【今月のトピックス④】
朝日新聞『天声人語』で取り上げられたソフトボール女子日本、 42年ぶりに世界選手権で優勝!の記事に学ぶ
● 朝日新聞のコラム天声人語は歴史と伝統があります。最近は天声人語書き写しノートなるものが発売されベストセラーになっているそうです。私も東急ハンズで見かけ購入しました。そして毎日ではなく気に入ったものを切り抜いて貼り付けています。
● 7月25日(木)付のコラムは久々に切り抜きました。ノートには貼り付けましたが、今まで書き写したことはありません。今回はぜひ 1人でも多くの方に読んでいただきたいので、そのまま転載してみました。
● 何度か読み返しましたが、やはりプロの文章は上手いですね。書き写しの効果とは、文章の構成、無駄のない文章、言葉の使い方などが自然と学べることなのでしょう。以下パソコンで書き写しを!
■【天声人語】新聞人にとっては、なるほどなあと思う言葉だ。「私はいつも最初にスポーツ欄を開く。そこには人間が達成したことが記録されている。第1面は人間のしでかした失敗ばかりだ」。米国の政治家で判事だったウォーレン氏が遺したと『名言の森』(東京堂出版)にある。
● 昨日の本紙もしかり。1面を大きく原発事故の調査が占めていた。そのあとスポーツ面を開くと、見事な「達成」の小記事があった。ソフトボールの世界選手権で日本が42年ぶりの優勝を果たした。カナダで開かれていたのをうかつにも知らずにいた。
■ ソフト女子といえば北京五輪の金メダルを思い出す。上野投手の3連投が日本中を熱くした。だがロンドンでは五輪競技からはずれた。熱は冷め、聞けば世界選手権の結団、壮行会にはテレビカメラが1台もなかったという。
● 本紙には載っていないが、共同通信の配信で他紙にあった宇津木監督の優勝の弁がいい。「日本の皆さんにソフトボールは健在だとお伝えしたい」。メディアの移り気がチクリと刺された気にもなる。
■ 4年前、ソフト女子の「金」は1面トップを飾った。その紙面の端っこに、小さく「なでしこは銅逃す」とある。地味だった花はその後に大ブレークし、現地時間の今日、開会式に先立って初戦に臨む。
■ 五輪はやはり特別な舞台。達成と歓喜はむろん、無念も涙も、本紙でたっぷりとお届けしたい。ソフト女子のくじけぬ快挙を讃えつつ。週末からの一喜一憂に、わくわく、どきどきが高まる。
● いい内容です。ちなみに上野由岐子投手は今回、一度はアメリカに負けましたが、敗者復活戦から勝ち上がり、1日で2連投しました。決勝は同じアメリカに延長10回まで1人で投げ抜いて優勝しました。スコアは2対1です。見事です。彼女は鉄の女か、豪腕健在なりです。
● 本コラムは■で記したところを区切りに「起承転結」で構成されています。
「起」では名言を使った「つかみ」で読者の関心を引いています。そして何について書くのかを導き出しています。優勝という達成結果を示して、ソフトボールについて読者に思い起こさせています。
●「承」ではそれを受けて、ソフト女子日本の優勝が4年前のオリンピック金メダルであれだけ湧いたのに、マスコミも日本人も忘れていることを自戒と皮肉をこめて述べています。私たちは「ああそうだったな」と気づきます。
●「転」では、ソフト女子の「金メダル」となでしこの「銅メダル逃す」を対比させこれから始まるオリンピックへと話題を転換しています。
●「結」はソフト女子の優勝を讃えつつ、これから始まるオリンピックを愉しみ、応援しようというメッセージになっています。
● たしかにじっくり読んでいると句読点の打ち方や「言い回し」なども学べますね。今回私は特に書き出しの上手さに感心しました。プロならあたりまえかもしれませんが、なかなか思いつかない名言の引用です。
● コラムの修行をする人はここで感心して終わっては自分の身につかないでしょう。別のテーマで別の名言を駆使して書くという「真似」をしてこそ、書き写し効果が出ると思います。私もやってみようと思います。
● オリンピックについては日本人選手の勝敗の結果には注目しますが、もうひとつ、勝者、敗者にかかわらず選手たちが、力を出し切ったあとに何を語るかに注目して楽しみたいと思います。<完>
- 登録日時
- 2012/07/28(土) 16:17