人の能力を『知・情・意・体』の視点で捉える
●明治大学教授の斉藤孝さんの著書「話す力」(大和文庫)の中に「知・情・意・体」という人間の話す力を説明するためのフレームワークの紹介があります。
●斉藤さんは知とは「知性」、情とは「感情」、意とは「意志」、体とは「声の調子やジェスチャー、顔の表情」と言っておられます。そして中心には「体」をおいて説明されています。
●最初の「知・情・意」は夏目漱石の小説「草枕」の冒頭に出てきます。「知に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかくこの世は住みにくい…」と続きます。
●実は私も数十年前からこの言葉を使わせていただいてアレンジしておりました。わたしのアレンジは「心・頭・体」です。心には情と意を含め、情は感情と情熱、意は意志と意思、頭は知識と知恵、体は行動(量×質)という具合です。
●きっかけは亡き父が、私が18歳で故郷を出るとき色紙に漱石の言葉を書いてくれたからです。いまでも我が家に松下幸之助翁の「青春」という色紙と共に飾ってあります。(これはどこで手に入れたか忘却しました)
●こういうフレームワークを人間の能力を表現する視点のひとつとして持っていますといろんな発想が整理しやすくなります。例えばルートセールスマンに必要なコミュニケーション能力を説明したことがあります。
●知には情報、提案、実演内容と方法があり、情にはお客様への愛情(担当のお店の業績を良くしたいという思い)や相手の感情の受容と理解、意欲を引き出す動機付け、勇気づけ、あるいは意思を伝える事の重要性などが整理できます。
●そして「知・情・意」は人間の意識を表現していますから、斉藤先生がおっしゃるように「体」が人間そのもの全体をあらわすものとして捉え、行動したしたことでないと伝わらないし、結果が出ないという説明をいたします。
●前回お伝えした仕事のやり方の『きほんの「き」は「P・D・S」である』という中で、人間の能力をどのように捉えるかという視点のひとつとして書いたものの解説でした。
●他人に影響を与える立場にある方に必要かつ重要な能力は視点を広げ、高くすることだとお伝えしています。それも現実から目をそらさず事実は事実として客観的に見る努力をしながら、主観を大切にしなければ生き抜けないと思うからです。
- 登録日時
- 2009/02/05(木) 11:08