【2014年01月のトピックス①】
残念な人【稀勢の里】の心・技・体
●今日は「大寒」。1年中で最も寒い日と言われています。私の家の周りでは昨日19日(日)の朝に初めて積雪を見ました。例年は2月の上旬なのですが今年は早かったですね。とにかく冷たい空気が身にしみます。
●体が寒いのに応援をしている大相撲の大関「稀勢の里関」の2回目の横綱挑戦が昨日で失敗に終わり私のこころも冷えています。今日はその残念な人、稀勢の里関の「心・技・体」について私見を書いてみます。
●昨年夏の名古屋場所が初めての横綱挑戦でしたが、前半で3敗をしてしまい失敗に終わりました。今回は2度目の挑戦です。13勝2敗で優勝なら横綱昇進というのが相撲協会、横綱審議委員会の見解でした。
●ところが稀勢の里関は、昨日8日目を終わって3敗目をきっしました。横綱白鳳関は全勝です。これで今場所後の横綱昇進の目はなくなったわけです。その要因を相撲界では特に重視されている「心・技・体」の要素で分析することができます。
●「心=こころ」のどこに問題があったのでしょうか?心は「スピリット=精神」、「ハート=感情」、「マインド=知性」に分解することができます。まず精神面では①横綱になるという強い志と意欲が求められます。②感情面ではプレッシャーに打ち勝つ平常心が求められます。③知性面では1番1番の相撲に対する工夫力が必要でしょう。
●稀勢の里関の今までの課題は、「プレッシャーに打ち勝つ平常心の維持」でした。彼はいままで少し苦手意識のある相手には、土俵上で瞼をパチパチさせて仕切り、動揺している姿が見受けられました。
●最近それは減ってきたのですが、今場所は土俵下で取組前に妙な口の動きをして、何かリラックスしようという意図が伺えました。泰然自若で待つという姿が見受けられません。自分を落ち着かせようという意識が強く、意識が自分の内面の克服に向かい過ぎています。
●私も経験がありますが、上手くやろう、自分の言いたいことを漏らさず伝えようなどと考えていると意識が内向きになります。そうすると緊張感が増して、俗にいう「アガル」という状態になりやすいのです。
●準備をしっかりしたなら(稽古十分)本番は相手に意識を向けて観察することです。そして自分を信じて自信を持って対処することです。そうすれば相手の状態がよく見えて、咄嗟の対応もしやすくなります。
●横綱白鵬関を見ているとそれが確実にできています。勝負に行ってうろたえるということがほとんどありません。ところが稀勢の里関は、立ち合いに自分十分の左差しができないとしばしばうろたえて負けています。
●今後はぜひとも「平常心」を保てるように稽古に励んで自信をつけてもらいたいものです。そして土俵周りで妙な動きや表情をしないことです。意識を自分の内側でなく相手の状態の観察に向けられるよう努力してもらいたいですね。
●どうしても緊張感が高まり、「アガル」状態になったなら中村天風師が教えてくれています「クンバハカ」態勢をとることです。つまりお尻の穴をきゅっと締めれば良いのです。(当社代表の池田の著書=「幸運を呼ぶ魔力」三笠書房刊を参照してください)。
これを稀勢の里関に教える術はないのですが・・・。(笑)
●「技=技術」面ではどうでしょうか?左を差せば強いというのは衆目の一致するところです。しかし相手はそれをさせないよう工夫してきます。専門家ではないのでよくわかりませんが、立ち合いに磨きをかけて、左差し、右おっつけから右上手を取る動きの稽古でしょうか。
●あとは小兵力士には突き押し。今場所は足が前に出ないので突き押しがでていません。足が出ないのは緊張感からでしょうが、仕切りの時の腰の割り方が高いようです。体型からくるのかお尻が上がって見えます。
●あとはスピード感を出すことでしょう。稀勢の里関はこの世界では珍しいほど「張り差し」をしない、「立ち合いに変化しない」、めったに「引かない」という真っ向勝負の力士なのです。そこが良いところですが、それゆえ相手は思い切って立ち合いに突っ込んできます。(碧山関や栃おう山関との一戦)
●この相撲を取るなら立ち合いのより強い当たりとスピードが必要です。そして自分の型に持ち込んで相手を圧倒するしかないでしょう。稽古には心面の知性を活かして、「考えて稽古する」「稽古してから考える」という習慣を身につけるしかないでしょう。
●自分で記憶するだけでなく部屋の若い衆に「記録」をさせてそれを見て反省をすることが必要です。やっていると思うのですが、研究しないとこの壁は乗り越えられないのではないでしょうか。稽古量だけでなく「質の追求」をしてもらいたいものです。
●「体=体力」とは。体格、体型、体重、瞬発力とスタミナ、柔軟性でしょうか。稀勢の里関は決して美しい体型の力士ではありません。これはどうしようもないですが、体格、体重は恵まれているでしょう。
●稽古熱心でスタミナも十分のようです。やや弱いのはスピードにつながる瞬発力ではないでしょうか?ですがこれは天性のものがあるので、すべてを満足させるのは難しいかもしれません。せめて立ち合いのスピードあげられるよう稽古すべきでしょう。(たとえば腰を低くして下から押し上げるイメージ)
●怪我にも強く、休場しない強さ、真っ向勝負の潔さ、常に10番は勝てる力がありながら、優勝0回、どこかに要因があるはずです。満27歳のこの大関、今年こそ横綱に昇進してもらいたい。横綱になっても残された相撲現役人生は数年です。
●何としても残念な人にならないで、久しぶりの日本人横綱になるよう頑張ってほしいですね。それは今年しかないでしょう。「心・技・体」に課題を見つけ、現状とのギャップを埋める手段・方法を見出して稽古に励んで、結果を残して欲しいです。ガンバレ!稀勢の里。<完>
- 登録日時
- 2014/01/20(月) 13:11