▲君子蘭の花。花言葉は「夢が叶う」「望みを得る」「誠実」など。鶴竜にふさわしい花ですね。奥に見えるのは【成金草の花】です。
【2014年03月のトピックス①】
ワンチャンスを掴んだ大関、鶴竜力三郎
●2012年4月の本欄に「実直なり、鶴竜力三郎 大関に昇進する」というコラムを書いています。ぜひ参照してください。
●2年前の春場所も横綱白鵬と優勝決定戦を行い敗れましたが、13勝2敗で大関昇進を決めました。今年の本場所では初場所と春場所で白鵬に2連勝しています。しかも2場所連続の14勝1敗です。初場所は白鵬との優勝決定戦に敗れましたが、春場所は初優勝です。見事な成績ですね。
●これで第71代横綱が決定的です。おめでとう!鶴竜。
●鶴竜は大関昇進後の2年間はさしたる成績をあげることはできませんでした。9勝6敗の地味な大関という印象で、このまま万年大関で引退までいくのかと思っていました。
●私は贔屓の大関稀勢の里の横綱昇進に期待していましたが、これについても今年の本欄で残念な人として取り上げています。本番に弱いがいつかは日本人横綱になるという期待は捨てきれません。それにひきかえ鶴竜への関心は薄れていました。
●ところが先々場所の九州場所あたりから鶴竜に変化が見られました。それは体重を増やしつつあったからです。入門時65キロのモンゴル少年は大関昇進時には倍以上の体重になっていました。それでも幕の内では軽量の部類です。
●このままではだめだと思ったのか、鶴竜は昨秋から体重を150キロ以上に増やしだしました。ところが体重を増やすとそれまでの動きが鈍くなります。体重の増加と筋肉の強化などが一致し、動きにスピードがないと思うような相撲がとれません。
●鶴竜はこれをコツコツとやり始めたのです。同時に立ち合いで右前ミツを取る稽古を始めました。ある種自分の相撲の型を極めようとしているのかもしれません。
●これらの試みは、相撲の世界で良く使われる能力要素である【心・技・体】の体重の増加と技の連動ができるように努力したのだと思います。どういう心境の変化があったかは今のところマスコミ情報ではわかりません。
●そして鶴竜は大関から横綱への昇進をワンチャンスでものにしたのです。おりしも携帯電話販売員からクラシック音楽の歌手に転身したイギリス人のポール・ポッツさんを描いた【ワンチャンス】という映画が公開されています。
(ポッツさんの件は本欄でも過去に取り上げています)
●人生において飛躍や転身へのチャンスを掴む人と掴めない人がいます。私も掴めた時と掴み損なった時があります。鶴竜はポッツさんと同じように見事にワンチャンスをものにしました。
●稀勢の里は2度つかみ損ねています。これは【心・技・体】だけの問題ではなく、【運】が作用しているのかもしれません。
●しかし【運】は科学的に解釈したり説明することはかないません。やはり【心・技・体】の『充実=改善・強化・付加』への努力が重要なのでしょう。鶴竜はこの半年ぐらいで確実に変化を見せました。
●ですが相撲内容ではまだまだ立ち合いで先手が取れず、土俵際ではたき込んだり、いなしたりして勝つことが多いようです。このままでは勢いのある力士に金星を提供する可能性が大です。
●横綱になったからこそ精進を続け、長く綱を張れる横綱に成長してもらいたいですね。お父さんは朝青竜、白鵬、日馬富士のようにモンゴル相撲関係者ではなく大学の学部長というインテリです。
●異色のモンゴルマン横綱、大人しいだけが取り柄だった「親方=逆鉾の弟である寺尾(しころ山親方)の言」少年が夢を叶えつつあります。物静かでやさしい人柄のようです。勝負の世界で勝ち抜くには懸念はありますが、自分らしさを活かし、強みを磨いて頑張ってもらいたいですね。
●それと我らが稀勢の里関、あっという間に先を越されてしまいました。ですがまだまだ可能性があります。体は十分でしょうから【心・技】に磨きをかけて日本人横綱をめざしてもらいたいものです。三度目の正直です。バルト、琴欧州という苦手力士が引退しました。チャンスです!<完>
- 登録日時
- 2014/03/25(火) 11:39