▲紅葉もまもなく見納めでしょうか。九州の知人からの贈り物です。
【2013年12月のトピックス①】
賞金女王プロゴルファー森田理香子と師匠岡本綾子
■いやあ良かった。ファンである女子プロゴルファーの森田理香子さんが、12月1日の今季最終戦でかろうじて2位の横峯さくらさんを振り切って今季の賞金女王に輝きました。23歳4か月での戴冠は史上4番目の若さだそうです。
●彼女に注目したのは2年ぐらい前からです。それは有名な岡本綾子プロの弟子だったからです。服部真夕、森田理香子、若林舞衣子の若手3人にベテラン表純子、中堅の青山加織プロらが岡本さんの門下生のようです。(他にもおられるかもしれませんが承知しておりません)
●2012年6月の当欄のコラム「その後のスポーツネタに学ぶ」では服部プロの優勝に際しての岡本プロのアドバイスと取り上げて、弟子へのアドバイスについてのコメントを書いています。
●当時は服部プロが1番弟子だったように思いますが、その後は森田プロが頭角を現したようです。森田プロは2010年に2日間に短縮された競技で初優勝しましたが、その後は2012年の秋の2度目の優勝まで時間を要していました。
●そして今年は4回も優勝したのです。しかし6月までに3勝したあとは不調に陥り、11月の先々週の大王製紙エリエール戦で優勝するまで5か月もかかりました。(マスコミ情報では体力低下がその原因かと推定されています)
●その間に岡本プロや先輩プロの支援もあったのでしょうが、森田プロは浮上しませんでした。おそらくそうとう悩んだでしょう。私はこのまま今季未勝利だと竜頭蛇尾に終わり今後も厳しいだろうと思っていました。
●ところが気候が涼しくなった秋ごろから少しずつベスト10に顔を出すようになってきました。前半の貯金で賞金女王は大丈夫かと思っていましたが、シーズン後半に横峯さくらプロが猛烈な追い上げで4勝をあげて11月には逆転してしまいました。
●獲得賞金4,000万程のリードが逆に1,000万の差をつけられたのです。残り2戦でしたから森田プロ万事休すかと思いました。ところが先々週の劇的な優勝で再逆転したのです。その試合では17番で残り15mのイーグルパットを決めて優勝を引き寄せました。
●師匠の岡本綾子プロもテレビの解説に出ていましたが、思わずマイクの前で2度「よしっ!」と叫んでしまい「すみません」と謝っておられました。気持ちはよくわかりますがあれはいけませんでしたね。(笑)
●結果的にはあのパットが今シーズンの賞金女王を決めた1打だったのでしょう。見事でしたが、何か見えざる力が後押ししたように思いました。森田プロは優勝インタビューでパットラインが見えたとおっしゃっていたようです、
●年間獲得賞金は逆転しましたがその差はわずか280万円でした。最終戦で横峯プロの再逆転の可能性はあったわけです。ですが最終戦の結果は2人とも4日間でオーバーパーの成績で賞金女王争いらしからぬ成績でした。(横峯さんはあと1打バーディをとっていれば再逆転できたのでした。)
●2週連続の4日間競技で最終盤。2人とも疲労困憊だったのかもしれません。ですがまだまだ二人とも可能性を残したチャンピオン争いでしたね。最終戦も優勝争いに加わるほどでないと「女王」にはふさわしくありません。(森田プロ本人もそういうコメントをされていました)。
●先々週は解説で四国の会場に行っておられた岡本綾子師匠は今回最終戦が行われた宮崎には出向かず、自宅のある広島県で畑仕事に励んでおられたようです。(ネットではじゃがいもの収穫をしていたとありました。夏場には不振の森田プロを呼んで畑仕事をさせながら気分転換とアドバイスをされたようです。)
■この2人の師弟を見ていて私が印象に残ったことが1つあります。それはいつだったかは忘れましたが、森田プロが「岡本さんが大好き」と言っていたことです。門下生の中で森田さんが一番、師匠に対してシンパシーを持っておられるようです。
●ゴルフに関することはすべて岡本さんから吸収するという姿勢です。他の分野でも上達の極意のひとつに「モデリング」というのがあります。自分が理想とするモデルを設定して、徹底的に学ぶという方法です。
●能の世界にも「守・破・離」という言葉があるのはご存じでしょう。まずは師匠の教えを守りそれを極めること。それが達成できれば自分なりの創意工夫を加えて、やがては独自の世界を極めるというものですね。
●大事なのは「守の時代」を徹底することです。師匠が築いた世界をマスターするのは容易ではありません。飽きずについていく、工夫するにしても相談しながら進めることです。
●その場合、飽きないための要素のひとつが「師匠を好きになる」ことです。特に女性の場合は男性に比べて感情が重視されますので、女性の師匠(上司)が好きだというのは重要です。森田さんのように岡本さんが「大好き」というのは師弟関係を強固にするのに役立っているでしょう。
●岡本プロから技術は勿論、プロゴルファーとしての生き方まで学ぼうとする森田さんは岡本さんを信頼するという信念で弟子を続ける限り、その前途は明るいものだと思います。
●ですが一方で、最終戦の後のマスコミのインタビューに対して「今、一番何がやりたい」と尋ねられ、「一人になりたいです。一人になっていろいろ振り返り、自分で考えます。」と答えています。
●素晴らしいですねこの子は、一人で振り返り自分で考えるという自立した考えも持っておられます。そして岡本さんにもっともっと教えてもらうとも答えています。津本陽氏の小説「柳生兵庫助」にも剣の研鑽するのに1人になる重要性が描かれています。ゴルフ道一筋に来シーズンも励んでもらいたいですね。
●同じ同門の弟子である服部真夕さんは1年前の優勝争いの時に、相手の韓国の申ジエ選手にラウンド中に「彼氏は居るの」という質問をしていました。あら普通の女の子じゃないかと一抹の危惧を感じたのを覚えています。
●その後の服部さんは低迷を続けています。プロとして上達するにはある時期、ゴルフ道一本で研鑽する覚悟が必要ですね。同日に男子プロとして新人で初めて賞金王に輝いた松山英樹選手の部屋には「才能には上限はあるが、練習には上限がない」という色紙が飾ってあるそうです。
●世界で勝つという志(目的)を持って、そのために生きるという覚悟と、練習(稽古)の積み重ねがスポーツ選手のみならずビジネスパーソンにも程度の差こそあれ必要なことです。<完>
●今朝(12月3日)の新聞で今季の女子ゴルフの成績一覧表が出ていました。賞金女王の森田プロは部門別ランキングでは①平均ストローク5位 ②平均パット数5位以下 ③平均バーディー数4位 ④パーオン率5位以下 ⑤パーセーブ率5位以下という成績です。これを見ると今後の課題が明白です。
●賞金女王になったことでマスコミやその他からもチヤホヤされることでしょう。自信は大切ですが過信にならぬよう気をつけて練習に励んでもらいたいですね。ま、そうされるでしょうが、テレビのインタビューで阪神ファンなので矢野元選手と話がしたいと言っていましたが・・・役に立たんと思うけどな(笑)。
●尚、師匠の岡本プロの門下生5人(森田、服部、若林、表、青山)のプロ全員が来季のシード権(賞金ランキング51位まで)を獲得していました。さすが名伯楽です。プロゴルフ協会の仕事は辞退し、畑仕事を楽しみながら門下生にアドバイスを送って成果を挙げながらゴルフ道を追求する生き方には憧れを抱きます。
- 登録日時
- 2013/12/03(火) 10:22