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【2014年06月のトピックス①】
将棋名人戦、羽生善治3度目の復位成る!
■春から初夏にかけての私の愉しみの1つに将棋名人戦7番勝負の観戦があります。今年も7戦までもつれこむだろうとの期待からカレンダーに日程を書き込んだほどです。
●名人位を争うのは森内俊之名人と羽生善治三冠の10度目の名人戦対決でした。4年前に森内さんが羽生さんから名人位を奪回した後、3年連続で羽生さん相手に防衛を果たしていました。
●昨年は4勝2敗でしたがシリーズ全体を通して森内さんの圧勝と言われていました。名人戦では森内さんの時代が来た、羽生さんは勝てないという雰囲気になっていました。(これは私の憶測ですが・・・)
●対局の様子をテレビで観ていても、どっしり構える森内さんには名人の風格さえ備わってきたように思えました。一方の羽生さんは落ち着きのない所作が見られ、平常心ではないのではないかと思わせられました。
●ところが今年の戦いは、私の期待にもかかわらず羽生さんの4戦全勝のストレート勝ちで、4月から40日あまりで決着がついてしまいました。熱戦を期待していたのに残念ですが、各局ともに紙一重の勝負だったようです。(第2戦は
羽生さんの圧勝に見えましたが・・・)
●羽生さんは4年ぶりに3度目の名人位復位です。すごいですね。さすがプロですし、40歳代に突入しても衰えが感じられません。これで7冠のうち4冠保持です。そんな羽生さんに関するインタビュー記事や新聞の名人戦観戦記から気づいた、自分に役立ちそうなヒントを共有したいと思います。
●羽生さんはこの世界では天才と呼ばれるほどの特別な能力の持ち主です。わたしのような凡人には真似ができないことが多いのですが、それでもこれならできるのではないかと思われるようなことを拾い上げました。
●また羽生さんはチームプレイヤーではありません。あくまで個人の能力を磨き上げて競い、成果を上げる世界に生きておられます。そういう前提で役に立つヒントを選びました。
■まずダイヤモンドオンラインのインタビュー記事から。(5月16日のメモからです)。
●羽生さんが今日あるのは、まず【①環境】に恵まれたと言っておられます。
その環境とは、1)身近に教えてくれる人が居た。 2)生活圏の近くに将棋道場があった。ご両親が買い物に行かれる間その将棋道場で過ごすことが多かった。(子供の羽生さんは親の買い物に連れていかれるより、将棋をするのが好きだったから全く違和感がなかったそうです)。
●3)その将棋道場には同じように将棋を学ぶ子供が沢山いた。
以上のことから先天的な才能も【環境】に恵まれないと花が開かないということが言えるでしょう。畑における土壌と日当たりが重要だということを思い出しました。(20年ぐらい前に4年間ほど家庭菜園をしていた経験があります)。
●次に【②親から期待されていたわけではない】とおっしゃっています。学習塾通いや、少年野球、サッカー、お稽古事など多くの親はわが子の才能開花を期待して環境を整えるのですが、羽生少年の場合全く期待はされていなかったようです。
●親の期待は子供の成長にとって必要ですが、何事も「過ぎたるは及ばざる如し」というように、過剰期待にならないように注意すべきですね。とは言っても多くの場合、親が熱心にサポートしないと子供の才能は開花しないでしょうけど。
●3つ目は【➂結果より経験というプロセスが大事】と言っています。羽生さんは数値目標を達成するより、将棋を指すというプロセスが楽しかったから続けられたのだと言っています。
●将棋そのものは難しいのだがとにかく面白い、数多く指していると「わかった」という手ごたえやひらめきが生じる、そうすると勝ち負けの結果よりそのプロセスが楽しくてたまらないと言っています。
●また勝ち負けの結果や過去の知識より自分がいま経験をし続けていることが自分の力になった。経験こそ学ぶための最重要な術(すべ)であると。共感しますね。実践から離れることが多くなった今、私はさらに強くそのことを思います。現役で成果に向かって格闘(経験)することをしないと力は衰えると思います。
●このインタビュー記事のまとめとして、『「蓄積された情報」は、日々色あせていきます。むしろそれを掴むまでの過程や、そこで培った複合的な力(少しわかりにくいですね)の方が、価値があると思います』とおっしゃっています。
■複合的な力の中身は伺うことはできませんが、このまとめの言葉を実践されている模様を、今回の名人戦の観戦譜を朝日新聞朝刊に書いている観戦子の記事を引用して探ってみましょう。
●2014年5月24日付、朝日新聞朝刊 名人戦第3局観戦譜 第2譜より観戦子の文を引用。記事見出しは『真摯な羽生』。
●第1、2局の力将棋とは一転、本局は現代矢倉の最先端の戦いだ。実は明日の譜まで2年前の名人戦第3局と全く同一手順(先手が森内で羽生負け)で、類型も多い。
●それなのに羽生は小刻みに時間を使う。現場にいた青野照市九段が「もっと早く指せるはずなのに」と、いぶかしがったほどだ。羽生は後日「他の可能性も探ったのですが結局、前例と同じになってしまいました。」
●『過去の例をうのみにせず、自分の頭で再点検しながら進める真摯な姿勢がまぶしい』ここまで引用。
●まさに羽生さんの真骨頂ですね。蓄積された情報は日々褪せていくもの。だから過去の例はうのみにしないで、実践のプロセスの中で確かめ、創意工夫を重ねていく。この姿勢と行動が羽生さんの複合的な力となって蓄積されていくのでしょう。
●私はこの羽生新名人の考え方と実践行動が、私を含め多くのビジネスパーソンに対して役立つヒントになると思います。どのような仕事であっても、成果に貢献するという目標のもと、『そこへのプロセスを愉しむ境地を少しでも持たれること』をお勧めいたします。
●名人戦は想定外に早く終わってしまい残念ですが、この2人は6月に入って引き続き「棋聖戦」5番勝負で戦っています。今度は羽生棋聖に森内竜王が挑戦します。第1局は淡路島であって羽生さんが先勝しました。2人の戦いはまだまだ続きます。
●そして来年の名人戦への挑戦権を競うA級リーグ戦も6月から始まりました。
来年3月まで長い戦いの始まりです。いやあ愉しみですね。(笑)愉しみなことが多いと人生は退屈しません。生きることも羽生さんのようにプロセスが愉しいことが一番なんですね。<完>
- 登録日時
- 2014/06/11(水) 11:00