【今月観たDVD】
映画『瞳の奥の秘密』
●今回はビジネスには関係ありません。個人的な趣味で観た映画の感想を書いています。興味のある方のみご笑覧ください。
●2年ほど前でしょうか、沢木耕太郎さんが新聞紙上で紹介されていた記事を読んで観てみたいと思いながら忘れていた映画です。最近時間が取れるようになったのでTSUTAYAのレンタルでDVDやCDを借りています。
●50歳以上は月・火に限り旧作や準新作は1枚100円で借りられます。1週間に2、3枚借りれば十分です。私の近所のTSUTAYAはよく流行っていて人気作品は貸し出し中であることが多いんですよ。
●最近、沢木さんがお勧めのイラン映画「別離」が準新作になったので借りようと思ったのですが1本しかないのでなかなか廻ってきません。そこでこの作品のことを思い出しました。
●棚を探しましたが見当たりません。検索機があったので調べると在庫ありとなっています。係員の方に尋ねると無いと言われました。どうしたんでしょうね。取り寄せはできるのですかと尋ねると、400円ですとのこと。
●つまらないパニック映画を借りて見てしまったあとなので注文しました。良い映画を見たいという欲求が高まっていたからかもしれません。また自分の失敗を早く補おうという意識が働いたのでしょう。(笑)注文から5日ぐらいして連絡をいただきましたので早速借りてきて観ました。
●感想は一言で良かった、もう一度見てみたいと思わせられる映画でした。サスペンスドラマでありラブ・ロマンスの要素も絡み合っています。2時間強があっという間に過ぎました。アルゼンチン映画なのですがハリウッドか欧州の映画のようです。
●25年前の婦女暴行殺人事件と、それを担当した裁判所の下級官吏をリタイアした主人公の過去と現在の状況が交錯して描かれます。前半で犯人は捕まるのですが上層部の思惑で釈放されてしまいます。
●その逮捕のきっかけとなったのは主人公が被害者との集合写真に写っていたある人物の「視線」を見抜くことがきっかけになります。目は口ほどに物を言うというたとえがありますが他の人は気づきませんでした。
●もう一人、殺された若妻のご主人の瞳がこの映画の伏線になります。主人公は彼の瞳を見て、彼は心底奥さんを愛していると言い切ります。残されたご主人は当然のことながら執念で犯人を捜します。光市の母子殺人事件の被害者遺族の方を思い起こしました。
●紆余曲折の後、主人公たちの活躍で犯人は逮捕されます。この時の犯人の自白を引き出す場面での、もう一人の主人公の女性上司の咄嗟の口撃が面白かったですね。それまでのらりくらりかわしていた犯人が、男の自尊心をつぶす攻(口)撃に見事にはまってしまいます。この場面を見て思い出したことがあります。
●相手を怒らせるのは、①騙すこと ②相手の言動を攻撃すること ③自尊心を傷つけることの3つです。これで人間関係は壊れます。良い人間関係を創るにはこの逆を行えばいいんですけどね。
●せっかく捕まえた犯人が釈放され主人公は若妻のご主人に報告します。このときのご主人の言葉も伏線になります。アルゼンチンには死刑はないので無期懲役が最高刑です。ご主人は死刑より無期懲役を望みます。
●死刑で死んでしまえば楽になるが、無期懲役なら一生苦しむからという主旨だったと思います。(少し記憶が曖昧ですが・・・)
●釈放された犯人のその後は少ししか描かれず再び逮捕されることはありません。25年後に主人公がかつての上司であった女性主人公に会いに行って、25年前の事件を題材に小説を書きたいということから現在の展開が描かれます。
●事件が不本意な形で終わったことへのこだわりと、当時から思いを寄せ合っていたがはっきり口に出せなかったことへの男のこだわりがこの事件とラブ・ロマンスを決着させます。
●このオチが見事です。それまでの疑問が次々と解消されていくストーリーに惹きこまれるのですが、事件の解決には少し驚きました。そうか、そういうことだったのかと納得です。
●ラブ・ロマンスの方は25年も経ってそういうこともあるのかという感想ですね。ですがこの2人は未来に向かって「簡単じゃないわよ」という女性の言葉とともに生きていくことになるんですね。
●また若妻のご主人の「過去は忘れろ」と主人公にいう言葉とはうらはらに簡単にそうはできない自分。そういう人間の性も描かれているのかなとも思いました。
●お涙ちょうだいの物語ではありませんし、何か勇気が湧いてくるお話でもありません。理不尽な出来事を描いています。ですが物語としては面白い、興味深い話です。映画ならではの様々な身の回りにも居そうな人間がリアルに描かれています。私はそんな物語が好きです。(笑)<完>
- 登録日時
- 2013/03/22(金) 11:19