▲クロッカスの花 花言葉:青春の喜び
【3月の提案①】:部門経営者のための「仕事ができる人になるための習慣」
ドラッカー教授の『経営者の条件』を素材にして導き出す<1>
■今年も多くの企業は新年度を迎えようとしています。「仕事ができる人」をめざして頑張っておられる方に、参考になればと以前に書いた資料を改訂して提案いたします。5回の予定です。
このまとめは経営コンサルタントの吉田繁治氏がドラッカー教授の古典的名著である「経営者の条件」をベースに著述されたメルマガを要約したものです。
原文は7回シリーズで書かれていてA4用紙で100枚近くあります。
同社のホームページ「ビジネス知識源」で無料版として公開されています。
格調高い文章で記述されていますので興味と時間のある方はそちらを参照してください。(2005年12月から2006年1月で検索すれば容易に見つかります。)
尚、本文は大幅に編集して要約しています。文責は私にあります。
■ドラッカーは経営という仕事を通じた、経営者の成果への貢献を3つに集約しています。以下の3項が、ドラッカーの言う「成果」の基本内容です。
① 直接の成果をあげること。これは「利益」のことです。
② 価値の創造と価値の再定義。これは「商品づくり」のことです。
③ 明日のための人材の育成。
■ドラッカーは「エグゼクティブ」という言葉を使っています。日本語の経営者とはニュアンスが違います。その意味を機能として整理すれば…
・成果を上げることができるようにルールと作業方法を決定し、
・人のそれぞれの強み(=技術)を生かすように配置(=組織化)をして
・実行を、時間軸で計画し、
・最終成果との比較で、進捗度合いの管理を行い、
・途中で必ず生じる予期せざる障害の解決をし、
・成果をあげるために他人を導く人です。
以上のマネジメントの機能を実行(執行)するのがエグゼクティブです。
ワーカーやスペシャリストは対象外でしょう。
■ドラッカーは「エグゼクティブ」や管理職を含めて「知識労働者」という言葉を使い、その人々が成果をあげるには5つのことを『自分の習慣にする能力』が必要であると言っています。
【習慣】:習慣は、後天的に(意識的に)習得し、比較的に固定していて、少ない努力で反復できる行動様式。(広辞苑の定義)
吉田氏はこの5つを以下のように解釈し、解説をしてくれています。
① 常に自分が何に多くの時間をとられているかを知ること。(時間管理)
② 常に自分以外の外部に役に立つことに焦点をあてること。
③ 常に自分ができること、すなわち強みの上に仕事を組み上げること。
④ 常に自分の能力のうち、優れたものが何かを知り、その領域で成果を上げることに集中すること。
⑤ 常に成果に焦点を当てて意思決定をすること。
■【習慣①】何に多くの時間をとられているかを知ること。
観察してみると、成果を上げる人は、自分の仕事の「計画」から物事を始めていなかった。自分が使える時間から出発していた。自分が、何に多くの時間を使っているかを知ることから始めている。
ドラッカーは自分の時間の解剖のために以下の3ステップを提唱しています。
① まず、何に時間を使っているかを記録する。
② 次に、時間をやりくりする。(行動の種類で分類することかと思う:筆者)
③ そして、時間をまとめて集める。
これをすることで、多くの知識労働者は掛けた時間の2/3は成果に対して有効でないことに気づくはずだ。時間は有限でありコストです。有効な時間が1/3なら3倍のコストを掛けていることになります。
成果に向かっての有効な時間の使い方は、新たな知識を導入することや、マネジメントのプロセスに介入することです。
仕事では、
① 何を行うことが成果に向かって正しいかを決めること。(WHAT)
② その意味を理解せしめること。(WHY)
③ どう行うことが正しいかを決めること。(HOW)
④ 実行の過程を管理すること。(PLAN、DO、CHECK、ACTHION)
⑤ 実行のプロセスで生じる障害を解決することが必要です。
この5つが連動して初めて、組織の行動が変わり、行動が変化した結果として成果の数値も変わります。
■ 部下やチームの行動を変えねば成果は出ない。そのためにはそこに多くの時
間を使わなければならないのです。
計画、方向付け、そして仕事ぶりについて、部下と15分で話せると思っている者は、自己欺瞞を犯している。重要なことについて相手に解らせ行動を変えたいとすれば、最低1時間、多くの場合はそれ以上の(1対1の双方向のコミュニケーション)の時間を必要とします。
多くの時間は「なぜ変えなければならないのか?」「成果を生む方法はこれでいいのか?」というWHY(なぜ)とHOW(どういう方法で)を、部下やチームに対して使わねばなりません。
ドラッカーは
人は常に、仕事についてはベストな人材ではなく、最高でも及第点であるに過ぎないと明察しています。
ところがマネジメントでは、部下やチームにアイデアを提供すれば即解釈し、短い時間で実行できるという錯覚に陥ってしまいます。
自分が指示を受ける部下だったとき、指示の理解に悩んだこと、あるいは理不尽に思ったことを、マネージャーの立場になるとすっかり忘れます。これがマネージャーの自己欺瞞です。
人は取り換えれば、機械を新しくしたように、即日に働きが変わるということは決してありません。指示やアイデアは、その方法と手順が、十分すぎるくらい理解されねば実行されることはない。コミュニケーション不足が原因で実行の不足が生まれるからです。
■ 何に時間を使ったかを実際に記録し、本当の内容を知ったあとは時間を集め
ることです。
そのためには、以下の2つの問いを自分に向かって発することが必要だとドラッカーは言います。
① する必要のない仕事を排除する。
② 他の人でも十分にやれることは何かを考える。
■ する必要のない仕事や活動をどうやって見つけるか。自分が行っている
「全ての活動」に対し、以下の問いかけをする。
それをしなかったら、何が起こるかを想定する。(短期及び長期で)何も起こらなければ、結論は直ちにやめることである。
■ 他の人でも十分にやれることは何かを考える。
仕事を任せるということです。その場合、権限と責任は一対のものです。原理的に言えば、責任があるからその責任の範囲で、自己決定ができる権限がある。
その意味でいえば、権限の委譲ではなく、「責任の委譲」です。責任を果たせるような方法と手順を与え、その後に自己決定ができる権限を委譲する。これが委譲の正当な順序です。
■ 仕事が委譲できないのは「本来、自分が行うべきことを見つけて仕事をしていないから、過去からの自分の仕事を、今も慣習的に行い続ける」という理由です。
マネージャーの仕事の成果は、1つ目、チームの成果を向上させることです。そして2つ目、チームの成果を上げるため、部下を成功に導くための方法を与えることです。3番目には、発生した問題の解決です。<続く>
- 登録日時
- 2014/03/24(月) 10:47