【2013年2月のトピックス①】
2つの言葉の違い その2『問題と課題の違い』
●本題に入る前に前回のトピックスの途中で引っかかった「下さい」と「ください」の使い方の違いを調べましたのでご紹介しておきましょう。
●ネットで調べるとNHKアナウンスルームの方が2010年に書かれたものがありました。私にはよくわかりましたのでコピペしておきます。以下・・・
●日常的によく使う「~クダサイ」という表現。漢字だったり平仮名だったり、その表記の仕方はまちまちですよね。この使い分けに戸惑いがあるというお便りを複数いただきました。
●そもそも「ください」は、尊敬語の「くださる」が変化した丁寧・尊敬表現です。意味は大きく分けて2つ。例えば「りんごをクダサイ」「返事は私にクダサイ」。これは相手に何かしらの事物を願い求める時の"ちょうだい"といった使い方です。英語でいえば〔give〕。つまり動詞ですね。
●一方「資料を配ってクダサイ」「どうぞご自愛クダサイ」。これは、相手にこうして欲しいと動作を依頼したり命令する場合に用いる表現。英語でいえば〔please〕。"どうぞお願いします"といった意味ですよね。この場合は、「~てクダサイ」の形で動詞の後に付いたり、「ご○○クダサイ」「お○○クダサイ」の形で動作を表す名詞に付いて、敬意を添える補助動詞です。
●実は、「クダサイ」の使い分けには、この品詞の違いが大きく関係しています。戦前は、品詞に関係なく全て漢字で書くのが一般的でした。しかし、昭和28年に示された「文部省用字用語例」では、「"下さい"はやむを得ない場合以外は使わない」とし、公用文では専ら「ください」と平仮名書きに。その後、昭和48年に新たに示された「文部省用字用語例」では、『動詞...下さい、補助動詞...~(て)ください』とする、漢字と平仮名の使い分けの基準を定めました。
●先ほどの例に当てはめると「りんごを私に下さい」「資料を配ってください」と書き分ける事になります。ただし、これは絶対的なものではなく公用文における申し合わせ。普段はどちらで書いても間違いとはいえないようですね。
●以上引用-上手ですね、説明が。構成が良くて個々の文章も参考になります。私もこのように簡潔にわかりやすく説明できるようにしたいものです。頑張ります。
●さて今回のテーマは『問題と課題の違い』です。問題とは「あるべき姿と現状とのギャップである」と定義されます。
●あるべき姿には2つの側面があります。1つは現在こうあるべきとされているあたりまえの水準や基準です。例えば交通機関の時刻表、定刻通り列車やバスが駅や停留所に到着するのはあたり前ですが、早すぎたり遅れたりするとそれは問題です。
●スーパーマーケットで買い物をした時、表示されている価格とレジで打ち込まれた価格に違いがあればそれは問題です。計算ミス、書き間違いなどすべてあたり前にできなければならないことができない時にそれは問題だと言います。
●もう一つは、わが社、わが店の今期の目標売上高、利益は○○○だと設定したのに、それが達成できない時は問題になります。(本当は達成し過ぎるのも問題なんですが、これは一般的に問題視されません。)
●この2つの側面で発生した問題を主体となる人が「問題だと認識」したことすべてが「問題」となります。気づかないことは問題とは言えません。潜在している問題だと解釈もできますが。
●商売などでは売り手が気づかずともお客様から指摘を受けて問題に気づくことがあります。(潜在化した問題が顕在化するということです。)
●まとめますと、2つのあるべき姿と現状のギャップで主体者が問題だと認識したことが問題です。ということは認識しない問題(ここでは問題の範疇には入れませんが、現実には潜んでいる場合があります)も含めると数は多いのが一般的です。
●ではこれで問題の種類は終わりかというとそうではありません。今回は取り上げませんが他にも2つあります。上記の例は最初のものが①発生型の問題です。2つめは②開発型の問題です。それ以外の2つとは③改善型の問題と④戦略型の問題です。
●これについては中村伸氏著「仕事の思考法」(2000年)を参考に図表化したものをアップしておきますので上記の記号をクリックしてご覧ください。
●では課題とは何でしょうか?課題は問題を認識した主体者が「解決に取り組もうとする問題」のことを言います。課題にはいくつかの条件があります。仕事研究を教えていただいた故伊櫻淑親先生の課題に対する定義と良い課題の条件を掲げておきます。
●課題とは「これはわれわれが鋭意取り組まねばならぬ業務上の重要ポイントである。」という上司の判断であり、上司の決意を示すものである。勿論、部下からの提案されたものもあるが、それも上司が決断したものでなければならない、とおっしゃっています。
●気魄のこもった良い言葉です。共感しました。私はそのようにしてきましたし、随分と使わせていただきました。
●「良い課題の条件とは」次の5つです。
①担当業務のレベルを上げるための「ナントシテモ何とかしたい」こと。ナントシテモなのだから、困難があっても克服を工夫することになる。
②身近であって、しかも自分たちの力でなんとかなりそうなこと。「挑戦」に値することであると同時に、「克服」の可能性がある事柄であることが大事だ。(課題の大小、難易は関係なし)
③「自分たちなりの発見」がありそうな問題であること。(ささやかでも自分たちの心の中に旗が立つこと)
④課題を示された側にとって、課題の輪郭がほぼイメージできる程度に具体的であること。
⑤人間の変化を直接的に求めない課題であること。人を責める方向に向かわないこと。
●特に⑤にはインパクトを受けました。人を変えることに関心が高かった私が、仕事関係に焦点を当てることで人が変わることをその後実感することになりました。
●実際にはすべての課題に5条件を満たすことには無理がありました。特に最初は③が難しいでしょう。①も成功体験を積み重ねないと吸収できませんでした。②④⑤の3条件から始めるのが実践的です。⑤も行きあたらないと気付かないものです。
●特に私のこころをとらえたのは③です。自分も含めメンバーの心の中に旗を立てたいという思いが強くなったのを覚えています。じかし実際にはあまり旗を立てることはできませんでした。(自分の力不足を反省です。)
●懐かしいですね。仕事研究に魅せられて秩父の山並、市街を歩きまわって学んだラリー、それを自社に導入して数年に亘って実施したこと。ここまで書きながら30代の頃が思い起こされました。
●仕事は問題を発見し課題を設定してその解決に知恵をこめて挑戦する。その結果を検証して学び、また新たな課題に立ち向かうことです。その精神的な姿勢は主体性の発揮による現状打破です。そして思考技術と対人スキルを身につける、それが課題解決に立ち向かう基本的な武器です。
●このことはまた別の機会に詳しく書きましょう。今回は「問題」と「課題」の違いについての説明でした。前回よりはわかりやすかったのではないでしょうか?<完>
- 登録日時
- 2013/02/04(月) 18:41