▲上記の記号をクリックしてください。3月4日、5、6日投入の学習塾のチラシ内容簡易分析です。3月に入り展開期に突入したようです。
【2013年3月の提案②】
学習塾のチラシ分析その3から学ぶこと<販売のストーリー>
●この業界のチラシはとても勉強になります。チラシの表現方法も一定レベル以上のものですし、内容も各社気合いがこもっています。やはり競争が激しいというのは良いものを生み出すようです。
●チラシ制作担当の方々の知的水準も高いのでしょう。個々の表現力は卓越しています。他の業界の方は「いかにわかりやすく伝えるか」ということが学べます。写真、イラスト、コピーのどれをとっても素晴らしいですね。
●業界については門外漢の私が3回のチラシ分析を通じて気づいた問題点を提起しておきます。それも部分的にはやっておられるのであとは絞り込んで実行されるか否かです。
●私の自論では情報発信には2つの視点がります。1つは情報の強度別の手段です。英語の頭文字をとって「I・P・D」と言います。Iはインフォメーション=情報を告知するレベル、Pはプレゼンテーション=情報の内容が提案型であること、Dはデモンストレーション=情報を実演、体験させることです。
●このことは後日「売上アップ法7つの視点」で詳しく述べます。2つめは情報を「要素羅列型」「要素関連型」「ストーリー型」で発信するという区分けをしていて、これも伝わる強度が違うという考え方です。
●今回のチラシ分析ではこの2つめの視点の3つの切り口で見ていました。
●私は3つ目の切り口、「販売のストーリー化」を価値ある手段だという自論を持っています。自論はややもすると思い込みとなって、現実にそぐわないこともあるかもしれません。「ハンマーを持った者にはすべての問題が釘に見える」という思い込みからくる色眼鏡を戒める言葉があります。
●それを承知の上で自論を提唱しています。(笑)では今回の学習塾のチラシで気づいた点をあげておきます。まずは、各社のねらいが明確であることです。ほとんどどのような見込み客を集めたいのかがよくわかります。
●特に対象顧客を絞っておられたチラシが多いのは流石です。一部すべての学生をねらうというのもあります。小商圏でライバルが多い中では絞り込むことへのためらいがあると思います。それでも自社の強み(優位性、独自性)を打ち出すには絞り込みが必要です。
●一番良くないのは対象が全ての学生で、訴求する要素(コンテンツ)が個々には良くできているが構成がバラバラというものです。これを要素羅列型と言います。
●次の要素関連型は要素に関連性はあるが配置がバラバラのため読者はすんなり飲み込めないものです。商品の価値訴求の横に自社の理念を訴求するとか、特典訴求でアイキャッチを創っているのは良いが、その後の流れがバラバラというのも見かけられます。(学習塾は比較的少ないのですが、ある業界ではひどいのがあります)
●ねらいと対象客の絞り込みができている学習塾のチラシでもっとも効果的なのは「ストーリー型」です。今回のチラシでは関西個別指導学院、明光義塾の裏面、京進スクール・ワンの表面から裏面の半分ぐらいまでがそのようになっています。
●ですが3月7日(木)に再度投入された、関西個別指導学院のチラシ(B3タテ型)は少し変化があってストーリー型に近いが要素関連型になっています。
これを拝見しながら思いついた『販売のストーリー化』について少し触れておこうと思います。
●販売のストーリー化については「売上アップ法7つの視点」で詳しく書くつもりですが、4番目なので6月ごろになります。そこで春商戦にすこしでも間に合えばと思って書きます。(あてにされていないかもしれませんが…笑)
●販売のストーリー化には3つの視点があります。一つ目は「誰に⇔何を→いかにして」と考えることです。
●2つ目は一つ目の「いかにして」の中身を「必要性の喚起→比較選択の援助→購入決定の促進」でストーリーを深めることです。
●3つ目はこのストーリーをお客様の立場で「確かめる」ことです。確かめる内容はチラシ制作、売場づくり、POP制作等で項目が違ってきます。
●ベースには購買心理の理論があります。メインは「AIDCA理論」です。これには5つぐらいの応用理論があります。
●これらの詳細は6月に譲るとして、今回は販売のストーリー化2つ目の視点を掘り下げたものの一部を紹介します。
●それは学習塾のチラシが2つのストーリー化パターンで制作されておられるように見られたからです。
●その2つとは、最初が①商品価値提案(自社の商品の良さや無料体験を打ち出すこと)→②その理由(根拠)を具体的な手段(メニューなど)で示し、→③それに対する理解促進を「Q&A」などで行い、→④成功した受講生の声で実績を示し、→⑤受講を促進するオファー(殆ど無料体験など)→⑥問い合わせを促す電話番号の強調という流れです。
●2つめは最初が①問題提起(要望の想定)を行い→②それに対する解決策は当社がお勧めするコレ(その特長は1、2、3・・)→③解決策の詳細の紹介
と理由(根拠)→④体験者の声(使用前&使用後の成功談)→⑤メニューと料金表→⑥オファー(無料体験、説明会の日程など限定訴求)→⑦利用への手順と電話番号、HPへの誘導のQRコードという流れです。
●会社名と教室の地図、電話番号などはいずれも各社共通です。もうひとつの共通点はキャッチタイトルが「人の顔というビジュアルとキャッチコピー」で構成されていて、それぞれ『つかみ』に工夫をされています。つかみは上手いと思います。
●その後の2つの大きな違いは、1つ目が自社の商品価値の売り込みから始めることです。学習塾は価格の前に商品の価値が要求されるからその方が多いようです。家電量販店やスーパーマーケット、携帯電話ショップなどは「価格訴求」が前面に出てきています。
●商品価値から入ったチラシは、「私たちはこんなに優れたものを提供しますよ」と打ち出しています。世の中の多くのチラシがこのパターンです。その後は商品の特長を利点(メリット)から効用(ベネフィット)、証拠(エビデンス)と理由(根拠)を示します。(Q&Aや学習の流れチャートがよく使われていますね)
●証拠は受講生の成功談が定石です。そして無料説明会、受講体験、入学金免除、ユニークなおまけプレゼントなどはどちらも同じです。
●そうです。違うのは最初の切り口です。問題提起型は「受講生の状態を想定」して、それに対する解決策として「商品価値提案」をするところです。他の業界では健康・美容商品の通販によく使われています。
●この問題提起型、(要望想定型)は何を提起するかがミソです。これは自社のお客様のことをよく把握していないとできないのです。塾を利用する前の生徒が何に問題意識を持っているのかを調べることが必要です。
●しかし、すべての生徒に明確な問題意識があるわけではありません。そのような状態の人には「問題に気づかせる投げかけ」が求められます。これはまだ少ないようですね。
●商品を開発するのに対象顧客は想定しているはずですから、どのような投げかけが効果的かは考えられるはずです。それをキャッチコピーすれば見込み客の反応が得られやすいと思います。
●それには「問いかけ」の工夫が決め手です。
●問いかけのメリットはそれから始めた方がストーリーとして読者の頭に入りやすく、共感も呼ぶからです。人間は問いかけられると応えようという意識が働きます。また問いかけられたことへの好奇心が湧きあがります。これを利用しています。
●この2つの手段の中間に位置するのが利用シーン提案型です。お客様がご存じでない使い方を提案することで必要性に気づいてもらうことです。(利用動機刺激型とも言います)、同時に購入の決断を促す購買動機の刺激も必要です。
●購買動機はオファーという売り手からの提供で刺激します。一番ポピュラーなのは「割引価格」、それに「無料○○」、プレゼントなどです。
●学習塾では利用シーン提案型は殆ど見受けられません。商品価値提案から入るか、問題提起(要望の想定)型のいずれかです。私は後者を推奨します。わずかの違いのようで、お客様志向を感じさせ、共感が得やすく、対象顧客も絞りやすいからです。
●要素の配置、順番によって販売ストーリーのパターンが変わります。どのような構成で組み立てるかはドラマや映画の脚本と同じでしょう。商売の世界でも要素がバラバラに羅列された情報発信ではなく、読み手に受け入れられるような、魅力ある販売ストーリーを創ることが必要です
●今回は急きょ「販売のストーリー化」を取り上げました。この考え方はチラシのみならず、売場づくりやPOP制作にも活用しています。過去に私の研修を受講していただいた方はご存じですが初めての方もおられると思います。
●理解できる範囲で春商戦にてお試しいただければ幸いです。必ずや成果につながると思い込んでいます。(笑)
●販売のストーリー化のさらなる詳細は6月に述べます。<完>
- 登録日時
- 2013/03/10(日) 14:07