで変動費化され
ています。
● この公式からは、効果的な人員配置や仕事の仕方の仕組み、販売員のやる気
や販売力に磨きをかけるという手段が考えられます。
● 今回のクイズでは売上高という数字から「お客様」の区分け方、「商品」と
いう提供物の区分け方、「売場面積と売場の創り方」「販売員の数と配置と能力
開発」という提供手段に課題発見のあたりをつけることが可能だということを
学びました。標準値(目標値)との差異から課題を見つけるために、これらの
公式の活用を行って下さい。
■ では今回の問題は、「携帯電話ショップの店長さん課題解決クイズ:その3
です。チャレンジしてみてください。
● Q:ある「NW商品」の獲得をめざしてキャンペーンを始めましたが思うよ
うな進捗結果が得られません。そこでなんとか対策を打たねばならないのです
がどうすべきでしょう?あなたの考えに最も近いものを選んで下さい。
①□:朝礼で全員にあらためて目標達成の重要性を訴えて、何としても達成しようとハッパをかける。
②□:数値目標の追求は一旦止めて、全員でどうしたらお客様に受け容れてもらえるかを実例から学び、もういちどお客様にとってのメリットを整理して、お客様別にアプローチ方法を考えて取り組む。
③□:個人別の実績を確認し、未達成のスタッフに個別面接を行い、なぜ未達成なのかという要因を確認し、対策行動を考えさせ実行させる。
④□:進捗目標を達成しているスタッフの成功例を引き出し、それを未達成のスタッフに真似をするよう指導して実行させる。
- 登録日時
- 2011/03/24(木) 11:50