▲関西個別指導学院のB3チラシの中面。このページだけは問題
提起・解決型のストーリー型パターンです。参考になります。全体としては改善ポイントがあります。
【2013年2月の提案③】
学習塾のチラシ分析から学ぶ
●昨日「チラシのパターン化<その2>」をアップしました。正確には「チラシ制作における内容の企画パターン」という表題が適している内容です。7つの基本ステップで考えようという提案でした。
●春商戦を前にして(すでに始まっていますが・・)即効性のある内容のものを提案したいと思いがあります。対象はチラシ制作にたずさわる現場責任者の方を想定しました。いかがだったでしょうか?1人でもやる気になり実践の参考にしていただければ幸いです。
●ただ私の経験上、自分にとって新しい知識はすぐに消化できませんでした。話を聞いている時はわかったような気がしても、実際にやってみると行き詰ることが多々あります。
●できる限り「手段・方法」が「手順」になるように書いたつもりですが、個別指導ではないので行き届かないことがあるでしょう。そこで4日(月)、5日(火)に投入された「学習塾のチラシ」が8枚手元にあるのを幸い、これを簡易分析してみました。
●本格的な「チラシ診断」ではありませんが、チラシ制作の基本ステップを学ぶには適した事例だと思いますのでそれをアップしておきます。上記の記号をクリックしてご覧ください。
●以下、簡易分析の内容を書いておきます。上記の8社の比較表の中にも簡単コメントはカッコで書いています。私の見解、意見です。理由は書いていませんのでご了承ください。(本格的な診断では理由まで書きます。)
●まず、最初に「分析の定義」の確認からしましょう。
分析とは『収集した情報を要素に分ける作業を通して、目的に合致した意味合いを得ること』波頭 亮著「思考・論理・分析」(2004年)より。
●今回はチラシ制作における企画内容の抽出手順という要素に従って「分けて」
比較表にしました。目的はここから各社のチラシが、基本ステップの要素にどれだけ適合しているかを探りだすことです。そしてそれが「チラシの企画内容の立案手順を学ぶための事例になるのか」という意味合いを得ることとしました。
●個々の企画内容について私はこの業界の専門家ではありませんのでよくわかりません。それよりも「企画内容の手順がわかったか」に焦点をあてていますので、その旨をご理解のうえ読み進めてください。
●また今回は企画内容にのみ焦点を当てています。実際のチラシ診断では、「内容面」と「表現方法」の両面にわたって行います。
●ここまで読まれたならぜひ比較表をクリックしてご覧ください。手書きだとこの程度のことは8社を90分でできます。私にとってはパソコンに打ち込む方が倍近い時間がかかりました。(笑)
●フォーマットを作っておけばいきなりパソコンに打ち込んでも1社15分から20分で書き込むことができると思います。ぜひご自分でやってみてください。最初は時間がかかってもあなたの得意の仕事と同じで、慣れれば私と同じように、あるいはそれ以上にできるでしょう。
●但し、表現方法についてまで踏み込むならば、1.5倍の時間は必要でしょう。
●最後に総括して気づいたことを述べておきます。視点の切り口の参考にしてください。
●①多くのチラシが商品価値提案型です。一部、実績訴求型と問題提起・解決型がありました。このように分類するのをパターン化と言います。この学習塾業界でも自社の商品が提供できる価値を訴求するのが主流です。
●この場合、商品価値をどのように表現すれば読者に伝わり、心を動かせ、行動につなげられるかという研究が必要です。これが「課題です」。
●またこのパターンのチラシはいくつかの要素を盛り込みますが、フォーマット④⑤にありますように「USP」になっているかという検証と競合との対比が必要です。
●表現方法としては、いくつかの要素が独立しており「要素羅列型」になっている場合が多いのです。この場合は1つ1つの要素がどれだけ掘り下げて表現されているかが問われます。紙面の都合で広く浅くなるという「告知型」になる弱点があります。
●「要素関連型」になっていれば、対象顧客にとっては興味のある内容ですのでその方々には読んでいただけるメリットがあります。今回のチラシでは「馬淵教室」がそれにあたるでしょう。
●「ストーリー型」は「関西個別指導学院」がもっとも近く、「エディック」や「京進スクール・ワン」「馬淵教室」の学習システム訴求の部分はストーリーになっていると言えるでしょう。
●②対象顧客像の想定はかなりできているでしょう。特に「馬淵教室」「京進スクール・ワン」は顕著です。これにより8社の市場におけるポジショニングが設定できます。
●例えば横軸に生徒の「やる気度合い」縦軸に「現有学力」を設定して、各社が主要顧客としてどのような状態の人をねらっているかが分類できます。これを行うと、バッティング状況や独自のマーケットねらいが判明します。
●それが各商圏で適しているのかいないのかを判断することも可能です。
●③対象顧客の悩みや要望はほとんど「有名学校への進学」と捉えているようです。「京進スクール・ワン」のみが「子供の勉強へのやる気の度合いを想定」しているのがうかがえます。
●それが「受験対策」「テスト対策」「苦手克服」コースを前面に打ち出していることからわかります。よく見ると「関西個別指導学院」も「受験対策」「弱点克服」「基礎固め」という表現を使っていますが、最後のチェック項目のような扱いです。
●④各社の商品のUSPを想定することが可能です。「若松塾」の「わかまつっ子宣言」は会津の「あいづっ子宣言」をモデルに実践されているようですが、個人的にはユニークだと思いました。
●⑤各社【無料】というフロントエンド商品が常套手段になっていて、それで顧客をつかみ、その後本当に売りたいバックエンド商品につなげるという商品のフローができています。これは健康食品などでおなじみの手法ですね。
●「日能研」の際立った【無料作戦】が目につきました。実績訴求をして成果を示し、試しに来てくれというシンプルなストーリーができているようです。生徒や親の悩みや要望は自明のこととして、商品力で勝負しようというのがうかがえます。
●⑥最後にいくつかの販売心理学の適用を思わせるもので気づいたことを書いておきます。
・「権威効果の活用」→脳科学の池谷准教授の講演会とか有名校の合格者数
・「フォールス・コンセンサス」→お客様の声を掲載すること。
・「Q&Aによる理解促進」→分けることで理解しやすくする。
・「使用前・使用後の応用」→受講前と受講後の対比
・「特典効果」→人はおまけにこころを動かせやすい
・「メディアミックス」→「QRコード」でホームページへの誘導
●まだまだじっくり見れば発見することがあるでしょう。業界の方がご覧になれば気づかれることもあると思います。ご参考にしてください。
●学習塾に通わせたいお子様をお持ちの方にもこの表は参考になると思います。実際のチラシを見ながらこの情報を活用していただければ役に立つのではないでしょうか?(笑)
●チラシ企画内容の思考手順の一つを紹介してきました。ただ私が推奨する「問題提起・解決型」のチラシは「関西個別指導学院」が最も近いのですが、理想の要素は満たしてくれていません。そこは推測のうえご活用下さい。そして前回のコラムと合わせてお読みいただき参考にしていただければ幸いです。<完>
- 登録日時
- 2013/02/07(木) 13:22