▲ジャスミンの花:花言葉は「愛らしさ」「愛嬌」「清純」「温和」「無邪気」
浅田真央さんを表現するのにピッタリの花言葉ですね。
【2014年2月の雑感②】
人間らしさを見せてくれた浅田真央選手
●ソチ冬季オリンピックでの女子フィギュアスケート浅田真央選手の最後の試合は、私たちの記憶に長く残ることでしょう。それほどドラマチックで人間らしさを感じさせてくれた2日間でした。
●結果は多くの方が注目されていたのでご存じだと思います。ショートプログラムの大失敗。そしてフリープログラムでの自己最高点の演技。総合成績は第6位入賞でした。
●戦前の予想では浅田選手は「銅メダル」が圧倒的に多かったようです。ですがわれわれ多くの日本人は「金メダル」を獲得して勇退してくれと願っていました。
●私はショートプログラムの明け方午前4時半ごろに目がさめ、ケータイのニュースで「浅田真央まさかの16位発進」を見て、久しぶりに血の気が引く思いをしました。想定外の悪い結果に落胆し、その日はテレビで確認するのをやめたほどです。
●夜のニュースでインタビューシーンが流れていましたが、浅田選手の動揺した受け答えに可哀そうにと同情しました。それにひきかえライバルの韓国のキム・ヨナはトップだと、あれだけ休んでいたのにきっちり仕上げてきたのに驚きました。
●そして金曜日の明け方も午前3時半過ぎに目がさめ、ケータイをチェックすると「浅田、自己最高得点で暫定2位」とありました。暫定首位はコストナー選手、しかしまだリプニツカヤ、ソトニコワ、キム・ヨナが残っている。メダルは無理か、もしかして、と思いつつしばらく目を閉じました。
●午前4時10分ごろに再度チェック、「ソトニコワ金メダル」の表示、そこでワンセグに切り替えると、NHKの工藤アナと杉浦アナが出てきてVTRで日本選手とソトニコワの演技を見せてくれました。
●30分ほど見ました。浅田選手はすべてのジャンプに成功はしましたが、スピードや高さ、表情などはいまひとつに見えました。それにひきかえソトニコワ選手の演技はスピードとジャンプの高さがあり素人の私でも素晴らしいと思いました。
●日が昇り、昼間と夜にテレビでチェックしました。浅田選手もさることながら、最終組の選手たちの演技は実に素晴らしいものでした。男子のスッテンコロリのフリー競技に比べると女子は決勝にふさわしい戦いだったですね。
●結局フリー演技の得点は、1位ソトニコワ、2位キム・ヨナ、3位浅田真央でした。真央さんは自分の中では最高の演技ができたと言っていましたが、満足する得点ではなかったようです。自己最高点ですが本人は150点越えをねらっていたのではないでしょうか?
●女子では初めて3回転ジャンプ6種類を8回跳びました。しかもトリプルアクセル成功です。ですがソトニコワにもキム・ヨナにも及びません。コンテスト競技なので評価がおかしいのではと思わずにいられませんでした。
●しかし翌日の新聞には選手ごとの詳しい要素別の得点が出ていました。真央さんの8回の3回転ジャンプのうち半分の4回は、回転不足や踏切違反の評価になっています。トリプルアクセルは成功ですが、他のジャンプをカバーするほどの配点がないのです。
●納得です。ソトニコワには出来栄え点の加点が多いようですが、彼女も7回、3回転ジャンプを跳んでいます。韓国が評価に抗議しているキム・ヨナはとても安定していてノーミスでしたが、3回転ジャンプは6回にしています。
●若干ソトニコワに甘いかと素人判断しますが、判定を覆すほどのものではありません。やはり今回はソトニコワがNO1だったでしょう。恐るべき17歳です。これからのフィギュア界はロシアがリードすると思います。
●さて我らが「浅田真央」さんです。彼女は「心・技・体」&「運」のうち、「こころ」と「運」が若干弱かったようです。あれだけの実績をあげ、努力をしてきたのに本番(オリンピック)では3回とも残念な結果です。
●1度目は年齢制限で出場できず。(荒川静香さんが金メダルのトリノです)、2回目のバンクーバーは3回のトリプルアクセル成功にもかかわらず、他のジャンプでのささいなミス。強敵キム・ヨナの完璧な戦略と演技に敗れました。(バンクーバー)
●そして今回のソチ。ショートプログラムで団体と個人の2度のチャンスがありながら、ことごとく失敗したジャンプのトリプルアクセル。ですが今季11回挑戦して試合で1度も成功していなかったのですから心配されていたことですが・・・。
●自信が持てていなかった(推測です)うえに、緊張で体が思うように動かなかったと。残念ですが、自分へのこだわりから果敢に挑戦するなんていうのは、やや無謀であったかもしれません。
●対して長年のライバルのキム・ヨナはバンクーバーですでに自分のスケーティングスタイルを完成させていたのでしょう。ブランクがありながら自信満々の余裕の演技をしていました。ブランクは良い休養だったのでしょう。
●一方、真央さんはバンクーバーを終え、新しいコーチのもとで1から自分の演技を見直し、過去をご破算にして新たな演技の構成とそれを実行する技に挑戦してきました。ですから4年間休みなしです。
●なのに本番で「取り返しのつかない失敗」(本人談)をしてしまいました。茫然自失の状態になるのは当然だったでしょう。本番に弱い男を自認する私には、可哀そうと同情するとともに真央さんも人の子だと思えました。
●ですが技術の練磨には最大限の努力をしたのでしょうが、プレッシャー対策としての「心の鍛練」はやってきたのでしょうか?やっていれば仕方がないのですが、どうも技の練習をとことんやって自信をつけるのに精一杯ではなかったかと推測します。
●真央さんはスケートの天才というより努力の人なんですね。しかもトリプルアクセルに執着する孤高の戦士、勝利に向かって戦略的に行動するのではなく、自分のやりたいことを極めたいという生き方にこだわる人だったんですね。
●そこに魅力の特長があります。女子フィギュアスケート界は難度の高いトリプルアクセルを跳べる選手を求めてはいないのです。多くの選手が参加できる総合的な演技力を求めないと競技がなりたたないからでしょう。
●そんな世界で自分を貫くのはたいしたもんです。フィギュアスケートの団体の方は苦々しく思っているのではないでしょうか、最低でもメダルを取ってくれと思っていたと思います。(私の憶測ですが)
●そんな真央さんに最後の最後に神は舞い降りたのでしょう。フリーでトリプルアクセル成功、6種類8回の3回転ジャンプにほぼ成功ですから、本人は満足のいくオリンピックだと晴れやかな顔で語っていました。(本心はそうでないと推測できます)
●ショートで失敗してメダルの可能性がなくなり開き直ったから実力が発揮できたのでしょう。できれば優勝争いの緊張感の中で成し遂げてもらいたかったですね。これでフリーでも失敗していれば大変なことになっていたからでしょうから、まずはめでたしというところでしょうか。
●なにより多くの国民が納得しています。この2日間での失敗と成功は伝説になるでしょう。優れた記録(メダル)は残りませんが、私たちの記憶には残ります。まるでプロ野球の長嶋茂雄さんのようですね。
●多くの人に感動と勇気を与えたのではないでしょうか?私は感動しませんでしたが、本番で見せた弱さと強さ、それまでのたゆまぬ努力の数々、必ずしも恵まれなかった「運」、最後には自分の目指していたものに近づいた「成果」、素晴らしいアスリートでした。
●残すは3月の世界選手権。日本で開催です。キム・ヨナは出ませんがソトニコワは出場します。そこで今回未達成だったショートプログラムの成功、(75点)そしてフリープログラムの完全成功(150点)にチャレンジしてもらいたいと思います。
●私個人はそこで自分がめざす成果をあげて、もう引退してもいんじゃないかと思います。現役続行を望む声も多いようですが、もう十分頑張ったんじゃないでしょうか。腰痛もあるようですから、無理をしないで欲しいですね。
●最後はご本人がどのような決断をされようとも今までどおり暖かく見守り、受け入れるのがファンの態度でしょう。お疲れ様、そしてありがとう人間らしさを見せてくれた浅田真央さん。<完>
- 登録日時
- 2014/02/24(月) 10:01