【8月の提案④】商品の特長翻訳法<その2>
商品の特長を「利点」から「お客様にとっての便益」に翻訳する
■ 商品の特長をお客様にわかりやすく伝えるのは販売店の役割です。そのためには、メーカーの作ったカタログのコピーをそのまま伝えるとか、転記したのではわかりにくいですね。お客様にとって「わかりやすさ」を実現するためには、特長を『翻訳』して表現する必要があります。
● 今回は「お客様にとっての利点」から「使って得られる便益」に翻訳する方法を掘り下げてみましょう。
● その前に今回事例として取り上げたシャープのZETA SH-09Dですが、8月2日付で以下のような発売1ヶ月で製造中止というニュースが流れました。
■ http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120802-00000002-trendy-mobi
● ところが翌8月3日にはそれは誤りであるという記事がネットで掲載されました。
■ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120803-00000018-zdn_m-mobi
● どうやら人気商品で品薄になり入荷が未定とのこと。携帯電話では昔からSHのファンは多いですからね。(SHARPの経営状態が苦境のようです。頑張れSHARP)
● では本題の「お客様にとっての利点」を「使って得られる便益(効用)」に置き換える方法を、実例を使ってやってみましょう。7月の提案⑤で「防水」という利点を「便益(効用)」に置き換えた事例を紹介しておきました。ご理解いただけたでしょうか?
● 他の利点を使って置き換えてみましょう。
ここでスマートフォンになってからの最新機種の重要な特長は、①クロッシィと②デュアルCPUですね。①については「FOMAに比べて高速通信が可能」「FOMAと比べて大容量のデータが送受信できる」「FOMAに比べて早く起動や操作ができる」が利点でしたね。
● ②については「操作性抜群!アプリの起動はより早く、複数のアプリを同時に立ち上げても速度低下を感じることはありません。」
「タッチレスポンスも良好なので、画面の切り替えやWebページのスクロールなどとてもスムーズにできます。タイムラグによるストレス解消!」が利点でした。
● これらの利点はどのような「便益(効用)」を生み出すでしょうか?
使っておられる方にはよくわかることです。具体的な事例を上げる方法が一番です。いわゆる「利用シーンの提示」ですね。私は使っていないので適切ではないのですが、カタログ等から推測すると・・・
● クロッシィは①オンラインゲームやストリーミング動画などの大容量コンテンツがサクサクと快適に楽しめる。 ②綺麗なハイビジョン撮影動画もスムーズに送受信できる。③従って送られてきたものを大画面テレビで再生しても美しいなどがあげられます。
● デュアルCPUは①YouTubeも途中で止まることなく快適に閲覧できます。②起動が速いので見たい時にイライラ感を感じなくて済みます。などがあげられます。このような方法でいくつかの事例を抽出していただければ、お客様の心を動かすことができます。
● これらの『特長→利点→便益』は、今までお客様がお使いの携帯電話では体験されたことがない、あるいは少ないことです。パソコンでは経験されているかもしれませんが・・・。これらは多くのお客様にとって新しい体験(未体験)なことですから、「提案」が必要です。
● しかも新しい専門用語で語られる特長&利点ですから、専門用語と併記してわかりやすい言葉に「翻訳」をすべきです。具体的には「言葉の意味(定義)」を伝える方式です。それは、『誰々が、誰に、何をすることなのか』を明らかにすることです。
● 例えばクロッシィとは「スマートフォンでパソコンと同じように使いこなしたい人が、自分自身の仕事や友人とのコミュニケーションで情報の受発信やゲームなどを楽しむための基本となる性能のことです」。
● もう一つの重要な視点は、カタログでは優先順位が低く扱われている従来からの機能・性能の最新情報の提供です。前回取り上げました「防水」の他に「内蔵メモリの容量」「電池の持ち時間」「カメラの機能・性能の進化」「音楽再生プレーヤーとしての進化」「置くだけ充電」「辞書機能」「歩数計」など多くの方が現在の携帯電話で経験されていることの特長&利点の進化情報の提供です。
● これらはFOMA携帯電話と比べてという比較表POPが有効でしょう。これは特長レベル比較されても良いのですが、できれば利点レベルで比較していただくとお客様の役に立ちます。接客では「便益レベル」でお伝えいただく方が良いでしょう。
● まとめますと、商品には特長があります。その特長はメーカーのカタログに記載されています。ホームページでも見ることができます。しかしそれをお客様の利点に置き換えたものは多くはありません。
●「防水・防塵」という特長を「それはお客様にとってどのような利点」となるのかに置き換える(翻訳と称しています)だけで必要性を喚起し、購入への意欲を高めます。
● さらにその利点は、「どのような利用シーンでどのような便益があるのか」に置き換えることで、必要性、買い気ともにさらに高まります。それは「具体的な使用メリット」がイメージできるからです。
● 抽象性の高い表現である特長を利点に置き換え、さらに便益に置き換えるとは具体性を実現することです。具体性とはできる限り個々の事例に近づくということです。特殊なことから多くの方に共通する事例まで、集めることができるのは販売の最前線です。
● 売るだけでなく、お客様とのコミュニケーションから学ぶという役割が重要になってきました。それらを他の多くのお客様のために「編集して翻訳して伝える」ことが求められます。
● それが販売店の重要な役割のひとつです。これらを全機種に亘って情報提供していただくことが、実機による体験コーナーを本当に価値あるものにします。また接客内容も専門店としての価値を高めるでしょう。<完>
- 登録日時
- 2012/08/21(火) 11:03