▲今回は突然ですが会津若松城(鶴ヶ城)の写真です。2011年秋に訪れた時に撮影したものです。とても美しい城でした。NHK大河ドラマ(八重の桜)が前半のヤマ場、会津若松城の落城(開城)を迎えます。会津戦争は悲劇です。戦略のミスは戦術・戦闘ではどうにもならない事例のひとつでしょう。
【2013年7月のトピックス③】
お客さまにとって価値ある情報とは?【実習解説編】
●前回の実習教材にチャレンジされた方は私の改善例を参考にしてみてください。役に立つこともあるでしょうし、私が気づかないことを見出された方もおられると思います。いずれにせよこれはと思ったことをお客様に向けて実践して、成果に貢献するか否かを確かめてください。これが仕事から学ぶ基本です。
■改善例の紹介
まずどこをどのように改善した方が良いかという点を指摘しましょう。その理由も述べます。
最初はこのフレームワーク(図表の構成=本欄では図表表示ができません。項目のみ抽出しています。ご容赦ください。)です。
●順番を①スタッフおすすめスマートフォン ②おすすめ対象者 ③おすすめポイント ④後継前の機種 ⑤後継前の機種との比較 ⑥スタッフが(の)操作体験の順番にした方が『何を、誰に、おすすめ』なのかがわかりやすくなります。
●次にここでは後継前の機種との比較をしていますが、これのねらい(目的)は何でしょう?果たしてこの比較がお客さまにとって最も有効な手段でしょうか?
●1世代前の機種と比較することもありですが、その場合のねらいを確認しておく必要があります。1世代前と比較する意味は、この半年から1年以内にギャラクシーの購入を検討されていた方々にとってのみ参考になります。
●あるいは売場に1世代前と新製品が同時に陳列販売されている時に、おそらく販売価格の違いがあるでしょうから、その機能・性能、デザイン、操作性などの違いを知りたいというお客様の欲求に応えるために必要になります。
●しかし私ならこの比較よりも、お客様が現在使用されていると思われる商品との比較の方を重視します。なぜならそれは『買い替えを検討されている』多くの方々の関心事だからです。
●ですから、①従来型のケータイとの比較、②2から3年前に購入されたスマートフォンとの比較の2つを重視します。ギャラクシーもSC-02という2年前の機種あたりがその対象になるのではないでしょうか?
●1世代前の機種から買い換える方も皆無ではありませんが、私の提案のお客様の方が圧倒的に数が多いと思います。そういう意味からも何と何を比較することがお客様の役に立つのかを考えていただきたいと思います。
●次に個々の内容に触れます。まず①スタッフおすすめスマートフォンの欄ですが、「発売日」を付加することを勧めます。お店の方でも何日に発売されたかは忘れてしまうものです。
●夏モデル、新製品という訴求でも良いのですが、具体的な日付を入れることが最も効果的です。数字は具体性を表現する有効な手段です。
●②おすすめ対象者の欄。写真、電池の持ち、コンパクトサイズ、高性能を求める方と規定されています。これはこの商品を求められる方の関心事の多いものを取り上げ、お客様像を想定されていると思います。
●この選択の是非はわたしの見識では手に負えません。お店の方々で本当にこの要素がお客様の優先される関心事かを判断してください。そのポイントはお客様との日ごろの接客応対から掴み取ることです。
●このことは、先にふれました「比較する」という行為の具体的な要素を導き出すのにも有効な手段です。お客様の関心事を探り当てるのは接客をする販売スタッフの重要な役割です。ただ売り込めば良いという仕事ではありません。
ぜひお店全員の習慣にしていただきたいものです。
●③おすすめポイント。ここでは②と③の間に関連性がないことが大きな問題点です。せっかくお勧め対象のお客様を想定していながら、その方々に答えるようなお勧めポイントが示されていません。
●あえて認めるなら「高スペック」にのみ応えている内容です。それも専門用語で記されているだけで、ほとんど方々には何のことかわかりません。せめてお客様にとってのメリットに翻訳(置き換え)すべきです。
●ここでは写真、電池の持ち、コンパクトサイズを求める方の「メリット」あるいは「ベネフィット」の提示が必要でしょう。(この件は後日触れます)
●このことは④⑤の「機種比較」や⑥「スタッフの操作体験」にまで一貫していることが求められます。そうすればストーリー性のある情報発信になって、対象となる読み手の頭にスッと入るでしょう。
●携帯電話のようなハードグッズ(多くの家電製品も同じです)では、種類の違う多くの情報を同時に発信されても理解が難しくなります。これを「要素羅列型」「要素関連型」の情報発信と言って区分けしています。
●詳細は別の機会にしますが、今回の情報は「要素関連型」ですが内容に一貫性がないため理解がしにくくなっています。発信側は一所懸命に作成されたのでしょうが、受け手のお客様には届き難い内容です。
●内容についてもう少し言及しておきます。比較の項目で「小型化」「大容量」「画面サイズアップ」などは、抽象的な表現で読み手はイメージできません。数字で表現すべきでしょう。
●小型化とは縦横厚みが何センチ小さくなったのか、大容量は何時間持つようになったのか、画面サイズは何インチになったのかという表現にしましょう。また店頭では「図表化」することを勧めます。
●新旧の対比を図表にするのが一番わかりやすくイメージしやすい方法です。スタッフの操作体験でも写真の実物の掲出や、GPSの使用体験や人気のアプリの使用体験を「操作の簡単さ」と「使って得た気持ち(感情)」を表現すべきでしょう。
●「手のひらのフィット感が最高!」を「手のひらのフィット感が最高なので持っている時間を忘れて使っちゃいました!」「ハマる」「夢中になって」などの言葉が気持ちを表す言葉です。
●気持ちを表す言葉の研究をしてください。気持ち=感情は喜怒哀楽に分類することができます。このうち商売で使えるコピーは「喜」と「楽」にあります。「喜」なら嬉しい、気分爽快、わくわく・ドキドキなどです。「楽」なら楽しい、面白い、時間を忘れるなどですね。新聞、雑誌、広告から学べますから注意をしてご覧ください。。
●いかがでしょう?皆さんの発見と比較してみてください。そして気づかなかったことで参考になりそうなことは試してみてください。最後にまとめをしますと・・・今回の実習教材のねらいはストーリー性のある情報発信がお客さまにとってわかりやすく、価値ある情報になるということを理解していただくためのものでした。その構成はというと・・・。
●写真、電池の持ち、コンパクトサイズ、多機能・高性能のスマートフォンを求める方を①「対象として想定」したならば、その要素を②「商品のお勧めポイント」をお客様のメリットに置き換えて、③「今使っておられる機種との比較」(変わらぬことと進化したこと)④「スタッフの操作体験」(使って得た事実+感想=気持ち)まで一貫して掘り下げるのが、お客さまにとって価値ある情報発信となります。
●仕事って創意工夫してお客様の反応を確かめる方法を知ったならば愉しいと思います。(愉という字はこころを前向きにするという意味があります。楽という字よりこちらを好んで使う理由です)。一緒に頑張りましょう!
●ストーリー型の情報発信にはまだ違うパターンの方法があります。それについてはまた別の機会にお伝えいたしましょう。<完>
- 登録日時
- 2013/07/19(金) 11:16