仕事のやり方の基本の「き」はP・D・S
●立春を越え新入社員や新任管理者の教育の季節がやってきました。ハーバードビジネススクールのカッツ教授は人間の能力を3つに分類されました。専門的な技術・技能を「テクニカルスキル」、対人間関係力を「ヒューマンスキル」、概念化能力を「コンセプチュアルスキル」と表現されています。
●これらのスキルが教育の対象になりますが、カッツ教授は職位のレベルによって求められる能力のウェイトが違うということも言われております。私もこの分類を借用してお話することがあります。しかし他の分類を使うこともあります。例えばよく使うのが…
●明治大学の斉藤孝教授が提唱されている「知・情・意・体」です。(これについては別途書きます)この他にも「読み書きソロバン・外遊び」というのもありましたね。(最近小中学校の道徳教育の強化に関連して、塩谷文科相が発表された「心を育む5つの提案」の中の1つに入っています)
●これらに共通するのは人間の能力をある要素分類で分けて、個別に強化していこうという発想です。それはそれで適切な内容とレベルと指導方法が確立されていれば効果が高いと言えます。
●しかし、私はよりよく仕事をしていく根っ子にある能力は昔から(30年以上前)いわれております『P・D・S』にあるのではと思っています。P・D・SとはPlan(計画)、Do(実行)、See(反省)と解釈しています。
●計画とは何かをする時にその目的(目標)と理由を明らかにし、より良く達成できるように論理的に筋道のたった手段を5W2Hで組み立てること。実行とは計画を拠りどころに関係者が力を合わせ目的(目標)に向かって打ち込んで行うこと。反省とは結果をよく見て考える、つまり実行した結果と目的(目標)の差異を明らかにし、分析を行って評価をし、次に活かすこと、次の課題を見出すことだと定義しています。
●なぜP・D・Sが仕事の基本かといいますと、ひとつは私たちが時空間に生きている存在だからです。特に時間という概念は何かを成し遂げるには重要な要素です。限られた空間と時間で事を成すのが仕事です。ただ闇雲に動き回るのが仕事ではありません。限られた時空間で効果と効率の2つを追求しなければならないのが仕事だからです。
●もうひとつの理由は能力開発の対象となる能力要素の分類と違い、新人であろうと中堅であろうと上級者であろうと全ての人に共通する必要な能力だからです。物心ついた時からわたしたちはP・D・Sをやらねばうまくいかない状況に置かれるのですが、意識的に行う人とそうでない人との間には目的(目標)達成への努力の効果と効率が大きく違うからです。
●またビジネス社会で働くようになって30年、40年という時間の中でどなたでもやろうと思えば磨き上げることができる能力です。どのような仕事に就こうとも、意識次第でこの素晴らしい方法を優秀なものにすることが可能なのです。
●ビジネス社会で紹介されている幾多のハウツウも基本にP・D・Sを置いて関連付ければ体系づけることが可能です。例えば、問題解決手法や戦略立案手法もP・D・Sに含まれます。コミュニケーションスキルもリーダーシップもしかりです。
●新入社員や新任管理者の教育を計画する前に、ご自身の能力体系をP・D・Sで整理されてみては如何でしょう。マインドマップやフィンランド式「かるた」やバタフライツリーなどを使って基軸に『P・D・S』を置いていただいてご自身の経験やフィットした学びを融合させてオリジナル能力体系を創られることもご自身の能力開発に役立つと思います。ぜひお試し下さい。
- 登録日時
- 2009/02/05(木) 11:05