▲太田氏の著書の表紙です。私は本書を読んでいません。DVDを拝見しただけです。(2014年刊)
【2015年1月の今月観たDVD】
『思考を広げる・まとめる・深める技術』太田薫正氏<前篇>
■このDVDは昨年末に観たものです。テレビの収録放映のように昨年の収録を今年に放送するようなものです。当時のメモを基に内容を紹介します。とても分かりやすい構成で、「思考方法」についての基本となる技術の1つでしょう。
TSUTAYAでレンタルしていますから興味が湧かれた方は借りてご覧ください。
●著書も出版されているようです。著者の太田薫正氏はコンサルティングファームのマッキンゼー出身で、現在は政府関係の仕事もされているそうです。
●世の中で生きていく上には「問題解決」能力が求められます。その能力を磨くには「基本的な考え方」が身についていないと難しいと言われます。ですが特別に難しいことではなく、基本を身につけるよう毎日練習をしていけば運動と同じように能力はアップすると提唱されています。
●その内容は大きく3つの要素で構成されています。それぞれについて詳しく項目的にお話しされています。その3つの要素をバラバラにするのではなく、お互いに関連させ1つのストーリーとして使うのが効果的でしょう。
●その3つとは、①広げる ②まとめる ➂深める(確かめる)というものです。
広げないと新しい発想は生まれにくい、広げたものはまとめないと理解や人に伝えることがしにくい、まとめたものが正しいか正しくないか、あるいは役に立つか否かを確かめないと使えない。
●この①広げる ②まとめる ➂深める(確かめる)の3つのステップを思考方法の基本として、仕事や日常の問題解決に使っていけば、思考能力は向上するというのがこのDVDの教える内容です。
●この考え方はファシリテーション技術でも使われています。特に広げる(拡散)、まとめる(収束)は同じ方法です。最後の深めるは「意思決定」となっていますが、共通するものがあります。
●具体的な問題が発生したからそれを解決する場合と何かしらテーマを設定して、企画を考える場合にもその思考の基本には①広げる ②まとめる ➂深める(確かめる)は使えますのでまだ身についていない方はぜひマスターしてください。
●以下、それぞれの項目の解説をダイジェストで紹介しておきます。詳細はDVDをご覧になるか著書を読んでください。考えることの奥深い能力開発の旅に出られんことを期待します。
●Ⅰ、『広げる』
広げる目的は新しい発想を生み出すことであるとしかおっしゃっていませんが、もうひとつは問題の要因や原因に近づくためというのがあるのではないでしょうか。(筆者の見解)
●6つの具体的な方法を紹介してくれています。
①材料を集める。
紙を使って思いついたことを書き出す。
(何かを発想する場合はそうですが、問題解決の場合は「実態を把握」することになるでしょう‐筆者の見解)
●②分けて、広げる。
グルーピングしてからグループごとに広げる。
実習では「知人」を思い出す訓練が紹介されています。例えば「親族」「会社関係」「取引先」「学生時代の友人」「近所の人」などですね。
●➂変える。
属性をひとつずつ変えることで新しいアイデアを生み出す。属性とはそのものがもつ用途、経済性、特長、長さ、カタチ、色などです。
実習ではボールペンの商品開発、環境保護団体の属性が取り上げられます。
●④フォーカスする。
重要なところに集中する。例としてボールペンなら書くこと以外にフォーカスを当ててみる。
●⑤表を埋める。
縦軸と横軸でマトリックス表を作ってそのマス目を埋めていく。
●⑥隙間を考える。
二者択一ではなく中間を考える。例としてコンビニの来店客を分析する場合、何かを買うと決めて来店する人VSぶらりと来る人だけでなく、その中間の存在の人の存在を考える。(この場合は来店動機でしょうね‐筆者注)
■小売業で働き、コンサルティングもしてきた私にはあらためて共感すべきことがあります。店内ミーティングでも予告と準備をしておけば、30分でかなりの量の有益な情報が集められます。(各人がカードに書いて、読み上げて貼りだせば収束も容易になります)
■注意点は発想ミーティングでは思い付きや自論で良いのですが、問題解決の場合はできる限り事実情報が必要です。ですが私たちは現状を「自分の見たいように観る」「先入観にとらわれやすい」「事実をあるがままに観るより、自分の解釈で見る」「事実と意見を混同する」という特性があることを認識していなければなりません。
●Ⅱ、『まとめる』
広げたものの中から良さそうなものだけ選んで、残りは捨てる。基準は直感でも良い。(この思考法が何かを発想するためだということが分かります。問題解決の場合は、要素の分類と、事実か意見かの見分けが必要になり、捨てることは少なくなります‐筆者注)
●①命題にする。
主語○○は述語○○であるというように文章化する。多くのアイデアから文章化して塊にしていく作業が必要。例題では「主張する」を命題にする実習が行われる。(これは練習しないと難しいかもしれません。講師も広げるとは関係のない例題を出されるので、「広げる」と「まとめる」の事例が出ない。要素をバラバラにすると理解しにくい。ストーリーで展開すべきです。‐筆者注)
●②束ねる。
関連するグループごとにまとめる。(ここで出される例題も新しいものなので分かりにくいと思いました。‐筆者注)
『MECE』を紹介されモレとダブリがないように分けることの必要性が語られます。但し「束ねる」段階ではそこまでシビアにしないでよいとのこと。
●➂名付ける。
曖昧な現象に名前を付けることではっきりしたものにしていくのがねらい。
ここでも例題が変わります。(これも私には分かりにくかったですね。‐筆者)
●④軸で整理する。
縦軸と横軸で整理してまとめる方法。できる限り広げた要素を単純化するのがねらいです。
軸で考えるというのは全体像をつかみ、配置(ポジショニング)を考えることである。
●練習では「日本の学校をどのような軸で分類できるか」という例題が出されます。受講生も公立と私立とかに分けていましたが、ありきたりですね。私は学ぶ分野と生徒数で分けることを思いつきました。教養全般VS専門分野と大人数VS少人数です。人数には基準が必要でしょうけれども。
■まとめることを収束とも言います。この段階で必要な方法を紹介してくれていますが、実践上では、この段階でテーマとねらいの再確認が必要です。何を求めるためにアイデアを出したのか、あるいは要因や原因を見出すための事実情報を集めたのか、ねらい(目的)と対比することが重要ポイントです。
■そのうえで、どういう視点で収束するのかを参加者(メンバー)に問いましょう。大きなプロジェクトでは講師の4つの方法が有効でしょうが、店内ミーティングなどでは、リーダーはあらかじめ視点の候補を持っておくべきです。
効果対優先順位、効果対実行可能性、効果対費用などですね。
■ここまで長くなりました。まだもうひとつⅢの『深める』(確かめる)が残っています。これは後編として後日アップいたします。 <完>
- 登録日時
- 2015/01/25(日) 10:54