▲オニユリの花。8月も後半に入りユリ科の花もしおれたり、枯れてきています。夏の終わりを感じる今日この頃です。花言葉は「賢者」「愉快」「華麗」「陽気」というポジティブなもの以外にも「嫌悪」というのが紹介されていました。
【2014年8月の提案②】
続・ビジネスパーソンの能力五角形で最強の自分を創る
影響力について考える
■能力五角形の管理職編に掲げている『影響力』について私の見解を述べます。
影響力とは何か、言葉の意味(定義)を考えることから始めましょう。
●影響力とは相手が欲しているものを与え、自分の思うように動かすこととしました。この定義は、『誰に、何を与え、どのような成果を得る』という3つの要素で考えたものです。読者の皆さんならどのように定義づけられるでしょうか?ご自分でも考えてみてください。
●対象となる「誰に」とは自分以外の相手です。「何を」与えるかについてはいくつかの要素がありますね。どのようなものが人を動かすのに影響があるでしょうか?これもちょっと考えてくださいね。
●沈思黙考・・・
●沈思黙考・・・
●沈思黙考・・・
●相手が欲するもの、期待するものって何でしょうか?
●金銭でしょうか?地位や名誉でしょうか?・・・相手の損得勘定に関するものはあげられますね。他には・・・
●恐怖の動機づけはいかがでしょう?脅し、脅迫という相手にとって負の感情(弱み)を刺激するものも行動に影響を与えますね。(小説や映画・テレビドラマではよく出くわします。)他には・・・
●相手の「自己重要感」を満たすことも有効ですね。周りの賞賛、感謝などで動かされる人は多くいらっしゃると思います。
●このように何かを与えることで他人を自分の思うように動かすことが可能になります。他にも以前本欄で紹介した「影響力の武器」(本編と実践編)という本に書かれている6つのテクニックも人を動かす影響力の正体について書かれたものです。
●ここまで自分が相手を動かすために影響力があるというように書いてきましたが、現実には自分が誰かの影響を受けて行動をするということがあります。両面思考が必要ですね。
●私たちは自分が影響を与えるというだけでなく、セールスマンや広告、ドラマや小説、ゲーム・コミックなどの他からの影響を受けて、意思決定を行い行動することが多いという認識が必要です。
●では自分が影響力を発揮するのに必要な要素である力の「源泉」について考えてみましょう。
「影響力の源泉」にはどのようなものがあるでしょうか?
これもちょっと考えてみてください。(ここでは自分が相手に影響力を与えるという前提です。)
●「ひとりブレーンストーミング」をやってみてはいかがでしょう?
例えば・・・・・・・私が行った事例は以下のようなものです。
①金を持っていて、自由に使える。
②地位(権限が使える範囲が広い)を与える権限がある。
③普通の人が知りえない専門知識がある。
④成果を出した実績がありその手段・方法を知っている。
⑤後ろ盾がある。(人脈力)
⑥人望がある。(人格力)
⑦人の話をよく聴けて、理解を示し共感することができる。
⑧怖さとやさしさの両面がある。
⑨「ごますり」が上手である。(戦略的ゴマすりのすすめ→中野雅至氏)
⑩共感を得られる高い志を持っている。
⑪見た目が良い、所作が洗練されている。
まだまだ出てくるでしょうね。このように情報を広げて確認するという行動は、複数人で行った方が効果的です。一人より複数人で行う方が効果的というのがブレーンストーミングの良いところです。
●ここまで行ってから思い出しました。当社代表が編著の「きほんからわかるリーダーシップ理論」(2011年刊)の中に『パワー理論』の紹介があります。
●フレンチとレイブンという方が提唱する「影響力の源泉」6つのパワーというものです。その6つとは・・・
①強制パワー ②報酬パワー ③正当パワー ④準拠パワー ⑤専門パワー ⑥情報パワーです。
それぞれの意味するところは本書をお読みください。
●私はリーダーシップ理論の中でも「パワー理論」は好みです。なぜなら現実の世界ではこの考え方にマッチするような出来事が多いからです。実践的だと思うんです。先にあげた私の「ひとりブレーンストーミング」の結果をこの理論の分類に整理することもできます。勿論そこからはみ出すものもいくつかありますが…。
●興味を持たれた方はご自分で試してみてください。本書ではこの理論から学べることや正しい使い方にも言及されています。パワーを駆使して権力を手にした人が陥る落とし穴には気を付けなければなりません。
●最近テレビ大阪で正午から毎日再放送されている韓国歴史時代劇「イ・サン」でも、王様「正祖」(チョンジョ)の側近、ホン・グギョンの栄光と悲劇が描かれています。王様に対する忠誠心の強さゆえ、権力の使い方や己の野心との折り合いが上手くコントロールできなくなる人間の弱さが伺えます。
●日本の大河ドラマ、「軍師官兵衛」からもパワー理論の事例を学ぶことはできます。官兵衛の成長と共に変わっていく影響力の源泉、変わらぬものは何かなど見極めるのも私の愉しみです。権力を手にした秀吉の変貌ぶり、側近石田三成の嫌われ方など、興味のある方はそのような視点からもこのドラマを楽しんでください。
●それと影響力というのは状況によって変化させなければなりません。例えば社長の場合、創業したての頃と中堅企業になった頃、大企業にまで成長した頃では求められるものが変わってきます。
●普通の組織人でも、平社員と管理職では変わってきます。非営利組織と利益を追求する企業でも違うでしょう。状況とパワーの源泉との関係からその時々に必要な「力」を駆使して反応を見極めなければなりません。
●行使する人に客観的な視野や人間に対する洞察力が備わっていかないと、裸の王様になる危険性もはらんでいます。影響力とはそれを受け止めた人(認知した人)が感じて初めてその効果が発揮されるわけです。
適切なパワーの使い方ができるようなリーダー、マネージャーになってください。
●尚、状況には「組織文化」「相手の成熟度」「相手のバックボーン」「相手の価値観」「利害関係」「地位」などが考えられます。
●「きほんからわかるリーダーシップ理論」ではパワー理論を使った研修カリキュラムも紹介されています。仕事で人の上に立つ人にはぜひ学んでいただきたい考え方です。
●『影響力』についてはリーダーシップ、マネジメントの研究分野でも進んでいます。組織の中で働くステージでも、入社して「学習する時代」「自立する時代」の次にくるのが「影響力を発揮する時代」です。
●この時代に差し掛かった人にはぜひ学んで実践していただきたい『力』です。
しかし影響力のほとんどがその状況のなかで対象となる相手に認められている間だけ存在するものです。「いつまでもあると思うな影響力」という自戒も必要です。<完>
- 登録日時
- 2014/08/21(木) 11:28