▲知人からバラの花の写真を送っていただきました。赤いバラより
藤青色の「シノブレド」が気に入りました。花言葉は「奇跡」「神の祝福」だそうです。次回もバラの花を選びます。
【2013年7月の提案①】
売上アップ法7つの視点 その2:手段の要素から考える
<前篇>
●今週は梅雨が明けたのかと思わせる真夏日が続いています。先ほど蝉の声が聴こえましたが一瞬でした。蝉も時期尚早だと判断したのでしょうね。
私はエアコンをかけず薄着で氷を口に含みながら本稿を書いています。長年の夏の過ごし方です。
●今回は売上アップ法7つの視点 その2を書きます。タイトルは「手段の要素から考える」です。主に小売業の現場を想定しています。BtoB、BtoCの営業活動については「行動の質×量の視点」のところで触れます。
●最初に「要素とは」について確認しておきましょう。デジタル大辞泉によると以下の3項目が掲げられていました。
①あるものごとを成り立たせている基本的な内容や条件。
②物を分析したとき、その中に見出されるそれ以上簡単にならない成分。
③法律行為または意思表示の内容において、その表意者に重要な意味を持つ部分。
●ここでは①と②の意味を採用して自説を述べたいと思います。言葉の意味を理解するために例えをあげておきましょう。身近なものでは私たち人間の体を構成する要素がわかりやすいでしょう。
●人間の体は外観からわかる「頭・胴体・手足・指」などと体内にある「骨、内蔵、血液、リンパ液、筋肉、神経系統」などから構成されています。これらのひとつひとつが人体を構成する『要素』と言います。
●では売上を構成する小売業の要素とは何でしょうか?例によって図表をPDFで掲げておきますので上記の記号をクリックしてご覧ください。
●まず要素の大分類として「戦略レベル」のものと「戦術・戦闘レベル」のものに分類が必要です。小売業における戦略レベルの要素は①どのような業種・業態で商売をするか(しているか)が大きいでしょう。
●次に考えられるのが②ビジネスモデルあるいはビジネスシステムがどのようになっているかということです。
●③それから立地と規模、④組織・人材、⑤財務といった要素でどれだけ優れているか、競争力があるかということが課題になります。企業経営においても戦略ミスは戦術・戦闘では補えないという鉄則があります。「ベンチがアホなら野球は勝てない」もそれに近いでしょう。(笑)
●しかし、今回は「戦略レベル」の見解は棚上げにして「戦術・戦闘レベル」の要素について論を進めていきます。戦略というのは個別の企業の環境状況、経営能力に左右されるので一般論では通用しなくなりつつあります。
●またチェーンストア経営を目指すのか、繁盛店経営を目指すのかということでもその戦略(手段)は変わってきます。これらについては幾多の書籍やテレビ番組で紹介されています。そちらをご参照ください。
●最近では今週の「週刊東洋経済」でセブンイレブンの特集が組まれています。その内容は同社の戦略要素に関するものでした。興味のある方はご参照ください。私は10年くらい前の同社の店づくりノウハウを解剖したものが興味深かったですね。(保存しています-笑)
●では戦術・戦闘レベルの要素はどこでも通用するものがあるかといえば、否です。これこそ個別の企業が日々の商売の中で蓄積されていく成功ノウハウが有効な手段です。
●それでも個別の状況で、必死に考える方々に少しでも役に立つヒントをお伝えできればと思い書いていきます。想定する業種・業態はスーパーマーケット、コンビニ、家電量販店、大型書店、携帯電話ショップなどです。
●ホームセンター、衣料品店、ファッション専門店、ドラッグストアなどは実務経験がないためその分野の専門家が書かれた書籍による知識しかありませんので事例としては取り上げません。
●先ほどの図表にあります多くの小売業に通ずる戦術・戦闘レベルの要素を再掲しますと次のようになります。手段の中分類にあたります。(図表を見ながらお読みいただければ理解しやすいでしょう)。
●手段の解説をする前に、それぞれの手段にはねらい(目的)があるということを先日の当欄で書きました。厳密には各個別の企業のねらいが前提になって手段・方法は考えられるべきものです。
●ここでは一般論としてのねらいを示しておきます。実際には戦略レベルの場合は企業の目的にそって考えていただき、戦術・戦闘レベルでも自社の方針(ねらい)にそって考えるようにしてください。では本題に戻りましょう。
●戦術・戦闘レベルの手段とは、①集客に関する要素 ②商品(品揃えと商品管理)③店(売場)づくり ④接客応対 ⑤店頭販売促進 ⑥アフターフォローの6つです。順に掘り下げておきましょう。
●【集客要素】:ねらいは見込み客を効率的かつ効果的に集めることです。その手段は新規客の集客と既存客の集客に分類することができます。それを前提に手段の小分類レベルを考えます。例えば①新聞折り込みチラシの投入、②会員制メール販促、③ホームページの開設と更新、④ショッピングセンターなどでのクーポンボードの活用、⑤手配りチラシ(カード)、⑥看板・のぼり、⑦新規出店の場合のTVCMなど。
●【商品要素】:ねらいは自社(店)で買っていただく顧客を創ることです。小売業ではこれが最も重要です。マーチャンダイジングといわれ、日本語では①品揃え、②価格設定、③商品調達、④商品管理、などが小分類にあたります。
●一般的には以上の要素はコンシュマーを対象にした店に通用する考え方です。これに長年(10年以上)異をとなえておられるのが、島田陽介先生です。先生はカスタマーを対象顧客像ととらえ、そのニーズを実現する『アソートメント』という概念を提唱されています。
●詳しくは先生の著書「カスタマー志向徹底戦略」2001年ダイヤモンド社刊を参照ください。セブンイレブン、無印良品、アスクル、東急ハンズなどの事例で理解することができます。
●しかし現実はコンシュマーを対象にした、価格競争で生活のパーツとして商品を売る小売業が圧倒的に多いのも事実です。既存の業種・業態に含まれない個別の存在価値を実現する企業はまだまだ少数派でしょう。
●多くのスーパーマーケットや家電量販店は品揃えと価格で勝負することが最も顕著な業態でしょう。品揃えを吟味するときに必要な要素は、幅・数・量・質で品揃え構成を考えることです。【幅】とは大分類、中分類、小分類、細分類の広さを決めることです。
●【数】は分類内の最小分類数と品目数です。品目の細分化がSKUといわれるものです。色違いが最小単位になることが多いようです。
●【量】とは1品目あたりの在庫数です。
●【質】は単品の品質、組み合わせ価値提案、ブランド価値などです。
●どの業種の量販店もこの4つの要素を駆使して品揃えの充実を競っています。違いはメリハリの付け方です。どの部門を優先して充実させるかが品揃え政策として打ち出され展開されています。
●【売場づくり要素】:ねらいは品揃えを売場に表現することでお客様に見やすく、わかりやすく、選びやすく、決めやすい空間を創って、快適で満足がえられやすい状態にすることです。
●立地によって店作りが微妙に違ってきます。大きくは郊外型立地か繁華街立地かによって作り方が変わります。
●郊外型立地の店は、車での来店が中心で土日、祭日にお客様が集中しますし、かなり目的買いの方が多くなります。繁華街立地の場合は郊外型に比べ電車やバスを利用するお客様が中心で平日のお客様も多く、目的が曖昧でも店頭の仕掛け方によって来店客数が変わってきます。したがって衝動買いも多くなります。
●また扱う商品の購買頻度(消費頻度)によって部門のレイアウトに影響が出ます。例えば郊外型立地のお店では購買頻度の高い商品を必しも店舗の入り口に近い所に置きませんが、都心型立地の店では比較的入口の近いところに置いた方が、お客様のご利用は増えます。
●売場づくり要素にはフロア構成、売場部門レイアウト、什器の種類、展示演出と商品陳列、棚割構成、販売ツール、POP広告などの要素が中分類、小分類として構成されます。
●VMDでは、GP(グランドプレゼンテーション)、VP(ビジュアルプレゼンテーション)、PP(ポイントプレゼンテーション)、IP(アイテムプレゼンテーション)、AP(アーティクルプレゼンテーション)としてそのソフトウェアが構成されています。
●長くなりましたので続きは後編でお伝えいたします。<前篇完>
- 登録日時
- 2013/07/11(木) 11:28