▲九州の知人から届いた今年最後の写真から 「初雪と滝」 神戸ではまだ初雪は見られません。 「冬来たらば春遠からじ」、寒さに打ち勝ち年を越しましょう!
【今月のトピックス③】
新聞記事『焼酎表示で火花』の記事から思いついたこと
● 2012年も残すところあと4日となりました。(このコラムは12月28日に書いています)本欄をお読みくださる皆様には良い年を迎えられますようこころからお祈り申し上げます。
● 表題の新聞記事は朝日新聞の12月19日朝刊に掲載されていたものです。例によって記事のコピーをアップしておきますので興味のある方はクリックしてお読みください。
● この記事をテーマにコラムを書こうと思ったきっかけは、12月26日(水)の近所にある百貨店が薩摩【本格】芋焼酎「赤霧島」の限定販売をチラシで訴求していたのを目にしたからです。
● 当日は午後から人と会う約束でしたので時間がありました。購入のために遅れをとったのですが、午前9時25分頃にお店に並びました。以前は1時間前に並んでも入手できないことがありましたので半分は諦めていました。
● ところが今回の先客は1人だけでした。開店20分ぐらい前には限定数(900ml 30本)に到達するお客さんがこられましたので幸運でした。限定6本の1.8ℓ瓶の方を購入することができました。実は家にはCOOPが今秋に会員向けネット販売をしてくれた時に入手した900ml瓶が1本あります。
● これでようやく飾っておかずに呑む決心ができます。(笑)この「赤霧島」という芋焼酎はネットで購入しても送料込では高くつきます。神戸市内の酒屋では900ml瓶で2,680円という価格で販売されています。(全てではありません)
● 今回私が入手した1.8ℓ瓶は2.341円でした。貯まっていたポイントで341円分を払ったので、実質2.000円の現金支出でした。とっても得した気分になっている小市民です。(笑)
● 私のお酒は嗜む程度です。夏はビールかハイボール、冬は日本酒、焼酎のお湯割りが定番です。酒類に関して造詣があるわけではないのですが、少しだけ味にこだわります。自分の口に合うかどうかという当然のことが判断基準なんですけど。
● さてここまで引っ張ったのは今回の文章の全体量が少ないためです。(笑)ここから本題に入ります。私がこの新聞記事に興味を持ったのは、焼酎には「本格焼酎」と「混和焼酎」というのがあるということを知らなかったからです。
● 以前も牛乳を購入するのに「成分無調整」と「成分調整」牛乳があることを知らなかったことがあります。他にも「低脂肪乳」や「乳飲料」があるのをスーパーマーケットで買い物をするようになるまで知りませんでした。
● 焼酎に戻りますが、この記事での問題提起は「本格焼酎」と「混和焼酎」の違いが消費者には伝わらず、本格焼酎を製造販売している組合と【価格が安い】混和焼酎を販売している大手ビールメーカーが対立している実態です。
● この記事の記者の結論はビールと第三のビールのように消費者は「価格の安さ」で選択しているので、「本格焼酎」派が主張するような違いがわかるような表示を大きくしてもあまり選択はかわらないのではないかとしています。
● 私が注目したのは記事の中の【比較表】です。これはとてもわかりやすく、店頭POPにすれば消費者にとっては【選択の役に立つ】と思ったからです。さっそく近所のスーパーマーケットを5店舗見て回りました。
● 分かったことは、どの店も「置いてあるだけ、並べてあるだけ」の陳列に近く、3店舗では単品ごとに価格表にその品の品質が同一要素フォーマットで記載されていました。
● 分類として「本格焼酎」「混和焼酎」という区分けはありません。その前に「麦焼酎」と「芋焼酎」という分類すらありません。ビールも日本酒もそうですが「お客様はわかっている」という前提で陳列がされています。
● 以前、ワインを購入するときにスーパー「成城石井」の店が重点単品ごとにPOPを店舗して、人気ランキングを付けていた記憶があります。「こだわり商品」という商品紹介POPも掲出されていました。購入の参考にはなりましたが【比較表】はなかったので購入決定には迷いが生じました。
● 私の見解では、売り手の努力不足だと思います。これじゃ新しい需要を喚起することは難しいし、お客様がいつも購入するものと違う商品を「試してみよう」という気にはならないでしょう。
● 売場には「販売のストーリーが必要」です。これが売上増につながるひとつの手段です。これについては来年1月に「売上アップの7つの視点」と題してコラム【今月の提案】を連載する予定です。
● 売場なら売場らしく、お客様の立場になって「買い場」と称するならそれなりの踏み込みが必要です。私はその上に「愉快場」というコンセプトの売場づくりが必要な店、商品があると思っています。
● 今回の焼酎売場では、私が住んでいる街のスーパーマーケットが全て「価格志向」の「置いてあるだけ、並べてあるだけ」であるのは不運です。そうでないスーパーマーケットにお住まいの方は幸せです。
● 少なくとも、①購入客を「初めて購入する状態の人」のつもりで見直し、②商品を選択するため条件(分類区分と表示と比較表)を整えてもらいたいですね。そのためにはこの新聞記事の比較表レベルの情報提供をしてもらいたいものです。
● そうすれば、何人かは試しに両方を購入する機会を持たれるのではないかと思います。そして同一分類の中での選択の手助けは、売れ筋ベスト3とそれぞれの品が、どういう好みをお持ちの方にオススメなのかという理由を示してもらえれば売上アップにつながるでしょう。
● メーカーやスーパーマーケットの立場からすると、①低価格商品で集客をするのはあたりまえ、②価格ラインをいくつか揃えればお客は自分で経験とブランドを頼りに選ぶという思い込みがあるのではないでしょうか?
● また、お店ごとにそのようなPOPを制作する人材はいない、時間がない、そういうものを掲出するより商品を大量に陳列することのほうが大事だという考えがあるのでしょう。メーカー側は店での陳列位置と陳列フェイスを拡大することを頼み込むしか手段はないのでしょう。
● できていないのは、そういうことは必要だとわかっていても優先順位が低いのでやらないか、それとも無知なのかのいずれかです。デフレからの脱却の一つの要因としてお客様の買上げ単価の低下が言われています。
● しかし、安い商品は必要ですが、ワンランク、ツーランク上の価格ラインの商品を購入していただくには、商品の価値と違いをわかっていただく仕掛けが必要です。それを実現すべき小売業の最前線がお客様をリードするような提案をしない限り難しいでしょう。
● この新聞記事と私の主張を読まれて、最前線で働く人たちが「そうだ!」と思い行動を起こしていただければ、地域の人々の幸せの実現に貢献することができます。
● ということでおおよそこのコラムで私が必要だと考える分量になりました。なにやら提案ぽくなりましたが、今回の新聞記事から思いついたことをつらつら書いていますのでトピックスとさせていただきます。
● 私は読者の反応や意見を聴くつもりでこれを書いていませんので、あくまで役に立つだろうという独断の産物です。これをヒントにご自分の思考のネタにしていただければと思います。
● 自分が小売業の現場で行うべきことは何かという主張とは違う態度で書いているということは自覚しています。そこのところは読者のご寛容をお願いいたします。
● これで今年は終わりにするか、まだ書き連ねるかはわかりません。最後までお読みいただいた方には感謝いたします。「ありがとうございました」。引き続き来年もご愛読いただければ幸いです。<完>
- 登録日時
- 2012/12/29(土) 09:52