【2015年1月の今月観たDVD②】
『思考を広げる・まとめる・深める技術』太田薫正氏<後篇>
■前回の続きをお伝えいたします。
●Ⅲ、『深める』(確かめる)
物事を決めるときには「良い、良くない」「正しい、正しくない」「役に立つ、役に立たない」というような『判断基準が』ある。
それを見極めるにはいくつかの方法がある。
●①命題を明確にする。
例題をあげて解説。「大都市では公共のトイレが多い」という命題について考えてみると。
この場合、日本のことか否か、大都市の基準は、公共の範囲は、多いということの比較基準は、など「命題の曖昧さ」に気づくことがポイントとなる。
●②具体例で考える。
「具体例を挙げて考える」と気づくことは多くある。
●➂例外を考える。
例:コンビニの品ぞろえが良いか否かを考える。この場合、子供が行ったら、外国人が行ったら、出張先で行ったらというように極端なものを入れて、「命題の限界」を考えるのである。
●④全体から見る。
あることが正しいか否かを判断するときに「より広い範囲」から見ることが必要
また「時系列や比較対照」で見ることも必要、例えばタレントで成功する人の要素と一般社会で成功する人の要素を比較すると、同じことは何か、違うことは何かと理解がしやすくなる。
●⑤複数の側面を考える。(これは多面的思考です)
●⑥矛盾を解消する。
自分が集めた情報について矛盾を見つけそれを解消する。(間違いの発見、両方を含む大きな概念をつくってそこに含めるなど)
●以上が太田氏の講義の内容のエッセンスです。思考を「広げる」、「まとめる」、「深める」(確かめる)の3つのステップで考えるという提唱はわかりやすいですね。
3つにまとめる効果は覚えやすいことにあります。商売におけるキャッチフレーズでも、吉野家の「はやい、やすい、うまい」は有名です。
■先日NHKのEテレで「高校講座-日本史」を観ていますと、重要な項目を3つにまとめて説明していました。例えば豊臣秀吉の回では、①天下統一 ②検地・刀狩 ➂朝鮮出兵という具合です。秀吉には他にも業績は有ったのでしょうが、重要なもの3つに絞られると記憶しやすいものです。
●尚、太田氏はすべてのテーマで3ステップどおりに行う必要はないとおっしゃっています。状況に応じて選択すればよいとのことです。そして最近の傾向としては「広げる」にもっと注力してもよいのではないかとも。まとめ方に注力し過ぎないことも必要だということです。
●仕事は時間との勝負の面がありますからついつい早く答えを見つけようとします。それが広げるステップの時間を短くするのではないでしょうか。私の場合はこの広げる段階を日ごろからメモすることで準備してきました。問題意識を継続して持つ習慣が大事だと思います。(筆者の見解)
●思考法については他の方も自論を述べられています。学ぼうとする者も3つぐらいの違う視点のものを学んで比較すれば理解が深まるでしょう。
●尚、今回の太田氏の思考法は「何かを生み出すための思考法=創造的思考」に主眼が置かれています。前回も触れましたが、問題解決の思考をする場合は少しアレンジする必要があります。現状から何かを創造することと、現状が拙い状態に陥っている時にそれを改善するための思考法には手段の違いがあるからです。
■今回のDVDでは私も十分に理解できないことがありました。太田氏が要素ごとに違う例題をあげられるので、全体の流れとして理解しにくかったのです。ある命題について、「広げる」「まとめる」「深める」をストーリー型で実習していただいた方が分かりやすかったと思います。
●ですがそれは私が実践すればよいことなので、批評しておしまいというわけではありません。私が『携帯ショップの売場づくり』で提唱する『販売のストーリー化の10の要素』はまさにこの3つのステップで違う光を当てることができます。実践してみたいと思います。
●読者の皆様のなかでも太田氏の教えに共感をされたなら必ずやこれをご自分お仕事の中で実践してください。本を読んで知識をため込んでも実践で使い、効果を上げなければ何の意味もないと思います。「知行合一」の実践です。
●『学びて思わざれば則ちくらし、思いて学ばざれば則ちあやうし、(読書にのみふけって思索を怠ると、知識が身につかない。思索にのみふけって読書を怠ると、独善的になる)』「論語の言葉」も先月の本欄で紹介しました。
●勿論、役に立たないと思えば観る(読む)必要もありませんし忘れることです。(笑)
●今まで本欄でも紹介してきましたが、私のシンプル理解法にもうひとつ今回の方法が加わりました。
マーケティングでは「①誰に、②何を、➂いかにして」(いかにしてはさらに4つに分類されます)がキーワード。
●マネジメントは「①知って、②つかんで、➂動く(動かす)」です。そして思考法は「①広げて、②まとめて、➂深める」です。このように3つにして覚えれば、ストーリー(流れ)も要素の掘り下げもしやすくなり、多くの要素が体系的に頭に入ってきます。
●今年も本質的なことを押さえ、目的(ねらい)を明確にして、手段の創出を愉しんでみたいと思います。読者の皆様の参考になることを本欄で提供できれば幸いです。引き続きご笑覧ください。
<完>
- 登録日時
- 2015/01/28(水) 09:55