▲珍しい「ミッキーハウスの木と花」。花言葉は「陽気、快活、楽しい」です。
親しい知人から写真を送っていただきました。もうすぐ5月です。気分爽快に過ごしましょう!
【2013年4月の提案②】
目的と目標の違いと関連性<後篇>
●仕事を行う上での基本のひとつに仕事のねらいである「目的と目標」を定めるということがあります。特に部門のリーダーにとっては自ら手掛けなければならない仕事のひとつです。これは前編でくわしくお伝えいたしました。
●ですがこのことは会社全体や部門(特に戦略事業単位)、店舗単位あるいはキャンペーンやプロジェクトなどを前提とする考え方です。
●ところが日常の仕事にはちょっとしたイベント企画や研修企画、あるいは私の専門分野である売場づくりやPOP広告制作、チラシ制作などでも目的と目標は重要になります。
●これは別にリーダーでなくとも、働くすべての人々に必要なことです。
●なぜなら企画や○○づくり、制作などは仕事における「手段」です。私が問題視するのは多くの方が手段を考えるときに「目的」を曖昧にされていることです。販売系の仕事では数値目標は重視されていますが、「何のために」や「何を得たいのか」は深く考えておられないことが多いのです。
●例えば、売場づくりではなぜこの商品はここに陳列するのかとか、このPOPは何をねらいにしているのかという問いに答えられなければ、その手段をとった意味がわかりません。そうするとその効果を測定、判断することができなくなります。
●この場合、前編で述べたような目的が上位概念でそれに目標は従うものだということはありません。たとえばこの売場での販売目標はいくらいくらというのがあって、そのためにこういうねらい(目的)でこのような手段をとるという思考が必要です。
●そこが前回のコラムに書いたことと違いますので注釈を加えておきます。それよりも「目標と手段」という構造から「目標→目的→手段」と考えるようにしてください。要は「何のために」○○という手段を行い「何なにを得る」というストーリーを考えることが重要なのです。
●先日、詐欺師の手口にもストーリーがあるというコラムを書きましたが、その中でも、各ステップごとに犯罪者側には「意図=ねらい=目的」があって行動をしていることを紹介しました。
●営業活動、店頭の販売活動にも同じような流れとステップがあります。それぞれのステップで何を目的に行動するのかを知っていてこそ、その行動の良し悪しは判断できます。失敗すればどこに要因があったのかも探しやすいですね。
●ぜひこのことが十分にできていない方は、自分が取る手段、行動のねらい(目的、目標)を使い分けて考える習慣を身につけてください。仕事の腕が上達する近道になるでしょう。
■追補
●4月25日(木)のテレビ番組「カンブリア宮殿」を見ていると、丸亀製麺の社長さんが出演されていました。録画をしていないので見た記憶ですが、この社長さんも村上龍さんのインタービューに、目的と目標を具体的にお話しされていました。
●目的は「あの店に行きたい、もう一度行きたいと人が自然にそう思うような来店動機を創るサービスを実現する店を創ること」とおっしゃっていました。そのためには「チェーン店でありながら非効率なことも厭わないで行う。それはお客様の満足を第一に考え、より多くのお客様に来店していただくことで経営を成り立たせる」ということです。
●もともとうどん店は粗利益率の高い商売ですから実現可能なのかもしれませんが、他ではやらないことをやるというのはまさに経営者の戦略実行だと思います。素晴らしいですね。
●同時に社長は、目的だけが経営の動機付けにはなっておらず、目標を重視されていました。それはうどん店を1000店舗出店するということです。「僕は数字が好きなんです。量の追求、右肩上がりの成長でないとやる気が起こりません」という主旨のことを話しておられました。
●この事例を見ていると、社長さんは目的と目標は渾然一体となっていて、どちらが上位とか、大事という区分けはしておられません。ですが片方にだけ偏っておられないのも伺えました。どういう店でもよいから1,000店舗を作りたいとはおっしゃっていません。ご自分のめざす目的にそった店づくりによって目標を成し遂げようとされています。
●考えるときは別々に考えたとしても、実行するときは同じ人間ですから両方から動機づけられ、推進のエネルギー源として目的と目標は働いているのだと思います。人間が生きているのは精神と肉体が一体となって働くのと同じことです。
■GWに入り古い本を読み返していたら目的と目標についての記述がありました。抜粋して紹介しておきましょう。日経ビジネス文庫「変革力とリーダーシップ」船川淳志著(2006年刊)119Pより。
●目標は到達地点、目的はなぜに答えるものである。「富士山に登る」ということを例にとろう。富士山は目標になる。では目的は?「そこに山があるから」「健康になりたいから」「ヒマラヤへ行く前の練習として」など色々考えられるであろう。
●個人で登るからにはそれぞれの目的があって当然だ。しかし、これが組織で上るとなると、目的もすり合わせが必要になってくる。なぜなら、「ヒマラヤへ行く前の練習」と「健康上のチャレンジ」とうスタンスの登山者では登り方が違ってくるからだ。
●つまり、企業では目的と目標の両方を明らかにする必要があるわけだ。その意味で「売上○千億円」と掲げるのは目標であり、目標だけ強調されれば、目標到達に手段は関係ない。つまり「富士山到達」だけ掲げられれば、ヘリコプターで行っても、4WDで行ってもいいわけだ。<以下略>
●船川氏も目標が独り歩きしないためにも目的が必要だと説いておられます。そして、目的が目標達成の手段の選択に影響を与えるともおっしゃっているのではないでしょうか。<完>
- 登録日時
- 2013/04/29(月) 12:24