【今月のトピックス①】
文化庁の国語世論調査の記事を読んで
● 先月のトピックス③で巨人軍の原監督のインタビューの言葉使いに引っかかるものを感じて意見を述べました。できるだけ難しい言葉を使わないで自分の考えを表現しましょうという主旨です。
● 今回も文化庁の国語世論調査の朝日新聞の記事を読んで引っかかるものがありました。1面の『「むかつく」がっつり定着?』のタイトル記事は「若者言葉が流行っているのだな」という興味で読みましたが「ふ~ん」という感想です。特にけしからんなどとは思いませんでした。
● ところが中面の関連記事のタイトルである「にやける」「失笑する」「うがった見方」本来の意味を知っていますかに興味が湧きました。その理由はキャッチコピーが「問いかけ」になっていたこと。それに「うがった見方」という文章によくお目にかかっていたからです。(上記のファイルをクリックして参照してください。)
● 他のコラムでも書きましたが、人を惹きつけるキャッチコピーには「問いかけ法」というのがあります。人は問いかけられる(質問をされる)とそれに応えようという意識が働きやすいのです。これを利用して広告やテレビ番組では問いかけキャッチコピーがよく使われます。
● しかもいくつかの事例が問題形式で記載されています。知的好奇心が刺激され思わず読んでしまいました。特に「うがった見方」は日頃よく目にします。どのような意味かは正確に知っておらず、事例にあるように「疑ってかかるような見方」というように解釈していました。
●ところが「物事の本質を捉えた見方」とは目からウロコです。ただこの記事だけではどのように使えば良いのかがわかりません。そもそも本質を捉えた見方とはどういう場合に使うのかがイメージできませんでした。
● 私と同じように間違った解釈で使っておられる文章にはしばしば出会っているのですが、正しい意味での使い方に触れていなかったのです。そこで便利なネットで検索して調べてみました。
● いくつか拝見しましたが、その意味は「違った視点、角度から見てみると」
「深く掘り下げた見解」などが印象に残りました。したがって「○○さんはなかなか穿った見方をされますね。流石です。(素晴らしいです)」というように褒め言葉で使うのが良いのではないかと解釈しました。
● 下記のホームページが参考になりました。
http://d.hatena.ne.jp/AR30/20110926/1317031463
興味のある方は参照してみてください。
● ただ物事を裏側から見るとか、斜めから見て真実を衝くということでマイナスに受け止められることもあるとあります。そういえば受け手が「疑ってかかるような見方」と理解しておられれば誤解を招きます。記事によりますと正しい意味の倍近くの方が誤用をされているようです。
● コミュニケーションでは、相手が受け止めたことがその人にとっての真実だという戒めがあります。自分は正しく伝えたつもりでも相手がどのように受け止めたかを確認しないと誤解を招きます。
● ですから、このような難しい言葉は使わないようにして、「いいところを抑えておられますね」「なるほどそういう見方をすれば本質が見えてくるのですね」「鋭い見解ですね」などとわかりやすい言葉で伝えることが必要なんですね。
● 今回の私の見解は正しいことを知るのは必要ですが、その使い方まで学ぶこと。そのうえで知ったことを使う場合、状況や相手を考えて使うこと。できる限り難しい言葉をそのまま使わないで、わかりやすい言葉で伝えることだと思います。
● 9月29日(土)の「天声人語」ではこの記事に関連することが取り上げられ、若者言葉が定着していくことは止められない。目くじらたてるだけでなく清濁併せ持つのが自然の成り行きだという主旨で書かれています。
● それには異論はありませんが、誤用しやすい言葉は正しく使えるようにはしておいたほうが良いでしょう。最低この記事にあるような事例には気をつけましょう。詳しくは文化庁のホームページを参照してください。<完>
- 登録日時
- 2012/10/01(月) 09:54