【4月の提案】
企画は『何のために、誰に、何を、(何を、誰に)いかにして』と考える
■ 新刊本を書かれた著者から「本を買って特典をもらおう!キャンペーン」という案内メールが届きました。読んでいるとその本が欲しくなり、簡単にアマゾンをクリックしてしまいます。その秘密をちょっと探ってみました。
● メールの内容は【何を】と【いかにして】から始まります。新刊のタイトルと概要と特典が告知されています。概要はまえがきの抜粋から本書の本題が紹介されていました。
● そしてキャンペーン特典1,2、さらに抽選プレゼント、書籍購入特典1,2とあり、最後に2日間の限定キャンペーンであることが告知されます。
● この【何を】【いかにして】の告知の中に、この本が【どういう人に向けて書かれた】ものかが伝えられています。そのうえ、ご自身の20年にわたる仕事の集大成であり、渾身の一冊であるとアピールしています。これは【何のために】が、どちらかというとご自身の利益と自己満足のためというように伝わります。
● ここはもう少し、読者の「こういう問題解決に役立つために」というのもあれば良いと思いますが、それはそれとして私はこの著者の本を購入することに決めました。
● 決め手は内容がよく把握はできないのですが、価格が1,500円であり、それでこの特典があるのなら「まあいいか」ということです。情報が参考になるか否かはあいまいですが、1つでも参考になれば御の字だからです。
● つまり【いかにして】の豪華さ、お得感にこころを動かされました。それに【何を】にも若干の期待感があり、【誰に】も自分は該当します。そして、私にとっての【何のため】は、自分の仕事の利益のためですから「満足」です。
■ 私は販売企画を立てる時に、この【何のために】【何を】【誰に】【いかにして】というストーリーで考えることを実践しています。これを「3つの視点で考える」と覚えこんでいます。3つではなく4つではないかと思われますが、私の頭の中では、「誰に何を」と「何を誰に」はどちらから発想しても良く、「誰に」から考えるのを「顧客発想」とし、「何を」から考えるのを「商品発想」としてひとつの分類に入れています。
●「顧客発想」はお客様の生活上のメリット、心理的満足、問題解決、買い手としての立場、購買心理、動機などを考えてから商品と結びつけように考えることです。
●「商品発想」は商品の価値(機能・性能、デザイン、色、操作性、価格など)から対象となる特定多数の顧客のメリット、心理的満足などを想定して対象顧客像を決めることです。
● 思考のフレームワークとしては、①【何のために】=目的、ねらいです。②【誰に⇔何を】=対象となるお客様と販売商品。③【いかにして】=販売手段・方法・手順とその提供価値でと覚えています。
● これを中核に据えて販売企画を発想すると科学的(論理的)かつ情緒的(心理的)思考ができます。たとえば、【何のために】は目的や目標、ねらいを考えることになります。目的や目標は短期、中期という時間軸、それに数字で捉えるという視点にもつながります。
●【誰に⇔何を】は顧客の分け方、特定多数の対象の絞込み方、顧客のニーズとウォンツ、購買におけるAIDCAの法則、欲求の5段階説、利用動機と購買動機、購入前・購入時・購入後の状態と心理、既存客と新規客、CRMの考え方、客数と客単価、行動経済学や社会心理学の知識などがつながります。
● 商品も、分類の仕方、品揃え技術、商品特性と商品知識、ベネフィット分析、完結型商品と発展型商品、機能&性能、デザイン&カラー、使い方、価格構成、
商品回転率、交叉比率、ライフサイクルとキャズム、トルネードなどの知識が活用できます。
●【いかにして】にいたっては手段ですから多彩なノウハウがあります。それを「仕組み」と「仕掛け」×売る前・売る時・売った後のフレームワークを中核に、要素として集客ノウハウ、店(売場)づくり、接客体制&技術、販売ツールなどを覚えておけばアイデアは出やすくなります。
● 販売企画にはこのほかに「優先順位の決め方」「やめるものの決め方」「費用対効果」、そして「期限の設定」が欠かせません。
● このように紹介すると随分と沢山のことを知っていてやらなければならないと思われるでしょうが、幹は標題のような3つの視点です。この幹をしっかりたてておけば、いろんな手段を学んでもポジショニング(位置づけ)を間違えることにはなりません。
● ひとつの企画で全ての知識を活用するわけではありません。知識はダムに貯まった水のようなものです。状況に応じて必要なものを使いこなせる知恵が求められます。
● そしてあれやこれやと考えて企画をしても、実行する時はもっとも効果的な手段を見出して、集中して行うことです。考えることは多岐にわたりますが、実践は絞りこまねければなりません。
● その時に「優先順位」の決め方、「劣後順位」の決め方が必要です。これはまたの機会に詳しく述べましょう。
● 絞り込んだ手段のねらい、目標、商品と対象顧客をメンバーで共有して実践に向けて力いっぱい打ち込めば企画が成功する確率も高くなります。
●『①何のために、②誰に⇔何を、③いかにして』という3つの視点で販売企画ストーリーを組み立ててください。<完>
- 登録日時
- 2011/04/28(木) 11:27