その1:東芝がHD DVDから撤退するというニュースを3つの違う記事で読む。
■東芝―HD DVDから撤退という記事が出て、次世代DVDの2つの規格競争に終止符が打たれました。その後量販店の対応などが新聞記事になっていましたが、ネットで興味深い分析記事を3つ見つけました。まだご覧になっていない方はぜひお読み下さい。
■一つは、オーディオ・ビジュアル&デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏の「麻倉怜士のデジタル閻魔帳」です。製品の特性からみた分析でHD DVDはなぜ負けたのかを歴史的に考察されています。大きくは3つの要因で分析されており、今後の東芝に対するエールをこめた提言もあります。
■2つめは、経営コンサルタントの安部徹也氏のメルマガ「1日3分MBA講座」の第33回の記事です。タイトルは「HD DVDが越えられなかったキャズムとは?」
キャズムとは、マーケティングコンサルタントのジェフリー・ムーア氏によって発表された「キャズム理論」のことです。
新製品を普及させるマーケティング戦略の視点で解説されています。
まぐまぐで「1日3分MBA講座」を申込み、08年2月22日号をご覧下さい。
■3つめは日本経済新聞3月4日付け朝刊から「経済教室」の記事です。これは東芝がHD DVDから撤退した背景に、人々が勝ち馬に乗ろうすることで生じる「なだれ現象」があるという解説でした。筆者は早大教授の河野勝氏と日本学術振興会特別研究員の荒井紀一郎氏で、なだれ現象を実験により再現し、その中での人々の意思決定の動態を解明しようという試みから得られた結果の一端を紹介されています。
■一つのニュースを多角的な視点で解説したものを見ると、単なる出来事を知るというレベルから自分の仕事に役立つヒントがつかめるでしょう。
その2:ランキング表示で注目を集める。
■社会心理学で「社会的証明」という原理があります。これは人々が自分にとって不確かな状況では、他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいかどうかを判断する、というものです。
これを利用した方法のひとつにランキング表示というものがあります。
■日本経済新聞の土曜版「NIKKEIプラス1」では、毎週いろんなランキングが紹介されています。これなんかも世間の常識をわかりやすく伝える手段のひとつかもしれません。
■3月1日付けでは「新人さん、ここに気をつけて」が掲載されていました。第1位は「あいさつがきちんとできない」2位は「メモを取らず、同じ事を何度も聞く」3位は「敬語が使えない」ベスト3が「話す、聴く」のコミュニケションに集中していました。
■上司の「ここに気をつけて」は第1位が「言うことや指示がコロコロ変わる」
2位「強いものには弱く、弱いものには強い」3位「大事な局面で責任逃れ」でした。こちらは上司としての「態度」が問われていました。
■同じ「NIKKEIプラス1」の06年11月4日付けでは「言葉づかいで恥をかいたこと」というランキングがありました。第1位は「外の人に上司を『○○部長』と肩書付きで呼んだ」2位「帰宅する上司に対し『ご苦労さま』」3位「全然大丈夫です」というのがありました。この時は間違いである「理由」か「処方箋」が書かれておりわかりやすい内容でした。
■よく店頭POPでもランキング表示を見かけます。「当店の売れ筋ベスト3」というのです。機種名だけを表示したものが多い中、ちょっと気の利いた店はその「機種の特長」を書かれています。
■社会的証明の原理を応用するならこれでは不十分です。効果があるのは対象となるお客様の「目的や状態別」に何がベスト3で「どのような理由」で売れているのかを表示すれば良いでしょう。なぜならこの原理では不確かな状況ではという前提とともに、「類似性のある人の行動の影響を受けやすい」というのがあるからです。それに「理由がわかれば」鬼に金棒でしょう。
- 登録日時
- 2008/03/08(土) 16:44