【2012年7月の提案①】
チラシのパターン化<1>
● チラシや店頭POPはパターン化して整理しておくと情報収集もしやすく、アイデアを出すときのヒントになります。
● パターン化を思いついたのは今から7~8年前にドコモショップのチラシ制作研修を行なった時からです。研修素材としてお店のチラシを診断・分析してテキストに使用しましたし、研修後の実践評価にいくつものチラシを拝見する機会がありました。
● それを研修でお伝えするときは、事例集として紹介するだけでなく理論化しないとうまく伝わりません。また個別の診断事例を活用するには、いくつかの事例を共通の括りで紹介しないとわかりにくいようでした。
● その経験から、ドコモショップチラシ事例50例ほどを18のパターンに整理してまとめてみました。最初は8つぐらいのパターンでしたが、数多く診断するうちに最近は18になりました。<上記のデータ1をクリックしてみてください。>
● これは具体例を集めて共通の目的や要素にまとめるという帰納法を使って行いました。現状のこの18分類は小分類レベルと言えます。さらに何らかの共通要素でくくって中分類、大分類とまとめる必要があるかもしれません。
● しかし実務者にとってはこの企画パターン18分類で十分に役に立つでしょう。ここでは文章での紹介に留めますが、実際の事例は最新版で50以上あります。研修では使用いたしますので興味のある方はご連絡ください。
● では他の業種・業態・個別フォーマットの企業ではどのようなチラシパターンになっているかというのを最近調べてみました。これは診断・分析するのではなく、プロとしての眼と一消費者の目で見て集めて分類してみました。
● 今回は最初にまとめるフレームワークを考えて、そこに当てはめていく方法をとりました。いわゆる帰納法に対する「演繹法」というやり方です。帰納法や演繹法は思考法の論理的思考(ロジカルシンキング)に出てくる具体的手段です。
● そこで浮かんだフレームワークは、企画内容と表現方法という2軸を最初に持ってくることです。これが大分類レベルですね。次に企画内容を「品揃え訴求型」「重点単品訴求型」「その他(イベント訴求型など)」の3つに区分しました。
● 表現方法の方は「要素羅列型」「要素関連型」「販売ストーリー型」という3つに区分しました。これは私のオリジナル分類です。これらは中分類レベルですね。これでマトリックス図をつくりますと桝目は9つになります。そこに業種・業態・独自フォーマット企業別にチラシのパターンを分類して入れてみました。
● 試作した図表は上記の記号2をクリックしてご覧ください。
● 殆どのチラシが「品揃え訴求型」「重点単品訴求型」と「要素羅列型」「要素関連型」と「重点単品訴求型」「販売ストーリー型」に収まります。これからもう少し意識して事例を見ていけば他の桝目に入るチラシが見つかるかもしれません。
● また一部の企業は時期によって枡目での位置が移動するものを発信されています。しかし殆どの企業は自社のチラシのパターン化をひとつに決めておられ、掲載する商品の更新でもって集客をねらうという方法をとっておられます。
● これらのまとめから言えるのは、同じ業種・業態のチラシはよく似ており、本質的に同じ要素で競争をされているようです。特に「品揃え&要素羅列型チラシ」では、「価格訴求」「日替わり目玉」「消耗品の目玉」によって低価格訴求するのが柱になっています。
● それぞれのチラシがどのような成果を上げたのかは知る由もないのですが、もう少し変化球があっても良いのではという気がします。商戦ごとの導入期、展開期、晩期ごとに掲載商品の中身と価格を変える以外の手段をミックスしてはどうかという思いがあります。
● なぜならどこの会社のチラシかをわかりやすくするためには、表現方法の標準化が必要ですが、内容については、読者の好奇心を惹きつけ購入期待客に関心をもってもらうというねらいがあるからです。いつも同じパターンで掲載商品だけが違うというのは、読者の好奇心に刺激を与えることは覚束無いからです。
● このシリーズも次回以降、継続していきたいと考えています。ビジネスパーソンの能力地図づくりシリーズと共にご笑覧ください。そしていつも言っていますが、この試論が参考になるならばヒントにしていただき自問自答に役立てていただければ幸いです。
<続く>
- 登録日時
- 2012/07/04(水) 09:46