【今月のビジネスクイズ 番外編②】
前回のクイズの解答・解説編その3:世阿弥の言葉『守・破・離』
■ 本コラムのビジネスクイズシリーズは前回の解答・解説と共に次回のクイズを出題するという構成で書いています。ところが今回のクイズの解答・解説は少々長くなりそうなので、番外編として3回に分けて解答・解説のみをアップしています。今回は6月の続きでその3回目「守・破・離」です。
● 今回も世阿弥のこの言葉の意味をご紹介しておきます。
この言葉が登場するのは、世阿弥の「風姿花伝」(ふうしかでん)<花伝書ともいいます>という伝書です。
● この言葉は土屋先生の著書には出てきません。よってネット情報などを参考にしてまとめてみました。
●「守・破・離」とは、修行の段階をあらわす言葉です。「守」とは師の教えである基本をひたすら守って学ぶという段階です。
「破」は「守」の段階で学んだ基本に、自分なりの創意工夫を加えたり、自分に合うように応用する段階です。
「離」は基本を中心にすえながらも、型にとらわれず、工夫を重ね自分なりの境地に至る段階です。
■ コミックでは井上雄彦著「バガボンド」の宮本武蔵の修羅場における剣術修行と戦いの過程がそれにあたると思います。本作では武蔵と舟島で決闘する佐々木小次郎の生涯も描かれています。
● 小次郎を耳が聞こえず話もできないという設定にしたユニークさもこの作品に独自性を与えています。剣技の向上のみに集中させるためでしょうか?
作者は2人が独自の型を極め自分なりの境地に至った段階で決闘させるのでしょうかね?いまだ未完の大作です。
● また原作の吉川英治からも「離」した内容になっています。基本は武蔵の成長物語ですが、その表現方法は井上雄彦の独自性に満ち溢れています。しかもどちらも面白い。またその絵は昭和の絵師、故「上村一夫」「小島剛夕」と並ぶものだと思います。
● もうひとつ触れておきたいのが「新・ナニワ金融道」です。本作は故青木雄二氏が命を燃やして書いたベストセラー「ナニワ金融道」の続編です。弟子達が青木雄二プロダクション名で書き継いでいます。
● 一部の弟子は独立して「カバチタレ」シリーズなどの作品を書いています。おそらく残った人たちが師青木雄二の志を継いでいるのでしょう。これが実に良くできていて、師匠の画風を色濃く受け継ぎながら作品の内容が実に面白いのです。
● さらに別仕立ての「ナニワ銭道」という作品もアサヒ芸能に、「新・ナニワ金融道外伝」を週刊朝日に連載するまでに成長されています。現状は「破」の段階でしょうか、師青木雄二からの教えを「守・破・離」で実践し、成長しつつある弟子達にエールを送りたいと思います。
■ 今回は世阿弥の3つの言葉の紹介と愛読中のコミックをむりやり関連付けて解説いたしました。読者のビジネスにどう役立つかというより私の自己満足で書いたところがあります。ご笑覧下さい。この項は今回で終わりです。
<完>
- 登録日時
- 2011/07/26(火) 14:05