▲ひまわりの花言葉より「私はあなただけを見つめる」
映画「ひまわり」の映像と音楽は素敵でした。
【2012年8月の提案①】ビジネスパーソンの能力地図づくり<5>
組織開発における「ソーシャルスキル」とは?③
<インターパーソナルスキルについて>
● 前回の続き
●「ソーシャルスキル」の特徴は『空間軸』の視点で捉えていることでした。
それは5つの要素で構成されています。その5つとは、①パーソナルスキル(本人自身) ②インターパーソナルスキル(1対1の関係) ③グループスキル(小集団の関係) ④インターグループスキル(複数のグループ間の関係) ⑤組織行動スキル(大組織全体を対象にする場合)です。
● 今回は②インターパーソナルスキルです。この意味は1対1の対人関係で必要なスキルです。仕事をしていると一番多いのがこのスキルを使う場面でしょう。特に営業マンや販売員はお客様との1対1の対話が必須になります。この場合の目的はお客様に買い気を促すこと、より良く要望に応えることです。
● また社内でも、上司、部下、同僚との1対1の対話は多いでしょう。1対1の対話の目的はお互いの考えを理解し合いながら、共通の目的・目標について合意をすること、達成するための効果的な手段を導き出すこと、対話を通じてお互いの成長を促すこと、結果の報告と反省の検討・確認をすることでしょう。
● 私が学んだ資料には「その人を理解し、その人とお互いの立場にふさわしいやり取りを通して目的にかなった効果的な人間関係を築く能力」とあります。これは私の解釈よりもう少し長い時間の視点があると思います。私の場合は「お互いの考えを理解し合う」という感情面と共通の目的・目標に対する効果的な手段を導き出すという論理性を意識しています。
● そこにはその場その場の最適性を重視しており、必ずしも長期の人間関係を良好にするという配慮はあまりありません。学習では人間関係の構築が重視されていたように思います。これはどちらが正しいというものではないでしょう。
ご自分ならどう考えるか、考えてみられてはいかがでしょう?
● インターパーソナルスキルのコアになるのはコミュニケーションスキルです。
7月21日(土)の朝日新聞の別刷りにも「コミュ力」が流行する時代と題した記事が特集されていました。その中に企業が大学生を採用選考で特に重視した点というランキングがあって、コミュニケーション能力が80.2%でダントツの1位でした。ちなみに2位は主体性の62.1%です。
● 他に印象に残った記事は読者アンケートの声のひとつ。「リタイアした年配の男性の多くは、いろんな会合や集まりで、自分の意見を述べようとする。質問を聞いても多くの場合は『感想』をとうとうと述べる。空気を読んでほしいと思うことが多々ある」(兵庫53歳女性)という指摘です。
● 私も何度か同じ体験をしました。コミュニケーションとは、自分の意見や感想を一方的に述べることではありません。このことは多くの人が知っているはずだと思っていたのですが、どうやらそうでもなさそうです。「自己重要感」の成せることでしょうね。気をつけましょう。
● 若い人の方が上手だという記述もありますが、それは仲間内、友人などとのケータイを駆使したコミュニケーション能力のようです。ビジネスパーソンとしては仕事を通じていろんな人々、いろんな状況ごとに最適な方法を学んでいかなければならないでしょう。ではその方法とは?
● 私が1対1のコミュニケーションで使っていたのは次の2つの方法です。
1つは①『知って、掴んで、動かす』。もうひとつは②『尋ね、聴く、答える』という手順で対話を進めることです。
● ①は問題解決にも使っていたことですが、課題に対して起こっている事実の把握、当事者の意見や気持ちを確認する。そして何が重要なポイントかを明らかにして、それから対策を打つということです。これってなかなか難しいんですよ。
● ②はこちらから尋ねて(質問をする)から、相手の言うことを聴く、そして相手の知りたいことに答えるというやり方です。実は私にとってこの②の方が難しく、自分の言いたいことを抑えるのに苦労しました。
● 特に部下との1対1の面談では、少し状況を聴いただけで対策アイデアが浮かんできて、話したくなったことです。特に40代では頭の回転が良くなり、次々とアイデアが浮かびました。そして答えを教えたくなるんですね。いわゆる「魚の捕り方を教える」のではなく「魚そのものを与えていた」ように思えます。
● ただビジネスでは限られた時間で対策を急がなければなりません。部下に答えを考えさせる時間が不足する、そういう言い訳もできます。当時を思い起こしても、どこまで適切なコミュニケーションをとれていたかは自己評価が難しいところです。ただ自分が一方的に、高圧的なコミュニケーションは取ってはいなかったとは思います。(笑)が、教えすぎだったでしょう。
● もうひとつ印象に残っているのは「苦情対応」と「仕入れ商談」における交渉の難しさでした。
● この2つは同じ交渉でも前者はこちらが心理的に不利、後者は有利です。これらの体験記の詳細は別の機会に譲るとして、ビジネスパーソンなら組織内部のコミュニケーション上手だけでなく、対外的な交渉で力が発揮できるようになる目標を持つべきです。
● 営業マンの方は毎日が対外的なお客様とのやりとりなので鍛えられるでしょう。しかし御用聞きセールスにならないで、お客様のご要望により良く応えると共に、自ら提案して必要性を引き出し、販売につなげる力を蓄積していただきたいと思います。
● この1対1でのコミュニケーションについては昔も今も多くの研究がなされ、実践に基づく成果が著書になって発表されています。その手段も組織内部向けには、ティーチング、コーチング、カウンセリング、コンサルティングの4つに分類されて、それぞれに各論・技法まで沢山紹介されています。
● さらに細分化され、「質問力」や「聞(聴)き方」などの技術が情報として入手できます。近年学習する人が増えている心理学に基づくNLPなども、パーソナルスキルとこのインターパーソナルスキルの両方に含まれるのではないでしょうか。
● 外部に向けてはセールス技術、店頭販売技術、苦情対応技術などの著書が数多く出版されています。
● そんな中で、私が最近感銘を受け参考にしているのが中原淳氏と長岡健氏の共著である「ダイアローグ 対話する組織」という著書です。この本は組織内部向けのものです。お二人は大学で教鞭をとっておられる研究者ですが、企業の実務家と連携されておりビジネスパーソンに役立つ素晴らしい参考書になっています。
● 会話と対話の違い、現代組織が抱える組織内のコミュニケーション機能不全に対する見解と処方箋は一読の値打ちがあります。専門書の紹介も豊富で興味があるキーワードをさらに深く学習するガイドにもなります。
● インターパーソナルスキルの殆どがカッツ教授の「3つのスキル」ではヒューマンスキルに属すると思われます。繰り返しになりますが、私たちの多くはこの1対1のコミュニケーションで多くの時間を費やしています。
ぜひ磨きをかけて腕を上げていただきたいと思います。
● この続きは今月の上旬に掲載いたします。
<続く>
- 登録日時
- 2012/08/03(金) 11:13