▲福寿草の花。花言葉は「幸福」ですが、「災い転じて福となす」という意味があるそうです。今回取り上げた話題の大塚家具さんもそうなっていただきたいと思います。
【2015年3月の提案】
大塚家具のお家騒動記事から学ぶこと
■今年初めから先週までマスコミをにぎわした大塚家具のお家騒動も一応の決着をみました。経営者としてはこれからのかじ取りが重要です。結果を残さなければ再びマスコミの餌食になるからです。
●このような出来事は私もサラリーマン時代に勤めていた会社で似たような経験をしました。デジャブ―というやつですね。ですから好奇心が刺激されついついその経緯を注目していました。
●お家騒動とか骨肉の争いなどいくら見てもビジネスパーソンとしては何の役にも立たないでしょう。ですがこれだけ注目されると何人もの識者がご自分の見解を述べられています。報酬をもらっての仕事ですから有益なものがあります。
●それらの中から私が思う読者の皆さんの役にたちそうなものを紹介しておきます。いずれも東洋経済オンラインで発信されたものです。
まず調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏の意見から。
●http://toyokeizai.net/articles/-/61988 【坂口氏】
クリックすると記事が参照できます。ケーススタディの著述のようです。タイトルは『大塚家具、「お家騒動」で見落とされた本質。』その内容はサブタイトルにある家具業界への2つの革命と3つの減速要因とあります。大塚家具の過去の成長要因と近年減速した要因がコンパクトにまとめられていて参考になります。
●これからの処方箋については述べられていませんから、ケーススタディの課題として、これからの成長戦略と元会長に育てられた従業員(60代が多いとのこと)をどのように活用するかなどを考えるのには参考になると思います。
次は公認会計士、税理士の前川修満氏の意見です。
●http://toyokeizai.net/articles/-/62902 【前川氏】
クリックすると記事が参照できます。タイトルは『大塚家具の対立、見逃された「3つの視点」』。その内容は決算書で読み解くそれぞれの経営哲学。この記事が一番長く、9ページあります。公認会計士らしく決算書から読み解けと提案されています。しかも企業の決算書は「下」から読むべしと提案されているのが特長です。
●企業活動の結果を数字で表す決算書は粉飾しない限り嘘をつきません。これを下から読んで分析するというのはビジネスパーソンにとって役に立つ視点です。優秀な企業幹部、経営者にとってはあたりまえのことですが、これからその道を目指す方はぜひ参考にしてください。
●最後は経営コンサルタントの小宮一慶氏の意見です。
小宮さんは著書も多く、関西の昼のローカル番組「ちちんぷいぷい」のコメンテーターとして企業問題を易しく解説してくれています。
●http://toyokeizai.net/articles/-/63511 【小宮氏】
クリックすると記事を参照することができます。タイトルは『大塚家具とニトリはどこで明暗が分かれたか』。サブタイトルは「社長解任騒動の背景に何があるのか」、これが内容のポイントです。
●小宮さんも損益計算書と貸借対照表という決算書を使って分析を始めます。
リーマンショック以降、ニトリやイケアにお客を奪われたという見解は他の方と同じです。高価格品を購入するお客は変わらないが、中価格帯以下の購入客は奪われたというものです。
●売上の低迷が1人当たりの生産性の停滞を招き、在庫回転率も悪化しています。これらを解消するには経営方針、戦略計画の転換が必要ですがそれも上手くいっていないのが実情のようです。ですがそれが今回のような騒動になるのはおかしい、他に親娘の確執があるのではというのが小宮氏の見解です。
●また戦略の転換は一部の店で実験しながら判断すれば良いという提案もされています。企業としてねらう客層と品ぞろえを変えるのは容易ですが、売り方を変えるには時間がかかるでしょう。
●しかも競争相手と差別化する価値を提案するには、今までの強みを活かしながら、新しい客層に訴求しなければなりません。しかも高齢化、高給化した従業員の生産性を上げるにはシビアな対応が必要でしょう。
●私は、大塚家具の中期経営計画(久美子社長が発表されたもの)をネットで拝見いたしました。
必要な方はネット検索でご覧ください。URLを転記しようとしましたがウィルスの警告が付いています。アクセスが多いので気をつけねばなりませんね。
●内容はよくできていると思いますが成功するか否かは私にはわかりません。戦略転換は実行段階で容易ではないからです。職人芸とホットでウェットな企業体質からクールでドライな体質に転換するのは相当難しいと思います。
●企業ビジョンの見直し、経営理念の再構築とこれらの徹底をはかるための戦略計画とその実行ということが必要です。そのためには人と組織、リーダーシップのとり方が問われます。いずれにせよ久美子社長にとっては茨の道でしょう。
●ですが部外者である私たちは、それよりも中期経営計画書のフォーマットを参考にされれば良いでしょう。これはよくできていますし、応用が可能です。
●今回は大塚家具の事例を識者の見解を参考にケーススタディで思考の訓練をされることを提案いたしました。三面記事的な見方ではなんら役に立ちません。
自分にとって有益なものを見出して学ぶという姿勢が必要です。ぜひお試しください。<完>
- 登録日時
- 2015/03/30(月) 15:05