▲今回はこの新聞広告から学べることをお伝えします。
【2013年12月のトピックス②】
スマホ『GALAXY J』の新聞広告に学ぶ
■良いですね、この広告。何が良いのか?一緒に考え学びましょう。新聞広告でも①「内容」と②「表現方法」の2つの視点が重要です。加えて③「どのページのどの位置」に掲載されるかというのもチェックポイントです。それから④「紙面サイズ」も重要ですね。
●他には何がありましたか?
●そう⑤「タイミング(時期)」がありますね。そしてもうひとつ大切なことがありましたね。それは何でしょう?考えてあなたの答えを出してから以下をお読みください。
●先の5つより最も大切なことがあります。それは・・・
●⑥「ねらい(目的)」です。
●以上6つの視点があれば学びが効果的になります。思いつくまま学べることを書き出しても構いませんが、それを上記の6つに分類して整理をしておくと後から参考にするのに使いやすく、効果的になります。
●自分たちで広告を考える時に最初にチェックするのが「ねらい(目的)」です。ですからそれから見てみましょう。
●この広告の「ねらい」は何なのでしょうか?
●「ねらい」とは『誰に(対象)この広告を見て、どういう行動をして欲しいか』を明確にすることです。
●キャッチコピー(ヘッドライン)の「父もそろそろ、スマートフォン?」を見ただけでわかりますね。対象となる「誰に」とはお父さんです。どういう行動をしてほしかと言うと、そろそろスマートフォンに買い替えてもらいたい、その時には「GALAXY J」を選んでもらいたいということでしょうね。
●ですが「内容」を読んでいくと、本当のねらいは他にあることがわかります。
では「内容面」をチェックしていきましょう。
●この広告の本文(内容)は娘さんとお母さんの会話で構成されています。お父さんはまだ折りたたみ式のケータイを使っている(古いという現状を伝え)と投げかけ、娘さんが使っているスマホに話題を引き込んでいます。
●そこから、スマホ「GALAXY J」の特長3つに絞って会話で具体的なメリットやベネフィット(メリットによって得られる効用)を伝えています。現状をさらに良くするという提案ですね。
●その内容も①使い易さ ②簡単に始められて、やがて普通にも使える ③電池の持ち時間の改善点という、多くの初めてのユーザーが懸念することに絞っています。
●つまり私が提唱している「必要性の喚起(気づかせる)」ことで購入へ誘導しようというのがねらいですね。しかもお父さんのスマホへの転換を話題にしながら、ほとんどの家庭で財布を握っている『お母さん』を対象にしていることが分かります。
●お父さんが買い替えるにしても、お母さんに支出の決定権があるという想定で、まずはお母さんに必要性に気づいてもらう、そのついでにお父さんも一緒にというのが本当の対象顧客でしょう。(笑)
●内容を読めばねらいが見えてきます。『誰に、何に気づいて、どういう行動をしてもらいたいか』が「ねらい」です。このことを学ぶ習慣を身につければどのような広告を見ていてもそこから「ねらい」を読み取ることが可能になります。
●このことがまだできていない方はぜひチャレンジしてみてください。本当に重要なスキルですからね。
●「内容」については対象に対して伝えたいことを抽出して、それを対象者のレベル(初心者、経験者、ヘビーユーザー<マニア、プロレベル>)等によって選択して、優先順位をつけて伝えてください。
●新聞広告や折り込みチラシではスペースが限られますので「3つのポイント」に絞るのが一般的です。ホームページやメルマガでは5つ、7つと増やしても読んでもらえるでしょう。
●次に「表現方法」で学べるポイントを見てみましょう。表現方法には①キャッチコピー、②本文の構成、③文章のわかりやすさ、④レイアウト、⑤配色、⑥フォントの種類、⑦写真・イラストの使い方が挙げられます。
●今回もっともユニークなのは娘さんとお母さんの「会話」にしたことです。会話は小説をお読みの方にはよくおわかりでしょうが、最も読みやすい部分です。情景描写、心理描写、人物評などの記述よりスイスイと脳に入ってきます。
●それは私たちの日常生活がほとんど「会話」で成立しているからです。
●縦書き文章も新聞を読んでいる読者には最適です。新聞は縦書きだからです。また構成も現状の問題提起、解決策の提案、クロージングという構成になっています。
●文章も分かりやすい表現です。ただ最後の2人の会話には少し作為が感じられます。それは「・・・母さんがはじめてみるってどう?」「・・・効果的だったりして」です。普通はそういう言い方をするでしょうか?
●わたしなら「・・・母さんがはじめたら?」とか「・・・はじめてみれば?」
として、お母さんは「それが一番いいかしらね。そうしようか。」とした方が日常会話に近いと思います。(この広告は関西版でしょう?)
●地域によっては会話に日常使われている方言を活用すべきですね。
●レイアウトでは会話文章の中央にキャッチコピーを配置したのは良いでしょう。長い会話は途中で飽きられる怖れがあります。途中に目と神経を休ませることも必要です。それができていますね。
●このキャッチコピーの配置で下段の商品名とT字型の安定配置になり、左右対称の美しい配置にもなっています。しかも2人の女性のイラストが最初と最後に配置されています。やや大きめですが、お父さんはやはり真中で小さくなっていますね。(笑)ヘッドとエンドをイラストで締める役割を果たしています。
●全体に四角っぽくなりがちなのを、イラストと3つの商品の特長を吹き出しの中で写真を使って表現するという丸みを意識したレイアウトも効果的です。
●配色は全体が薄いピンクのベースに黒文字と濃いピンクの文字で特長をクローズアップしています。キャッチコピーと商品の特長は薄い黄色に黒とピンクの文字で構成されています。全体に女性を対象にした配色ですね。
●フォントも丸ゴシックで柔らかい感じをだしているのも女性を対象にしているからでしょう。イラストもほんわかムードの漂う感じの良いものです。
●最後に下段の「GALAXY J」の横に吹き出しで「スマホデビューは」とあるのも効果的です。会話の文章を読んだ後に、もう一度「スマホデビューは」というセリフで行動を強調して商品名につなげるのは定石です。
●ただ私なら「お近くのドコモショップで体感してください」というコピーを商品名の下に入れます。「docomoLTE・・・」以下のコピーは初心者には意味不明です。それよりもこのあと「どういう行動をしてほしいか」を訴求することが重要です。
●いかがでしょう?皆さんの学びは他にもあるでしょう。この広告を教材にして学び合いをしてみてください。
●尚、サイズは大きい方が良いです。位置は真ん中面の最下段でしたからあまり良くありません。これらは予算との都合もあるので論評の対象外にします。
●タイミングは歳末商戦の突入前ですからいいですね。1回限りより複数回のほうが効果的です。歳末商戦で3回は欲しいところですが、これも予算との関係があります。折り込みチラシもそうですが、継続は力です。
●サムソンのスマホのチラシや広告は今年になって秀逸です。本欄でも7月4日にチラシ診断をしていますのであらためてご覧ください。店頭POPや接客ツールとしても役に立ちます。<完>
●それにしても私が住む地域の携帯電話ショップの歳末商戦のチラシ広告は相変わらず購入動機の刺激によって必要性を訴求しています。新規顧客を争奪するために「○○万円キャッシュバック」の訴求合戦です。
●①利用動機の刺激による必要性の喚起や②購入時の選択の手助けや③購入後の安心を伝えるものは見当たりません。同じ競争激化の市場である学習塾のチラシ広告は価値と価格の訴求がバランス良くレベルの高い競争をしています。
●携帯電話ショップも他の地域では稀に①②③を訴求しているものを見かけます。ですが少数派です。やはり安売り訴求しか効果がないのでしょうか?私には疑問ですが・・・。
- 登録日時
- 2013/12/14(土) 10:13