【2013年4月の提案①】
目的と目標の違いと関連性<前篇>
●仕事を行う上での基本のひとつに仕事のねらいである「目的と目標」を定めるということがあります。
●ところが現実には「目的と目標」の区別はあいまいで、売上高のように数値で表すことができる「目標」のほうが一般的に浸透しています。
●私の経験でも店舗巡回指導をさせていただいていた折に、「なぜこのような陳列をしているのですか?」とか「このPOP広告のねらいは何ですか?」と質問した時に、明快なご返事をいただけないことが多々あります。
●ねらいは数値目標なら答えられるが、それ以外だとあいまいになるというのが私の経験からの実感です。
●これでは仕事にやりがいを見出すとか、働く充実感を味わうのは難しいのではないかと思います。これは私の問題意識でして、大がかりな調査をしたわけではありません。ですからこの問題提起にはここで反論があるかもしれません。
●数値目標の達成が仕事のやりがいであるとか充実感につながるという方もおられるでしょう。そのことで金銭的な報酬が増えて十分に満足だと感じておられる方もいらっしゃいます。
●そのことは十分承知の上で、あえて仕事にはねらいとして数値目標以外の目的を確立するとか、目的を認識することが必要だという提案をします。以下このテーマについての私見を披露いたします。
●まず仕事のねらいとは「目的+目標」で構成されることを知ってください。目的とは【何のためにそれを行うのか】【それを行うことで何を得ようとするのか】の2つの要素を明らかにすることです。
●たとえば、「自社の商品が対象とするお客様の状態を想定して、それに対応する価値をわかりやすく伝えて、買っていただくような売場を創る」「その結果、自店で繰り返し買っていただくお客様を増やす」というのが目的です。
●何のためには、お客様の状態(問題意識か欲求など)に対して解決策を提案するということです。何を得るのかというのはお客様に買っていただいて満足していただくということです。
●これに対して目標とは、目的を達成するために「何を、いつまでに、どれくらい」行うのかということを明確にすることです。このように目的の方が上位概念で目標はそれに従うという位置づけになります。
●たとえば、○○○という商品を、○か月で○○○個(台)販売するというように殆ど数値化ができるというものです。先の例では繰り返し買っていただくお客様を○○○人にするとか、前年より○○人増やすということになります。
●別の視点から述べますと、目的はその仕事を実行する人の主観性が強く、価値観が反映されたものであるといえます。その人の思いが詰まったものでないと本気に取り組む姿勢が薄れ、お題目になりかねません。
●一方目標の方は客観性が強く、定量化しやすい特性を持っています。個人の主義・主張が反映されることは少なく、測定がしやすいものが設定されます。
●この違いを認識していただければ、目的に対する心の姿勢は「その人の何としても実現したいという思いが表現され、本心・本気でゆるぎなく追求されていくものかが問われます」。
●目標はそれをなんとしても「期限内に達成しようという」達成意欲が刺激され、頑張るという行動を生み出します。
●「目的と目標」、この違いをおわかりいただけたと思います。しかし、この2つの概念の違いはあっても非常に関連性が強いという側面を持っています。
●目的が目標の上位概念であるということはそれぞれに独立しているようで関連性が求められます。たとえば、目的達成のために目標はその一里塚(マイルストーン)だという考えもあります。
●目的がその性質上、表現が抽象的にならざるを得ません。ですが日々の仕事には具体性のある目標が必要です。それが数値目標であり課題設定になります。それが具体的であるからこそ、「手段・方法・手順」の開発がおこなわれ、行動につながるのです。
●手段には「仕組み」と「仕掛け」があります。これについては稿を改めて書きます。ここではそれぞれの手段にも「ねらい」があるということを認識しておいてください。
●目的と目標の関係には目的が上位概念で目標はそれに従うという考え方とともに、手段には目的がありその上位に数値目標があるという考え方があります。これについては後編で少し注釈を加えます。
●それよりも「目的と目標」で知っておかねばならないのは「時間軸」で捉えるということです。目的の設定は中長期になります。具体的には3年から5年という期間設定を行います。
●これに対して目標は長期(5年)では概数、中期(3年)で詳細になり、短期(1年)が確定されます。それは半期(6か月)、四半期(3か月)、単月、旬間か週間、日別、時間別へと細分化され、進捗管理の対象となります。
●実務上重要なのは、「納期を守る」ということです。限られた時間内に何としても何とかするというのが目標設定の存在価値です。それに向かって創意工夫する、そして成果をあげる(目標を達成する)、それが自分たちの目的達成につながる、だから頑張れるという構造を創り上げることです。
●これらの仕事の基本は誰にでも必要だと思うのですが、特に中心はリーダーであることは言うまでもありません。ですからリーダーは仕事において、「目的と目標」それに「手段・方法・手順」の意味と関連性について熟知し、メンバーに活躍してもらう状況を創らねばならないのです。具体策はみんなの知恵を集めればいいのですから。
●リーダーの仕事は何を自らが行い、何は人にゆだねるかを見極めることです。
「目的と目標」の設定と手段づくりへの課題設定はリーダーが自ら考え抜いて行わなければならない重要な仕事です。がんばりましょう!<完>
●昨晩のテレビ番組「金スマ」で佐村河内 守さんのことを初めて知りました。クラシック音楽を愉しむ私としては不覚にも見落としていました。早速彼の作曲された「交響曲第1番 HIROSHIMA」のCDをアマゾンに注文しました。今日はNHKのEテレで午後3時から放送があるようです。録画準備もしました。
●2011年に発表された作品です。広告されなければ私は気づかなかったでしょう。良いものは多くの人に伝える必要があります。私にとっては未経験ですから期待を込めた購入行為です。それだけのインパクトがある番組内容でした。
NHKスペシャルも見落としていました。ですが、何か縁があるのでしょう。出会いが愉しみです。<本当に完です>
- 登録日時
- 2013/04/27(土) 10:13