【2013年1月の提案①】
『不易流行』に学び活用する
●若いころから四文字熟語に興味がありました。10代のころは「質実剛健」がお気に入りでした。生徒手帳に書いて携帯していたものです。男は男らしく生きるべきだ、という考えがありました。
●尾崎士郎著の「人生劇場」の影響を受けていました。小学生のころからラジオで同小説を題材にした浪曲を聴いていたのです。村田英雄の浪曲と歌謡曲はその時に刷り込まれています。「俺も生きたア~や仁吉のように~」。主人公「青成瓢吉」と自分をオーバーラップさせていたようです。
●30代のころに出会ったのが陽明学にある「知行合一(ちこうごういつ)」と「不易流行(ふえきりゅうこう)」という言葉です。いずれもその後の人生で座右の銘のようにしてきました。今回はその「不易流行」について思うところを書きます。
●不易とはいつまでも変わらない本質的なこと。流行とは時代に応じて変化すること。この両方を追究することが生きていくうえで重要なんだというふうに記憶しています。
●俳人、松尾芭蕉の言葉だそうです。俳句は五・七・五という制約の中で創造的な俳句を生み出さねばなりません。制約をはずせばそれは俳句とは言えないので、五・七・五は不易。制約の中で生み出す句が流行ととらえたのではないかと思います。
●これを仕事に応用して身につけたのが「パターンやフレームワーク、フォーマット」を学び、それを駆使することです。それが「不易」の部分でその中身を時々の課題に応じて創意工夫することを「流行」と位置付けました。
●例えば問題解決のフレームワークや手順を知っておれば、個々の問題に直面した時にそれを使えば思考は効率的になります。現実には取り組むべき問題は「課題」といいます。(これについては別に書きます)
●他にも「店長の仕事」や「売上アップ法」、「売場づくりのストーリー化」、それに「ビジネスモデル」「マーケティング戦略」、「コンサルティング法」、「研修プログラム、テキストの創り方」「研修法」、「文章の書き方」などで実践してきました。それぞれの型が不易の部分です。
●それに対して個別の案件ごとに知恵を絞るのが流行の部分です。不易の部分は先人の知恵で学ぶことができますが、流行は独自性が求められます。どこにでもあるようなアイデアでは競争に勝てません。
●戦略レベルのことであろうと戦術レベルのことであろうともそこには独自性が必要です。創造力が問われるのです。これが難しいからコンサルタントの存在価値が求められ、世の中ではビジネスのハウツウ書があふれかえるのです。
●ですが本当に効果に結び付けるなら、個々の企業で働くビジネスパーソンがこのことを知って「不易」の部分も「流行」の部分も力をつけられることが必要です。それもいくつも一度に覚える必要はありません。
●現在の仕事に必要な領域のことに集中すれば良いのです。先にあげました「課題解決のフレームワークと手順」を極められるだけで思考力がぐんぐん伸びます。多くの実践を重ね、課題ごとに知恵を絞り実践して、その結果を検証して記録するだけで実力アップは間違いなしです。
●その中で「アイデア創出法」も不易の部分としてフレームワークと手順をマスターされるとよいでしょう。流行の部分は量が勝負です。1つのテーマで100個のアイデア創出は必須です。
●頭に負荷をかけてアイデアを絞り出す。これが流行の部分で独自性のあるものを考え出す最初のステップです。量が質に優先するのです。ぜひ挑戦してみてください。1テーマ100個のアイデアは相当厳しい訓練になります。
●課題解決法とアイデア創出法を極めるのが初級から中級のビジネスパーソンの「思考力」の不易流行になるでしょう。もう一つの領域は「対人スキル」です。ここにも不易流行を応用すればあなたの能力アップは間違いないでしょう。
●コミュニケーションスキルの基本(不易)を学び、あとはできるだけ多くの人と接することです。(流行)ここでも量が優先されます。そして問題意識を持って取り組めば必ず上達します。
●ビジネスで能力に磨きをかけるには宮本武蔵の二刀流がお勧めです。「思考力」と「対人スキル」この2つを当面の課題にしてみてください。それぞれに「不易」の部分と「流行」の部分がある認識するだけで4つのボックスがイメージできます。
●それぞれのボックスをあなたの体験と学習で一杯にしていかれればそれはやがて宝箱になるでしょう。ところでプロ野球日本ハムの期待の新人大谷選手は二刀流挑戦するようですが、こちらはやがて1本に絞るべきでしょうね。
取り組む分野を間違えてはいけません。<完>
- 登録日時
- 2013/01/17(木) 15:50