【2014年12月の雑感②】
大晦日に思うこと
■そうかもう今年も終わるのかと、「ゆく年を見送ってたたずむ思いと、くる年を迎えに先急ぎする気持ちが混じり合う。」(「」内は天声人語 の書き出しを拝借しました)。続いて「喜怒哀楽を積み上げた1年を納める」とあります。
●後半の「喜怒哀楽」に心が引っかかりました。喜怒哀楽とは人間の感情を具体的に分類した表現です。喜び、怒り、哀しみ、楽しみの4つに分類しています。他にも慈しむや愛するなどがありますが、先の4つは的確な表現でしょう。
●私はできれば喜びや楽しみが多く、怒りや哀しみが少ない人生でありたいと願うものです。
●この4つの感情の表現を眺めていて思うのは、「楽しみ」は能動的なものであるけれど「喜び」「哀しみ」「怒り」は受動的なものだということです。楽しみは自分の意思で行うものですが、その他は外からの何らかの働きかけの結果生まれる感情ではないでしょうか?
●そうすると「楽しみ」に焦点を当てて、いかに「楽しむ」のかを考えるのが必要になります。私の場合は「楽しむ」を「愉しむ」という字の方を使います。なぜならこの方が『こころを前向きにする』と解釈できるからです。「楽」の方はリラックスする時に使います。
●そこで「愉しむ」ことの一番の分野は『仕事』だと思います。仕事を通じて人の役に立つことに「喜びを見出す」のが最上だと考えています。仕事以外の分野には「家庭・家族」や「趣味」、「健康」、「信仰」などがあります。どこに愉しみを見出すかは各人の価値観の問題ですから他人に強要するものではありません。
●仕事を愉しむ方法は、常に「①ねらい(目的)を定める」、「②手段方法を創意工夫する」、「➂結果を検証(実態を把握)しながら次の手を考える」ことにあると思っています。そしていつも対象となる相手の立場にたって考える習慣を身に着けることです。
■今年は昨年と違って腰痛が出ませんでした。それだけパソコンに向かう時間が減ったのかもしれません。健康には問題のない1年でした。少しずつ衰えてきているのでしょうが、よく眠り、ほどほどに食べるのが良いのでしょう。そして本欄に61篇目を書いている(月平均5編)コラムが私の脳を活性化させてくれています。
●長年続けてきた研修テキストを最新のものに更新し続けているのも良いのかもしれません。仕事の全盛期よりも今の方が内容は数段良くなっているのは皮肉なものです。
■昨夜のプロボクシング、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチにおける井上尚弥選手の試合は久々にボクシングの醍醐味を味わわせてくれました。ゲスト解説の香川照之さんが興奮していましたが同感です。
●新旧世代交代を実現しました。スポーツの世界では若さは武器です。長くタイトルを保持してもらいたいですね。今夜もトリプル世界タイトル戦が行われますが、(実際は昼間に行われる)良い試合を見せてほしいものです。
●世代交代と言えば昨日観た故菅原文太さん主演のDVD「仁義なき戦い‐完結編」でも、「世代交代」がテーマになっていました。人生の第4楽章、冬の時代を迎えている私には共感する内容です。「ぼんくら」が頭に立たないようにしなければいけませんね。
●菅原文太さんと言えば、同世代の高倉健さんも今年故人になられました。いずれも男性の平均寿命になられての旅立ちです。ご冥福を祈ります。高倉健さんの映画はあまり見ていませんが、「八甲田山」と「駅」だけは見ました。
●特に「八甲田山」は昔、リーダーシップ研修のテキストになったので新田次郎氏の原作やこの映画を観たものです。組織の指揮系統のあり方、チーム編成、準備力の重要性、状況判断力、面子にこだわらず専門家の助力を得ることなどが学びの対象だったと記憶しています。
●ですが私はそもそもこの行軍訓練が何のために行われたのか、その必要性、が問われなかったのが問題ではないかと思います。そして昭和の敗戦まで日本軍隊を支配する精神力の異常なまでの重視、論理的思考の欠如などを反省材料にすべきでしょう。
●もうひとつ印象に残っていることがあります。遭難する部隊に所属する緒方拳さん演じる兵隊が、個人の知識からから体に新聞紙を巻いて防寒に役立て生き残ることです。私も同じ状況なら自分は何とか生き残る手立てと行動を考えるだろうと思うのです。(自我が強いですから‐笑)
■年末年始の暴飲暴食に注意しましょう。生きていることの大部分は欲望を満たすことです。なかでも食欲は人間の3大欲求のひとつで、しばしば好みのものを食べすぎる過ちを犯します。
●眠りから覚めた時に手をぎゅっと握ってはれぼったいと感じたら食べ過ぎの危険信号です。ご注意ください。
■BGMはクラシック音楽です。ベートーヴェンの第9交響曲「合唱」はフルトヴェングラー指揮のもの、続いてドヴオルザークの第9交響曲「新世界から」でまもなく終わります。
●新年はマーラーの第2交響曲「復活」です。1月17日に佐渡裕指揮のPAC定期演奏会で、阪神淡路大震災後20年を迎えて夕方5時47分から演奏されます。私の愛聴CDはズービン・メータ指揮、ウィーンフィルのものです。元旦のウィーンのニューイヤーコンサートはメータさんが指揮します。不思議な偶然です。
●そうかもうあれから20年か、思えば壮年期に大震災に遭遇し試練を経験しましたが、なんとか生き抜いてこられました。他人に迷惑をかけたことを詫びつつ、感謝の気持ちでこれからも命大事に、生愉、生哀、生穏で生きます。
●読者の皆様、どうぞ健康で良いお歳をお迎えください。
夕暮れ近づく大晦日にて。
<完>
- 登録日時
- 2014/12/31(水) 14:54