▲今月の最後もチューリップの花です。やっぱり赤いチューリップはインパクトがありますね。バレリーナという名が付いていました。花言葉は前回を参照してください。
【今月の提案】:部門経営者のための「仕事ができる人になるための習慣」
ドラッカー教授の『経営者の条件』を素材にして導き出す<最終回>
■前回までにドラッカー教授の「仕事ができる人になるための習慣」を5つの習慣に分けて紹介してきました。私の解説でご理解ができにくい場合は、「ビジネス知識源」主宰の吉田繁治氏の無料メルマガのバックナンバーを同社のホームページでご参照ください。
■またはドラッカー教授の著書「経営者の条件」を読まれることをお勧めいたします。
■さて吉田繁治氏のメルマガを要約しながら本文を書いてきましたが、5つの習慣に焦点を当てたため、それ以外の貴重な示唆をカットすることになりました。そこで最後にそれらの中からいくつかのトピックを取り上げておきます。
■人生において時間を浪費することなく【充実した生き方】をするには・・・
①自分にとっての成果を定義し
②成果を生むための知識と方法を持ち
➂方法の実行に時間を使うことを習慣にすることです。
■しかし何を成果と思うか、また思えるか、あるいは意図するかです。
成果を定義できなければ【無為】に過ごすしかない。
生きることは無為に過ごすことでもあります。それでもいいと思う。自己に課す達成基準を持ちえない時期もあります。
■自分にできることの突破口が見つかって、達成基準を少しずつ引き上げる。そうした過程で、自分にとっての成果は何か、が見えてきます。夢や目標はあらかじめあるのではない。目標が実現できると思えるようになって初めて成果の定義ができるからです。
■小売業の事例で成果は何かを定義し、マネジメントをするならば・・・
①売上と利益という成果に向かっての意味を担当者に伝えて理解させ(Why)
②手段・方法を手順化して、教育を行い、手順を制度化して(How)
➂実行過程を管理しなければならない。(Plan、Do、Check)
これを継続的に行うことで、売上や利益数値の変化という成果が出ます。
■エグゼクティブや知識労働者が、成果や業績を上げるためには、組織の成果や業績に焦点をあてなければならない。これが知識によるマネジメントの意味です。(これが弱いと、部下を導き成果に向かわせることができなくなります)
■自分が本来やるべきことを見出し、その時間を作り出すには従来自分がやっていて、部下に任せた方がよい仕事がある。それを行うときは権限と責任を委ねる必要がある。原理的に言えば、責任があるからこそその責任の範囲内で、自己決定ができる権限がある。その意味で言えば、権限の委譲ではなく【責任の委譲】です。
■リーダーの役割は基準を上げること。
リーダーとは集団の中でリードする人。つまり【実行する人】のことです。組織のトップやエグゼクティブのことではありません。エグゼクティブがリーダーである必要はありません。エグゼクティブはリーダーを配置することを任務とします。
■人間集団の基準はリーダーの仕事ぶりによって決定される。したがってリーダーこそ強みにもとづいて仕事をしなければならない。リーダーが高い基準で成果を上げると、その他のメンバーもそれにつられて向上していくことが多い。
■リーダー的な地位、すなわち仕事の基準を定める地位には、高い基準を設定できる強みを持った人を配置しなければならない。
ここでいうリーダーとはチームマネージャーではない。どんな組織にも一握り(5%の法則)のリーダー的成果を上げる人が居る。マネージャーはそうした各作業のリーダーが居るチームの成果をあげることを任務とする人です。
(マネージャーはエグゼクティブの範疇に入ります)
■エグゼクティブやマネージャーは部下と競争する人ではない。競争相手と見れば、その人の弱みに目をつけたくなります。しかし、基準を上げるリーダーである人に弱みを指摘し、その克服を義務付けることは、その人の強みを消すことになるかもしれません。
減点法は、部下がダメだから自分がトップとしての資格があるという自己肯定です。それは部下の弱みを強調し、自分はそれより高いところに置くための【政治的な言葉】でもあります。
■トップ、エグゼクティブ、マネージャーの任務とは・・・
人間を変えてしまうことではない。むしろ個人の持つ強み、活力、意欲を動員することによって、成果を上げる組織やチーム全体の能力を、個人での仕事より何倍も高めることです。
●この項目はそのとおりですが、現実と照らし合わせた時に私(鶴崎)には懸念が湧き上がります。あるリーダーが抜群の成果をあげていたとしても、チームのほかのメンバーに迷惑をかけるような行動をしていると、マネージャーはそれを放置できないのではないかということです。みなさんはどう思われますか。(考えてみてください、あなたならどう対処するかです)。
■意思決定で悩むのは以下のとおりです。
何もしなくてもうまくいくということはないが、かといって、何もしなくても取り返しがつかなくなるというわけでもない。
平穏な事態を変えることになる意思決定は辛い。
悩むとは気を使うこと、それは神経が磨り減ることになる。行き過ぎると病むことにもなりかねない。対策は【知力】を使うことである。知力を使うとスポーツのあとと同じで爽やかな気分になる。
■どうやって知力を使うか・・・
①意思決定によって得るものが【コスト+リスク】を大きく上回るなら、決定し行動しなければならない。
②決定するかしないか、いずれかに決めるべきである。二股をかけるとか、間をとろうとしてはならない。
●A案とB案があった時はいずれかに決めなければなりませんが、第3案はないかと考えるのも必要だと思います。(視点を高く、視野を広くすることで両面思考、多面思考ができます)。
■問題は遠くにあるときは容易に見えます。いざ明日のこととなると、障害が急に大きくなるのです。決定には「認知不協和」がつきものです。神経を使う前に、仮に意思決定が誤っていたとしても、致命的なことになる前に修正できること、(撤退の条件を想定しておくことも必要です。筆者)
もっと大事なことは決定後の実行と成果へのコミットメントすることです。
●以上で補足を終わります。以下別のドラッカー教授の著作からの要約です。
■ドラッカー教授は2005年11月11日に96歳で永眠されました。その後「ドラッカーの遺言」という著書が出版されました。その中にはさらにシンプルに経営の本質を語っておられる部分があります。以下はそれを紹介いたします。
■「経営の本質とは何でしょうか?」― こう問われるたびに、私が問い返す三つの質問があります。
①「あなたの事業は何か?何を達成しようとしているのか?何が他の事業と異なるところなのか?」
②「あなたの事業の成果を、いかに定義するか?」
③「あなたのコア・コンピタンス(独自の強み)は何か?」
先の三つの質問を一言で言えばこうなります。
『成果を得るために、どんな強みを活かして、何をしなければならないのか?』
経営の本質はすべてこの一言に言い表されています。
■ ドラッカーはこのことを別の表現で、あらゆる仕事に通じる普遍的な問いか
けとして次のように述べています。
「目的は何で、その達成のために何をすべきか?」
この問いかけは、あらゆる組織、あらゆる職業を通じて変わることない普遍的な質問です。組織や職業の違いによって変化するのは、その答えだけ・・・何をめざしているのか、そのために何から手をつけるのか、そのことの理解なしに、経営はただの一歩も歩みを進めることはできません。
■ 最後に、
「人はリーダーに生まれない。生まれついてのリーダーなど存在せず、リーダーとして効果的にふるまえる習慣を持つ人間が、結果としてリーダーに育つのだ。」
ドラッカー教授の言葉には本質的なメッセージがあふれています。ぜひあなたにとってヒントになるものを見つけ、【実践】してその効果を味わってください。1つずつ1歩1歩と積み重ねることです。<完>
- 登録日時
- 2014/04/28(月) 15:32