【2013年12月の提案③】
『影響力の武器』を活用する<そのⅢ> 損失回避と希少性の原理
■「影響力の武器」に学ぶシリーズの3回目です。某社のセールスレターにあった5つの質問の2番目を取り上げましょう。その質問(問題)とは・・・
●②あなたの提案に乗ることで得られるものと、
断ることで損するもの。
どちらを見込客に伝えますか?
●私の答えは『断ることで損をするもの』です。
●その理由は、人は同じくらい価値があるものなら、それを獲得することよりも失うことを考える時に強く刺激をされるからです。得られるメリットより失われるメリットに対して敏感に反応するとも言えます。
●これは社会心理学の『損失回避と希少性の原理』で説明されていることです。提唱者はダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏です。
●流通業の事例をみてみましょう。例えば次の2つのセールスコピーを比べて「損失回避と希少性の原理」に基づくとどちらが効果的でしょうか?
●A:「30%引きで新製品をお試しいただけるこのチャンスをご利用ください!」
B:「30%引きで新製品をお試しいただけるこのチャンスをお見逃しなく!」
●正解はBですね。
●この取引には希少性(期間限定や台数限定など)があるので、割引価格で商品を買うチャンスを見逃してしまう怖れがあることをコピーで(このチャンス)示しています。
●他の例では、価格交渉の時に、お客さんに「安くしてくれれば(値引き交渉ですね)今すぐ買うが、ダメなら他の店に行く」と言われて、値引きに応じるのは売り手が損失回避をしようとしていることになります。
●実際には利益を割ってまで販売すると損失を発生させることになるので断ることも必要です。しかし、そのお客様がお店の固定客として今後に利益をもたらしてくれるようになる場合もあるので、そこは竹を割ったようにはいきません。
●読者のみなさんも両方の立場でご経験があるのではないでしょうか?今後も実践で検証してみてください。
●もうひとつ私が携帯電話ショップのアドバイスでPOP広告のコピーを作成した例をご紹介しておきましょう。
●多くのお店ではあるサービス商品を「○○○を5つの特典つきで募集中」とか「○○○にはこのようなメリットがあるので購入(入会)しませんか?」と
やっておられました。
●「○○○にまだ入会されていない方、こんな【損】をしていますよ」というキャッチコピーを大きく訴求して、入会しないことによる損失を5項目あげてみました。
●多くの店で従来よりも成果が出たという報告を受けました。お客様がご存じないことを「損失回避と希少性の原理」の組み合わせで訴求すると効果的だということを知らないのは大きな損失ですよ。(笑)
●ここでお断りを。実は日曜日から3年ぶりに腰痛が発症しました。(寒さと年齢のせいでしょう―笑)医者に通い、しばらく養生をしたいので本欄への投稿をお休みいたします。年内には再開できるように頑張ります。
●最後に「影響力の武器」で紹介されている6つの原理を再々掲しておきます。繰り返し見ることで自然と頭に入ってくるでしょう。他の場面では役に立つ考え方ですからね。<完>
①返報性(著書の第2章)
恩恵を受けたら報いなければならないと感じること。
②権威(第6章)
専門家に指示を仰ごうとすること。
③コミットメントと一貫性(第3章)
自分のコミットメントや価値観と一貫した行動をとろうとすること。
④希少性(第7章)
手に入れにくいものほど求めたがること。
⑤好意(第5章)
好意を持つ相手ほどその言動に賛同したくなること。
⑥社会的証明(第4章)
他人の行動を自分の指針とすること。
- 登録日時
- 2013/12/16(月) 15:41