▲ケイトウ(鶏頭)の花 花言葉は「色あせない恋」「情愛」です。熱帯や亜熱帯地域が原産です。自宅の近くで見られるのはコスモスですが。
【2012年10月の提案①】ビジネスパーソンの能力地図づくり<10>
組織開発におけるソーシャルスキルとは⑧
インターグループスキル前編
● 前回の続き
●「ソーシャルスキル」の特徴は『空間軸』の視点で捉えていることでした。
それは5つの要素で構成されています。その5つとは、①パーソナルスキル(本人自身) ②インターパーソナルスキル(1対1の関係) ③グループスキル(小集団の関係) ④インターグループスキル(複数のグループ間の関係) ⑤組織行動スキル(大組織全体を対象にする場合)です。
● 今回のテーマは「インターグループスキル」です。ここまでくると関心を持たれる対象の読者も少なくなるのではないでしょうか?実はこの研修を受講した当時、このプログラムはここから、次の⑤組織行動スキルまでがヤマ場でした。①②③はその前哨戦のような位置づけでした。
● 私のドキュメントノートはA4で63ページあります。そのうち④が始まるのが26ページからです。④と⑤で37ページもあります。当時は夢中でドキュメントを書きましたので、全体の配分や構成を考えたわけではありません。
● それだけ④と⑤で体験したことはインパクトがあったのでしょう。断片的ですが記憶が甦ってきます。当時録音をした講義録テープがあります。SDカードへの記録を兼ねて聴き直してみようかと思っているところです。
● ともあれ今回はノートを見ながらこれまでの構成で、分量が多くならないように気を配りながらまとめてみたいと思います。テープを聴いて役に立ちそうなことがあればまた別の機会に書いてみます。(時間がかかると思いますので気長にお待ちください。)
● ではインターグループスキルとは何かから始めましょう。研修資料では以下のように記述されています。
「他のグループと対立関係になったとき、グループ内やグループ間に起こりがちな、いろいろな事柄を理解し、両者の関係を効果的に(無関心状態→競争状態→葛藤状態→協働状態)変えて行ける能力」。葛藤=①心の中で迷い悩むこと
②対人関係などのもつれ。争い。もめごと。(国語辞典より)
● この能力を身につける目的は何でしょう。
①グループスキル(チームマネジメント)をより深く学ぶこと。
②異なるグループ間で「協働する方法」を学ぶこと。
③異なるグループ間で「協働してはいけない」状況について知ること。
でしょう。(これは現在気づいたことです)
● ①②については研修で学ぶのですが、③については学びませんでした。これについて気づいたきっかけは一橋大学の沼上 幹教授のコラムを新聞で読んだからです。別途今月のトピックスとして掲載しておきますので参照してください。
● インターグループスキルが必要になるのはどのような状況に置かれた時でしょうか。それは・・・
①複数の部門を統括するリーダーになった時。
②他部門との協働をした方が効果的な仕事の状況にある時。
ですね。
● 私はこの研修で学んだあと数年後に、営業部門に転出して18店舗の統括マネージャー、大型店の店長を経験させていただきました。その後本社に戻り、全社に影響を及ぼす仕事につきました。この研修での経験が役に立ったのは言うまでもありません。ですが、今回はその体験談は割愛して論を進めていきます。
● インターグループスキルの理論的背景はフロイトの流れを汲む「ビヨンの集団理論」です。これは私には難しかったですね。現在も奈良大学のホームページで研究されている成果を見ることができます。
● 以下、ビヨンの集団理論についてノートに書いていたことを記載します。
【基本的仮説】
①全ての人間行動は集団行動であって、全くの個人的行動などない。
(そんなことはないと思います。今なら質問してみたいですね。)
②集団とは3人または3人以上の人たちのエモーショナルなネットワークである。(論理でつながっているのではない。同感です。)
③あらゆる集団(または組織)は2つの目的、(仕事を遂行する行動とそうでない行動)を追求しながらかかわり合いを持っている。
④2つの行動が重複するときは集団の生産性は低い。2つの行動がそれぞれ独立している時に集団は生産的になる。
● ちょっと難しいですね。要はチーム(組織)のメンバーが、仕事の目的・目標を遂行するのに集中し、協働状態にある時は、そのチームは成果をあげ、メンバーも満足して仕事に打ち込んでいるということでしょう。
● 逆にチーム内にリーダーとメンバーの関係、メンバー間の関係において、仕事の目的・目標達成とは別のエネルギーが働いていると、それによって仕事が生産的に行われなくなるということだと思います。
● 集団が非生産的になっているのはどういう兆候があるのか、研修では3つの場合があると学びました。それは・・・
①依存→反依存の状態
1、チームにおいてメンバー(部下)がリーダー(上司)に対して過度の依存傾向が強い時、そのメンバーは生産的ではない。
2、反依存とは、力のあるリーダーを求めるのだが、やがて反発するようになること。
(リーダーに選ばれるまでは、その集団の中でその人は救世主なるが、テキパキとリーダーシップをとり始めると、必ず十字架にさらされる運命にある。)
● これはとても印象に残りました。以後、実際の会社生活、コンサルタント生活でもこのような状態を数多く経験しましたし、目の当たりにしました。みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか?また政治の世界を外野から見ていてもよく目にすることです。
● ②はサブグループが形成されることです。
ある公式のチームや組織の中で、気のあった者同士や、親分子分のような関係で自然と非公式グループが形成されます。これはよくわかりますね。まずいのはこのサブグループ同士が、お互いに足を引っ張り合うことです。
● ③は面白くないという感情が生まれることです。
それは、現実のチーム(組織)では、その社会で許される範囲のことでこの感情が現れるのです。それは具体的には「逃避」と「闘争」という形で現れます。
● 面白くない感情が生まれたとき、人は「臭いものには蓋をする」とか「無意味な笑いでごまかす」というような行動をとります。これが逃避行動です。闘争とは本当に対決してやり合うことです。この場合一通りやりあうと、ノーサイドにしよう(笑)といって一時的に仕事行動になりますが、決して長続きはしません。課題が変わるとか、外圧の変化で元に戻ることが多いのです。
● これも経験がある方が多いのではないでしょうか?私は会社の会議などでよく経験しました。自分自身も面白くないという会合やセミナーではよく内職をして逃避したものです。
● これら3つのことは、集団(チームや組織ともいう)を観察する時に覚えておくと、その集団の状態の把握、そしてどこに問題があるのかがわかりやすくなります。
● 以上のことをふまえてインターグループスキルを学ぶ実習に入ったのです。その時のドキュメントは今読んでもよく書けています。素直に真剣に学んでいる自分が居ます。(笑)当時33歳、燃えていた日々が懐かしいですね。
● ですが、今回は研修ドキュメントの紹介は省略いたします。体験を文章にして伝える筆力がありません。実習で学んだこと、その後の人生できづいたことを、スキルとしてどのようなものになるのかを次回にまとめとして書きます。<前編完>
- 登録日時
- 2012/10/09(火) 10:28