▲上記の記号をクリックしてください。先週2月12日、13日投入の学習塾のチラシ内容簡易分析です。前回のものと比べながら参照されると少しずつ各社の特長と違いが見えてくるはずです。
【2013年2月の提案④】
チラシのパターン化<その3>2つの追加視点
●前回お伝えした「学習塾のチラシ分析から学ぶ」の続編を作成しました。各社相当力が入っていますね。今が勝負時という感がします。内容も量の多さも学ぶには最適の素材です。チラシ制作に関心のある方はぜひお読みください。
●今週もすでに18日、19日とチラシが投入されています。さすがに先々週に比べると内容は重複したものが多くなりました。チラシの分析はしばらくお休みにして観察しておきます。
●今回はチラシ制作のパターン化について、学習塾のチラシを分析しているうちに気づいたことを補足としてお伝えします。大事な視点ですので覚えておいてください。
●2つあります。最初は「業種・業態によって新聞折り込みチラシの役割、コンセプトが違ってくる」ということです。どういうことかというと・・・
●新聞折り込みチラシを投入する業種・業態は様々ありますが、大きく分類すると次の3つになるのではないでしょうか?
●1つめは、「店舗に集客してから販売する業種・業態」です。例えばスーパーマーケット、ホームセンター、家電量販店、パチンコホール、回転すしなどです。
●これらの店の特長は、お客様を店に集客すればあとはその店の「品揃え・価格・売場づくり・接客・販売ツール」などによって「売る」という構造になっています。したがってチラシの役割は、店の存在を知らしめて、店に集客することです。
●販売心理の5段階の「AIDCA理論」ではAのアテンション(注目)とインタレスト(興味を持つ)が実現できれば良くて、できればディザイア(欲しくなる)まで行ければよいというものです。
●2つめは「通信販売でそのチラシで購入を決定してもらう」というものです。多いのが健康・美容食品関係、1杯19円でおなじみのモカコーヒー、ヤーマンの空気清浄機、ジャパネットたかたなどです。
●これらのチラシの役割はそのチラシ1枚で購入決定のレスポンス(反応)を得ることです。したがってAIDCA理論では4番目のコンビクション(確信)、最後のアクション(購入申し込み、サンプルも含む)までを表現しています。
●3つめは前回と今回に分析しました学習塾のように、「問い合わせやイベントで集客してから購入決定を促す」ものです。他にもスポーツクラブ(アスレチッククラブ)、自動車のショールーム、美容整形などです。
●これらの業種・業態は1つめのスーパーや家電量販の店のように来店する敷居が低くはありません。そこに問い合わせたり行くにはほんの少し勇気が要ります。それに日常的に経験できる場所ではなく、必要に迫られたら関心を持つ場所だからです。
●AIDCA理論ではチラシによってAIDまでを実現する役割が求められます。1つ目と違うのはディザイア(欲しくなる)までを意識して訴求しないと問い合わせや来店という行動につなげにくいでしょう。
●こうして分類してみると1つめの業種・業態は「A・I」が重要、2つめは、
「AIDCA」が必要、そして3つめは「A・I・D」が重要ということになります。位置づけをしますと1つめと2つめが対極にあり、3つめはその中間というところでしょうか。
●このように分類すると、異業種のチラシから学ぶという行為にはその業種・業態のビジネスモデルの置かれた位置づけからチラシの役割をつかんでおくということが必要です。それをつかまないで小手先のアイデアを真似するというのは失敗の確率が高くなります。
●前回、前々回と学習塾のチラシから学ぶと題した提案を行いましたが、この視点の説明が抜けていました。今回の提案を前提に異業種のチラシを見るときの参考にしてください。
●もうひとつお伝えしておきたいことがあります。それは商戦には「導入期・展開期・最盛期・晩期」というライフサイクルという時間軸があることです。このライフサイクル理論は主に製品開発において生み出された考え方です。
●これが商売において春商戦、夏商戦、冬商戦ごとに上記の4つの期間分類が適用され、それぞれに商品・価格・売場・販売ツール・接客対応がきめ細かく設計されるようになりました。
●それぞれの期間ごとに販売政策が変化するわけですから、チラシの役割も変化しなければなりません。さらにチラシの累積効果を上げるためにも、繰り返し投入の必要性があります。商戦に1回だけ投入するようでは効果が限られます。(1部、イベント的に期間限定で行われるものは別です。)
●繰り返し投入する時の注意点は読者のマンネリ化を防ぐことです。いくつかの要素(コンテンツ)は変えるわけにいかないでしょうが、アイキャッチのビジュアルやキャッチコピー(私は両方でキャッチタイトルと言っています)を変化させたり、セールスポイントを変化させることが必要です。
●例えば導入期のポイントはその商戦で自社が狙いとするお客様像は○○だとわかるようにする。(顧客像の絞り込み)あるいは全顧客を対象にする。商品はフルラインナップを提示する、重点商品(競争優位性のある独自商品)に絞り込むなど、提供プロセス価値を提示する、アフターの卓越性を訴求するなどです。そのねらいは「必要性の喚起による見込み客の獲得」です。
●展開期、最盛期のねらいは自社の強みを強調して優位性のある商品で売り上げ拡大をはかる、関連商品の購入も促すなどです。買い上げ点数と買い上げ単価を上げることを考える必要があります。
●晩期はご存じ在庫調整販売です。バーゲンなど有名な手段です。(ファッションなどはバーゲンが展開期・最盛期の手段となっている店があります。)ここでは業種・業態によっては追加商品(消耗品や関連商品)の販売(発展型商品には使えます)が有効です。
●もうひとつ晩期の商戦のねらい目は、流通・サービス業で働く人たちは展開期・最盛期には自分の仕事が忙しくて買い物ができにくいことが挙げられます。そういう人たちは自店の商売が一息ついたところで自分たちの買い物をされることがあります。
●商売人ですから晩期は価格の安さのポイントを知っておられるということもあります。特に歳末商戦などは正月商戦が終わってから冬のバーゲンを利用される方が多いのではないでしょうか?
●以上2つの視点を参考にしてください。そしてこの2つはマトリックス図にされるとわかりやすいと思います。縦軸側は3つの業種・業態分類、横軸に商戦の導入期、展開期・最盛期、晩期とすればそれぞれのチラシの重要訴求ポイントがつかめます。
●ある特定のお店や企業の方なら縦軸には販売企画・チラシ集客・商品・価格・売場づくり・販売ツール・接客応対・物流の要点などの要素を置いて、横軸は時間軸にされれば営業計画の要点がまとめられます。そのなかでチラシ制作担当はご自分の仕事の箇所を拡大しておかれれば良いでしょう。 <完>
- 登録日時
- 2013/02/19(火) 13:53