▲梅の花の季節です。(白梅)花言葉は高潔な心、澄んだ心、上品。うちに厳しさを秘めた可憐な花です。バラ科の花ですね。ところでイチゴもバラ科だというのをクイズで知りました。(Eテレcafe)
【2013年2月のトピックス②】
2つの言葉の違い その3『原因と要因の違い』
●何らかの問題が発生すれば(問題のある結果)そこには因果関係として原因があります。ですから問題(課題)解決には原因を求めてから対策を打つ必要があります。
●原因を見つけるには実態把握から始めるのが定石です。実態を把握しないで思い込みや先入観で原因を判断するなり、原因把握が不十分なまま対策を考えると失敗につながりやすくなります。
●そこで実態把握から原因分析を行うのですが、実際にこれをやってみると簡単に原因が見つかる問題から、とても複雑で難しい問題までいろいろあります。
●前回も書きましたが、問題には4種類の性質の違うものがあります。それは①発生型の問題、②改善型の問題、③開発型(設計型)の問題、④戦略型の問題の4つです。この分類は中村伸氏著の「仕事の思考法」(2000年)から引用したものです。(図表は前回のものを参照してください)
●原因把握が必要なのは特に①と②の問題です。③と④は仮説をたてて実行するという要素の方が多く、実際に先にやってみた結果の分析の時に原因分析を行います。
●発生型の問題や改善型の問題には何らかの原因があって結果が出ています。これを因果関係からするとなんらかの原因があるはずです。簡単に原因究明ができるものは難しく考える必要はなく即対策を打てば良いでしょう。
●例えば家庭で発熱系の電化製品複数を一度に使ったためにブレーカーが落ちたという場合(問題の発生)、電気使用量の多い電子レンジや電気暖房を切るという対策を行い、ブレーカーを元に戻せば解決ということです。
●しかる後にその時に使っていた電気製品を確認し、その後はどれか一つはOFFにして同時に使わないことにする。という対策を習慣化することで再発は防止できます。この場合は事例では難しい原因追究の必要はありませんね。
●ところが仕事ではそうは簡単でないことが多くあります。それは原因に行き着くのが難しい複雑さのせいもありますが、もうひとつの側面は複数の要因が絡んでいるからです。
●ここで「要因」という言葉を使いましたが、ある問題に対してその結果をもたらす要素が複数ある時に要因と言います。ですから原因追究をする時にまずは要因分析を行います。
●そのツールが「系統図」や「特性要因図」と言われるものです。これらで分析される要因は必ずしも当該問題の原因であるとは限りません。結果をもたらすであろうという要素が網羅されます。ですからチェックリストとしても使えます。(これらはぜひ学ばれることをお勧めいたします)
●これらの要素の中から当該結果の要因になるもので最も影響力の大きいのが「原因」です。
●例えば
2月1日の新聞各社が報じている大津市の中学生が自殺した問題で、市教委が設置した第三者調査委員会の報告書についての記事があります。そのタイトルコピーならびにリードコピー、本文で『自殺は「いじめが直接的要因」と明言した』とあります。
●ここで繰り返されている言葉は「要因」であってどこにも「原因」という言葉は出てきません。なぜ「いじめが原因」としないのでしょうか?他にも何かあるのか、本人が亡くなっているので確かめられない部分があるからでしょうか、新聞でぜひ解説してほしいですね。
●ビジネスでよくある売上目標の未達成という結果の原因を探った時に、なかなかこれだと絞り込めない場合が多々あります。それだけ要因が複数に亘っていてそれぞれが影響している場合が多いからでしょう。
●このような場合は要因と原因を区分けしなくても「要因はコレとコレと・・・」という表現になります。それからこれだというのを絞り込んで因果関係が判明すればそれが原因だということは言えます。しかしそれを証明するのは難しい場合が多いのも事実です。
●まとめますと「要因」とはある結果に対する複数の影響力のあった要素です。その中からこれが一番大きく影響力があったと判明したものが「原因」ということです。いかがでしょうか?お分かりいただけたでしょうか。
●このあたりが曖昧に使われてコミュニケーションをしていると本当の意思の疎通がはかれません。特にいくつかの要因が絡んでいる問題を解決する協議(ミーティング)をしている時に、早計に「原因はこれだ!」と決めつけて発言をする人がいます。
●人は自分がわかったと思ったことは容易に撤回しない性癖を持っています。反対されると固執することさえあります。そのことを知っていれば、いくつかの要因を確認する、検討するという方が問題の原因を掴む可能性が高いと思えるでしょう。
●言葉の意味を共有してからコミュニケーションを行うことの重要性を認識していただければ幸いです。<完>
- 登録日時
- 2013/02/13(水) 15:00