【2014年12月のトピックス】
『読みながら考え、考えながら読む』西松屋の大村社長の読書法に学ぶ
■この頃すっかり本を読むのが億劫になりました。小説もビジネス書も趣味本も食い散らかすようにつまみ読みするだけです。どちらかというとレンタルDVDを見る機会が多くなりました。そんな時に12月22日の朝日新聞に「リーダーたちの本棚」で表題の西松屋チェーンの大村社長の記事が出ていました。
●西松屋チェーンは兵庫県姫路市に本社を置く「ベビー・子供用品チェーン店」です。業績は全国に870店余りを展開する20期連続増益の優良企業でもあります。大村社長は山陽特殊製鋼(小説:華麗なる一族のモデルにもなった)から1985年に転職されて、2000年から社長を務められています。現在59歳のようです。
●西松屋さんの経営モデルは独自のシステム化されたものです。その源流は日本リテイリングセンター代表だった故・渥美俊一先生が米国から輸入されたチェーンストア理論に基づくものでした。
●最近では渥美先生のチェーンストア理論を否定するような論説も多く出ていますが、現実には西松屋チェーン、ニトリ、サイゼリアなど大手チェーンや私の住む神戸のローカル食品スーパー「マルハチ」などが成功企業として名を馳せています。
●いずれにせよどんな企業も過去の理論をそのまま遂行するだけでなく、実践を通じて独自の創意工夫を積み重ねているものです。ですが土台となる考え方、技術はチェーンストア理論からあみだされたものでしょう。特に西松屋さんの事例は「システム思考」が徹底されています。しかもそれは机上の理論ではなく「現場志向」に基づくものです。
●大村社長のおススメ本は渥美先生の著書だけでなく京セラの稲盛和夫さんの「生き方 人間として一番大切なこと」を紹介されています。その紹介で印象深いのは次のような箇所です。
●「こうありたいと願ったなら、あとはすざましいばかりの強さでその思いを凝縮して、強烈な願望として高め、成功のイメージが克明に目の前に『見える』ところまで持っていく」。この言葉のように自分にも「見えた」瞬間があったと述べられています。
●店の未来について考えに考え抜いたときに現在展開している西松屋の店舗レイアウトがカラー付きで見えたそうです。それは本を読んでそうしたのではなく、ご自分の体験を後日、稲盛さんの著書で確認、共鳴したということです。
●私はかつて師匠にあたる人から、自分の事業について「必死に格闘して考えれば」そこから「これだ」という未来の戦略が閃く(見えてくる)という教えを得たことがあります。
●その時は意味がよくわかりませんでした。そういう経験がありませんから、戦略とは「現状把握と分析に基づいて未来の目的・目標に対して競争相手を意識しながら、独自の戦い方をあみだすもの」と理解していました。
●後年、それは事業運営の拠り所にはなるが、現実には絵にかいた計画通りにはなることは少なくて、必死に格闘する中で思いもかけない関係ができるとか、手段・方法が閃いてそれが成功につながることを経験、見聞しました。
●今回、大村社長のご体験を記事で読んで思わず切り抜いた次第です。その大村社長の読書法が最後に語られています。それが表題の『読みながら考え、考えながら読む』ということですが、それは記事を引用してお伝えします。
●「中国古典からの1日1言」という本から、以下引用「常に心に刻んでいるのは、『まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり(自分を鍛えようとする自覚的な努力が必要)』「大学の言葉」です。
●『学びて思わざれば則ちくらし、思いて学ばざれば則ちあやうし、(読書にのみふけって思索を怠ると、知識が身につかない。思索にのみふけって読書を怠ると、独善的になる)』「論語の言葉」は私の読書信条です。<漢字が見つからず平仮名にしているところはご容赦ください‐筆者>
●読んだ本が自分の人生や仕事にどう役立つのか、考え抜く。小説もそうした実用主義的な読み方をします。また、この言葉は経営信条でもあります。我流のビジネスにならないように、業界を問わずあらゆる経験則を学び、よく考え、実践し、さらに学ぶ。その繰り返しを怠らないようにといつも肝に銘じています。
引用はここまで。
●素晴らしいお考えだと思います。大いに共感し共鳴します。西松屋の株は買いですね。(笑)-注:しかしよく調べてから判断しなければなりませんよ。
●西松屋チェーンの創意工夫によるシステム経営はぜひ学ばれると参考になることがいくつか発見できるでしょう。ネットで概要を知ることもできますが経営雑誌で時々特集が組まれています。興味のある方は注目しておいてください。
●最後に大村社長が新聞紙上でお勧めの5冊の本を紹介しておきます。
①『21世のチェーンストア チェーンストア経営の目的と現状』
(実務教育出版) 渥美俊一著
②『チェーンストア経営の原則と展望(全訂版)
(実務教育出版) 渥美俊一著
➂『生き方 人間として一番大切なこと』
(サンマーク出版) 稲盛和夫著
④『渋沢栄一 徳育と実業 錬金に流されず』
(国書刊行会) 渋沢栄一著
⑤『中国古典 一日一言』
(PHP文庫) 守屋 洋著
●『読みながら考え、考えながら読む』年末年始の読書の参考にしましょう。俳優、堺雅人さんのスカパーのCM「年末年始はテレビの前で時間を棒に振ってみませんか」に惑わされたり唆されたりしてはいけませんよ。(笑)<完>
■クリスマスが終わりスーパーマーケットでは正月用品の品ぞろえが拡大しています。私の不思議は、「かまぼこ」の品ぞろえが変わって値段が急騰することです。普段の100円から200円の商品が陳列棚から消えています。大晦日の年越しそば用の通常品を求めて探しました。ようやく入手しましたが、なぜ正月用の蒲鉾しか置かないんだ!
- 登録日時
- 2014/12/26(金) 17:51