▲4月6日(日)の仁川の阪神競馬場。2年ぶりに訪れましたが桜が満開でした。サンケイ大阪杯でキズナ号が優勝すると満員の指定席のお客さんから万雷の拍手が起こりました。人気があるんですね。さて来週の桜花賞までこの桜が持つでしょうか?
【2014年04月のトピックス①】
巨人 阿部慎之助のボーンヘッドに学ぶ
●春到来です!スポーツ観戦好きの私にとってはワクワク・ドキドキする季節がやってきました。プロ野球の開幕、MLBの開幕、マスターズゴルフトーナメント開幕、女子プロゴルフの充実、春競馬GⅠ戦線の本格的シーズン到来、どれも見逃せないものばかりです。あ、それに将棋の名人戦も始まりますね。退屈する暇がありません。(笑)
●その中でもとりわけ観戦に気合いが入るのが日本のプロ野球です。私は関西在住ですが子供のころからの熱烈な巨人ファンです。半世紀(50年)もの間応援をしています。そういうわけで3月末の阪神との開幕3連戦はワクワク・ドキドキの気分でテレビ観戦をしました。
●結果はファンならご承知のとおり巨人が2勝1敗で勝ち越しました。まずまずの成果ですが、負けた第2戦は悔いの残る試合でした。それはキャプテン阿部慎之助捕手のボーンヘッドが原因だったからです。このことは原監督が「巨人ではあってはいけないプレイ」だと激怒したと報道されていました。
●今回はこの題材を取り上げ、「ベテランのボーンヘッドミスにチームとしてどのように対処したか」について考えてみたいと思います。このケースは一般の組織でも起こりえることで、それに対する対処法は「問題解決」の教訓になると思うからです。
■起こった出来事は・・・
3月29日(土)の第2戦の9回表阪神の攻撃、3対3の同点。無死満塁のピンチで打者は西岡、打った打球はファーストゴロ。1塁手ロペスは1塁ベースを踏んでバックホーム、阿部捕手は3塁ランナー上本にタッチすればダブルプレー成立という状況でした。
●しかし阿部はここで勘違いをしました。それはロペスからの投球を受けるや否やホームベースを踏んで1塁へ転送したのです。1塁のロペスの動きをよく見ていなかったのでしょう。(阿部は西岡の蔭になってロペスの動きが見えなかったと言っています)
●これで阪神は3塁走者の上本がホームインで1点が入りました。(これが実質上の決勝点となりました)このあと4番ゴメスのタイムリーヒットでもう1点入るのですが・・・。
●試合後の原監督は前述のように激怒したとネット情報にありました。さて巨人はチームとしてこのミスに対してどのように反省をし、今後に生かすようにしたのでしょうか?
阿部のようなチームの中心となるベテラン選手によるボーンヘッドに対して、あなたが監督ならどのように対処されるでしょうか?
●翌日のネット情報によると巨人首脳陣は阿部から報告を受け、以後は阿部がよく確認するという短い記事が出ていました。どのような話し合いが行われたか詳細はわかりません。そこでこのボーンヘッドミスを題材に問題解決のあり方を考えてみましょう。
■まずこのミスの問題はどこにあり、なぜそれが起こったのかを明らかにしなければなりませんね。
●このプレイでは1塁のロペスがベースを踏んでからホームへ投げていますので、ホームタッチアウトでダブルプレイ成立が正解です。それを阿部はロペスの動きが見えなかったから自分で判断して、ホームで3塁走者ホースアウト、1塁転送でダブルプレイとしてしまったのです。問題はここにありますね。
●そして原因は阿部が「ロペスの動きが見えなかったのに自分の憶測で判断したことです。」しかも、ロペスが3塁走者を指差しタッチプレイを阿部に促していたのも見逃しています。(阿部はロペスの送球が低く、見えなかった、ベンチからの声も観客の歓声で聞こえなかったと証言しています。)
●阿部がロペスの動きが見えていたなら判断ミスはしなかったでしょう。しかし「見えなかった時」はどうするかの判断ミスでした。同点で9回という状況では1点もやれないですね。優先すべきは3塁走者をアウトにすることです。
●プロなら分かりきった判断を、阿部は『思い込み』で対応してしまいました。ではなぜ思い込みで判断をしてしまったのでしょうか。経験からファーストゴロの瞬間に「よしホーム&ファーストのゲッツーだ」という意識が先走ったのでしょう。それは慣れからくるものではないでしょうか。常に『事実を確かめてから判断をして手打つ』というセオリーを忘れているのです。
●プロなら「心構えが横着になっている」と指摘されてもやむを得ないでしょう。ベテランほど「俺はわかっている」「経験上たぶんそうだろう」という判断がミスを招くのです。
●巨人軍はどのようにこのミスをチームとして活かすのかは分かりませんが、阿部選手1人の「心構えの修正」だけにとどめてはもったいないでしょう。
というかいけません。
■自分の問題として置き換え学ぶべきことは、①状況は常に事実を確認してから判断する。②思い込みは問題解決の強敵である。③確認が十分にできない時はその場の次善の策をとる。(このケースの場合は3塁走者をアウトにする)④ベテランこそ「慣れ」「思い込み」がミスを呼ぶことをしっかり認識させる。⑤他の選手も他山の石として教訓にするというようなことをきちんとチーム内に徹底することが必要と考えます。
●いけないのは「ベテランのお前がどうした、今後は気をつけろ」、「なにやってんだ、お前のせいで負けたじゃないか、次バットで取り返せ」、「これはめったにないボーンヘッドだ、他のメンバーも気を付けろ」などという『責任追及型の抽象的な対応策や精神論』にして終わることです。
●仕事を含む人生の多くは『問題解決の連続』です。ひとつひとつの問題を課題としてとらえ、できるかぎり「科学的に解決」するという姿勢が必要です。論理だけでは割り切れませんが、人心に配慮しながら問題解決に取り組みましょう。
●さてわが巨人軍もシーズン初めのボーンヘッドミスでよかったです。これで阿部キャプテンも気が引き締まるでしょう。チームは好調な滑り出しですが、まだまだ先は長く何が起こるかわかりません。油断のない戦いを続けてもらい、勝利を積み重ねてほしいと思います。<完>
●この記事を書いていた4月5日(土)の中日ドラゴンズ戦の2戦目、今度は延長10回に中日のルナ選手が同じようなミスで巨人に追加点を与えてしまいました。なぜ1塁に送球しなかったのでしょうか?(プロでも不思議なミスをするのも事実です)
ルナ選手は翌日の3戦目で決勝打を放ってミスを取り返したようですが・・・。
谷繁新監督の胸中やいかに。
- 登録日時
- 2014/04/07(月) 11:11