▲冬に咲く花<ナリキン草> 花言葉は一攫千金、幸運を招く、不老長寿です。今年は咲きました。我が家に幸運は来るか?(笑)
【2013年3月の提案①】
売上アップ法7つの視点 その1:数字面から考える<前篇>
●1月に予告しました『売上アップ法7つの視点』の連載第1回目です。興味のある方は1月の「プロローグ編」も合わせてお読みください。
●これからお伝えしていく『売上アップ法7つの視点』のタイトルを再度ご紹介しておきましょう。それは・・・
①数字面から考える視点
②要素から考える視点
③行動の「量」と「質」で考える視点
④販売(購入)のストーリーで考える視点
⑤顧客満足の公式から考える視点
⑥時間軸から考える視点
⑦販売手段ミックスで考える視点
●ここで言う「視点」とは【目のつけどころ】という意味です。
●以上を有名な著書「7つの習慣」の図表を参考に「7つの視点」として図表化してみました。「プロローグ編」に図表をアップしていますのでご参照ください。
●まずなぜ数字面から考える必要があるのでしょうか?民間の営利企業、団体で働いていると当然のこととして売上目標の設定とその結果を求められます。それが当たり前になっているのは売上が利益の源泉だからです。
●もうひとつは、数字が量と比率を明確に提示してくれるのでだれにでもわかりやすいという点が挙げられます。わかりやすいということは複数のメンバーが共有しやすいということ、判断や評価もしやすいという利点があります。
●ということはビジネスパーソンにとって数字は仕事を進めていくうえで必要不可欠のものと言えます。ですがその数字に対しての正しい見識を身につけていないと活用することができません。
●よく言われる「数字に強い人」とは、数字を暗記するとか、計算が速いということだけではなく、数字を見てその数値から「判断をすること」「問題点を発見できること」「適切な対策ができること」「戦略を立てられること」などができることを言います。
●今回取り上げました「売上アップを数字面から考える」というテーマは、そのような数字に強い人をめざしていただく参考になればという意図があります。ひとつひとつ掘り下げれば長くなりますので数字面から考える際の全体図と1つだけ具体的に掘り下げてみたいと思います。
●売上を取り上げますがその前提を明らかにしておきましょう。今回取り上げるのは小売業の店舗物販販売をイメージしています。最近は小売業でもネット販売(通信販売)が普及してきています。その分野については重きを置いておりません。
●またミクシィやグリーなどのソーシャルネットワークビジネスも念頭においておりません。このことは久保憂希也氏の著書「数字力の教科書」大和書房刊(2010年)を参照してください。
●そこには売上を「フロー収入」と「ストック収入」に分けて見ることを詳しく教えてくれます。フロー収入とは一定期間の増減量でストック収入とは一定時点での残高を指します。
●1回売り切りのものはフロー収入(パソコン販売、マンション売却、単発の広告収入など)、継続的に収入が入ってくるものはストック収入(インターネットの回線利用料、携帯電話の利用料、家賃収入、長期的な広告収入など)と言います。
●先般チラシで取り上げた学習塾業界などは、ストック収入がメインでフロー収入も同時に収入源となります。読者はご自分の置かれている業界の収益構造がどのようになっているかは把握されると良いでしょう。
●このことは売上アップ法の8つ目にするか、番外編としてもよいくらいです。最近のビジネスモデルはどんどん進化しています。見識を広めるためには同書を読まれることをお勧めいたします。(確か昨年、文庫化されたと思います)
●数字面から考える「理由」と「前提条件」を示しましたので、これから本題に入ります。その前に今まで「数値」という用語を使ってきましたが、本稿を書いているうちに「数字」という用語も使っていることに気づきました。
●あれっ、「数値」と「数字」はどう違うのだろうかという疑問が湧きました。例によってネット検索しますと『数と数字と数値の違い』という記事に行き当たりました。「JB PRESSのホームページ」で桜井進氏が問題提起と解説をしてくれています。(興味のある方はアクセスしてみてください)
●私にとってはとても興味深い記事でした。まだよく理解できていないのですが、連載記事なので勉強したいと思います。とりあえずここで私が使用していた「数値」という表現は正しくないと思いますので「数字」に変更し統一させていただきます。
●この件は私が理解して人に説明できるようになれば記事としてアップします。また新たな課題が見つかりワクワクしています。(笑)では今度こそ本題へ・・・。
●売上に関する数字で代表的なものが『売上=客数×客単価』という公式です。何十年も前から当然のこととして覚えてきました。数値実績を分析して「客数が伸びました」「客単価が下がりました」などと報告に使ってきたものです。
●部下を持つようになっても報告書に数値を記載させその理由を書かせたものです。あるいはその結果に基づき次期の目標設定を客数と客単価に分解して設定をさせました。ですが残念ながらそのことで踏み込んだ対策やキラリと光る手段を生み出せた記憶はありません。
●私自身の未熟さが要因です。その後コンサルタントになってようやく本格的に理解と活用ができるようになりました。分かったのはこの公式は品揃え型の店舗販売小売業に最も有効だということです。
●例えば私のクライアントであった携帯電話の販売店では「客数」は重要ですが「客単価」は意味がありません。なぜなら携帯電話はストック型の収入ですから、端末は「0円」でも「5万円」でも大して影響はありません。いかにお客様に使っていただいて通信料収入を多くするかが課題だからです。
●ですからいかに利用促進を行うかという購入後の働きかけが必要になるのです。これについてはキャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)が果たす役割が大きくて、販売店では端末を売ってしまえばそのあとまで思いを馳せることがあまりありません。
●ですから「客単価」ということを伝えても反応が鈍くなるのです。人は自分の仕事に必要性が低いことは覚えようとはしません。一方では客数、なかでも新規客数の獲得に異常な関心を持っています。それは販売店に対してキャリアからの評価と指導が厳しいからです。
●本欄の読者はいろんな業種、業界の方がおられると思いますので、一般論として「売上=客数×客単価」の話を進めていきます。さてこの公式はなぜ生まれたのでしょうか?
●このことについて解説してくれているものは殆どありません。ここからは私の独自の見解です。商売とは客数という「お客様」に対して客単価という「商品」の出会いを実現し、お客様に商品を販売するという行為であるからです。
●1人1人とお客様に1品1品を販売するというのが商売の行為の最小単位です。そこに代金の授受が行われ「売上高」が実現するというのが本質です。これを数字で表現したものが『売上高=客数×客単価』です。
●この公式はさらに分解するという行為でより具体化されます。客数×客単価が1回の商売の行為の結果だとすれば、地域に密着しないと生き抜けない店舗販売小売業の宿命として、自店のお客様に「繰り返し購入していただく」ということが求められます。
●このことをこの公式に付加して『売上高=客数×客単価×購買頻度』で、ある一定期間の売上高を表現することが一般的になりました。さらに客数を①既存顧客+②新規顧客、客単価を③一品当たりの商品単価×④買い上げ点数に分解して示されます。そして×⑤購買頻度ですね。
●そのねらいはこういう公式から数値を把握することだけでなく、なぜこのような結果になったかという『要因を探りポインを掴むため』とこれからどのような対策たてるかという『手段の開発と意思決定』が必要だからです。
●これができなければ「数字に強いビジネスパーソン」にはなれません。まずは「売上高=客数×客単価×購買頻度」の公式から数値を見てどのような要因が想定できるか、どのような対策手段が導き出せるかを研究していきましょう。
●私はこのことを長年の経験から次のようにアレンジして売上アップ対策シート創っています。サンプルをアップしておきますので上記の記号をクリックしてご覧ください。そしてこれを参考に自分の仕事に合ったものにアレンジされることをお勧めいたします。自分でやらないと何事も身には付きません。
●私のアレンジは上記の公式を次の5つに分類しました。
客数は①既存顧客の来店頻度の増加策 ②既存顧客の買上率の向上策
③新規顧客の獲得策です。
客単価は④買上げ一品当たりの単価向上策 ⑤買上げ客数の増加策です。
●これがベストとは言いません。ベターでしょう。さらなるより良い知恵が生まれれば変更すべきです。私もそうします。
●また随分と長くなってしまいました。今回はここまでを前編として終えます。この他にも売上を数字面で捉える視点があります。私の知識では8個の視点があります。次回の後編ではそれについては簡単になりますが残り4つは紹介いたします。ご期待ください。 <完>
- 登録日時
- 2013/03/05(火) 11:59