▲ 蝉が自宅のベランダにやってきて鳴いてくれました。
【8月のビジネスクイズ①】
携帯電話ショップの店長さんへ:課題解決クイズその5
■ まずは前回のクイズの解答と解説です。
クイズその2に行きましょう。本誌では16のケースが紹介されていますが、ここでは残り3つを選びました。他の事例に興味のある方はぜひ本誌をご購読ください。(週刊東洋経済の7月9日号です)
● Q:①から③の会社名の事例を表わすビジネス理論はA、B、Cのどれとマ
ッチするのかを選んでください。
● ①サントリー ②日産のSUV(ジューク) ③吉野家、松屋、すき家
A:ゲーム理論 B:商品ライフサイクル理論 C:イノベーター理論
■ 正解は①はB ②はC ③はAです。
● まずサントリーの事例はウィスキーの復活についてです。ご存知の方も多い
と思いますが、2009年からサントリーでは「とりあえずビール」の文化を変え
ようと、ウィスキーを「ハイボール」で飲むことを提案し、浸透させてきまし
た。(ハイボールとはウィスキーを炭酸水で1対3ぐらいの割合で割って飲むも
のです。女優の小雪さんのCMが有名でした。)
● このウィスキーの復活を「商品ライフサイクル理論」で説明しています。商品ライフサイクルとは、ある商品が市場に出てから消えるまでを「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分けて説明するものです。
● サントリーウィスキーは1923年に発売され、1971年から成長期に入り、1983年に成熟期を迎えました。そして1988年ごろから衰退期に入っています。その間をグラフにすると本書に掲載されていますが、きれいな「鯨カーブ」を描きます。(鯨のイラストの形という意味です)
● 衰退期が20年近くも続いたあと、今回のハイボールブームのように復活するケースは珍しく、今後の動向が注目されています。再び成長が軌道に乗るか、それがどれくらいの期間を可能にするのかは、サントリーの仕掛けが消費者のこころいかにを惹きつけるかにかかっているといえるでしょう。
● 日産の個性派SUV、ジュークはなぜ売れたのか?
SUVとは多目的スポーツ車のことです。昨年6月に発売しましたが、当初1300台/月の販売計画が、発売から4ヶ月で2万台を受注したそうです。
● 人気の要因は、コンパクトでありながら個性的なデザイン、燃費が経済的、しかも価格は169万円からと魅力的であったということです。
ターゲットは30代前半の男性、プリファミリー層(結婚前か子どもがいない層)
● このジュークを普及させるのに今年6月からCMが再開されました。「コンパクトカーにグッドデザイン、グッドプライス」、ごらんになった方も多いと思います。
● このジュークを普及させるため、とられた顧客戦略に使われたのが、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が1962年に提唱した「イノベーター理論」です。
● イノベーター理論とは、新しい商品が市場に投入された場合、消費者の商品購入への態度を5つのグループに分けたものです。その5つとは「①イノベーター(5%)、②アーリーアダプター(13.5%)、③アーリーマジョリティ(34.0%)、④レイトマジョリティ(34.0%)、⑤ラガード(16.0%)。
● ①は新しいものを積極的に試す人 ②流行には敏感で、自ら情報収集を行い判断する人 ③④はボリュームゾーンです。③は新しいものには比較的慎重です。④はより慎重で懐疑的です。周囲の大半の人たちが購入したり、使用するのを確認してから同じ選択をします。⑤は最後まで新しいものには抵抗し、購入してももう殆ど普及してしまった後になります。
● 数字はそういう人たちがおよそどれくらい居るのかという構成比をあらわしています。
● この理論には、後年ジェフリー・A・ムーア氏が「キャズム理論」というのを発表し、ハイテク商品では②から③への普及の間に「大きな溝」があると提唱しました。この普及率16%を越えれば一気にボリュームゾーンに行くというイノベーター理論に対して、商品によってはそうはいかないと異論を唱えました。(その後、ムーア氏は対策として「トルネード」というマーケティング戦略を提唱しています)
● ジュークが今後どのようにしてボリュームゾーンを攻略し、製品(商品)ライフサイクルを長く保つかが課題でしょう。
● 他のハイテク商品では、スマートフォンがありますが、これはキャズムを飛び越えて一気にボリュームゾーンへと突入して行くでしょう。しかし、タブレットは難しいのではないでしょうか?
● 牛丼3社の値下げ競争は有名ですね。しかも繰り返し行なわれながら牛丼市場は確実に拡大を続けています。これを「ゲーム理論」で説明しながら、理論を超えた現象が生じていると紹介されています。
● 以下本文より引用‐ゲーム路論とは、複数の当事者(プレーヤー)が存在し、それぞれの行動が影響を及ぼしあう状況(ゲーム)において、各人の利益に基づいて相手の行動を予測し、意思決定を行なう場合の考え方をいいます。
● 代表的なゲーム理論に「囚人のジレンマ」があります。各プレーヤーがおのおのにとって最適な「絶対優位」の戦略を採ると、全体として最適な結果にならない状況をあらわしています。
● すき家、松屋が値下げをし、吉野家が値下げしなかった時は、吉野家が惨敗しました。(09年)これは囚人のジレンマが成立しました。しかし昨年から今年にかけて、3社ともに値下げを行なった場合、理論上は消耗戦に陥り、3社共に儲からなくなるところですが、実際は3社ともに売上を拡大し値下げによる収益ダウンをカバーしてしまうという現象が起こりました。
● これは市場が理論のように閉じていないからです。現実には他の外食産業やコンビニの顧客を吸収したものと考えられます。反ジレンマ現象です。
また円高で輸入牛肉の入手が安くなるという追い風も吹いています。低価格でも利益が出る構造になると、販売価格は安値で安定するかもしれません。
● しかし注目すべきはこの3社は競争激化のもと、価格競争以外の工夫もいろいろ行なっていることです。こういう記事でもそういうところを取り上げてもらいたいですね。
■ では今回の問題です。携帯電話ショップの店長さんへ:課題解決シリーズ
第5回目です。今回から現場での指導力をテーマにしました。
Q:副店長になったA君が朝早く出社して、みんなが出社する前にひとりでお店の掃除をするようになりました。
そんな行動を見て店長のあなたはどのような受け止め方をしますか?
あなたの考えにもっとも近いものを1つ選んでください。(この店には掃除の当番制はあります)
①A君は私(店長)を補佐する立場を自覚し、張り切っていると思う。しっかり頑張れと思う。掃除は重複しても余計に綺麗になるからいいや。
②朝早く来て掃除をするのは良いが、1人でやると続かなくなるかもしれない。掃除当番は決めてあるのだから、それをみんなが守るのと内容が良いかをチェックしてもらいたい。これは言ってあげないといけないな。
③1人で張り切るのはまずい。でも折角やる気になっているのだからしばらく様子を見て、部下の反応も確かめてみよう。
④掃除当番の手助けをしながら、コミュニケーションを取ってくれたら良いのにとアドバイスしようと思う。それに期限は決めておいたほうが良いことも忘れずに伝えなくては。
⑤俺(私)も最初はそうだったな。いつまで続くか様子をみてみよう。
- 登録日時
- 2011/08/08(月) 11:26