▲マユミの花:花言葉は「真心」、「艶めき」、「心に潜んだ」、「あなたの魅力を心に刻む」
▲【12月のトピックス②】
神戸大学 小川 進教授のマーケティング基礎講座の講義映像<第4講座>
●小川先生の講座解説も第4講座となりました。ここからはマーケティングの打ち手に入ります。打ち手とは手段・方法を創出するのに役立つ考え方です。まずは講義映像をご覧ください。(約19分)
●動画URL【神戸大学のホームページより】
本研究科の小川進教授がマーケティングの基礎について5回シリーズで講義されている動画を更新されました。YouTubeにて下記の各URLより無料で視聴できます。
第4回 https://www.youtube.com/watch?v=VZh1_UDvaAE
第5回 https://www.youtube.com/watch?v=7K4rPt35j2U
●こういう基礎講座を学ぶ意義は売れる販売方法等の手段(打つ手)を考える時に、①その目的(ねらい)は何かを考えることの重要性を知ること。②実行するときは1つの手段に集中することが必要ですが、その場合も全体像(関連する要素)を知っておくこといついて理解することです。
■最初に小川教授からこの講義で目指すものが第1講座で4つの項目で話されています。これが本講座のねらいにあたります。それを再度掲げておきましょう。
●この講座がめざすものは(ねらい=目的)
①マーケティングの基礎(マーケティングの教科書ならどの本にも書いてあること)を学ぶ。
②テクニックではなく本質的な考え方を学ぶ。
➂経営現象の本質を解像度高く理解する見方を身につける。
④マーケティングの専門家になっても、いつでも戻ってこられる思考の原点になる考え方を学ぶ。(これは初心者だけでなく経験十分な方にも学ぶ価値があるとおっしゃっているようです)
●次に本講座の内容の構成は全5回を通じて次の3つを学ぶことです。(学ぶ内容)
①マーケティングの原点
②マーケティングで大切なこと
➂マーケティングの打ち手
■第4講座では➂のマーケティングの打ち手について学びます。(映像は約19分)
マーケティングの打ち手はいろいろありますが、ここでは基本中の基本である次の3つのことが紹介されます。
●それは①市場細分化 ②差別化 ➂マーケティングミックスです。
第4講座では①の市場の細分化について解説されます。第5講座で②と➂が語られています。
●今回は『市場の細分化』です。市場細分化のねらい(目的)は、売り手が市場に同じ刺激(商品や情報)を提供しても人によって反応が違うので、【顧客とのミート率を上げるため】に行うものです。
●最近の事例では年末のNHK紅白歌合戦の出場者を選ぶのに、視聴者を世代別・男女別に細分化して想定し、それぞれに人気のある歌手を選ぶことが挙げられます。昔の紅白歌合戦は歌謡曲が流行の中心だったので、多くの演歌歌手が選ばれました。しかし今日では中高年にこそ演歌は受け入れられますが若い世代には見向きもされませんね。
●NHKでは全体の視聴率を上げるためすべての世代を取り込む必要があります。番組構成上はごった煮のようになりますが、世代別の人気曲、歌手を選び揃え、巧妙に配置することで成果につなげようとしています。
●小川先生は兵庫県西宮市の苦楽園地区のスーパーマーケットの棲み分けの事例を紹介されます。ある所から調査依頼された実例をもとに図表を用いて解説されます。紹介されるのは徒歩10分以内という至近距離にある3軒の食品スーパーマーケットです。
●それは①コープこうべ、②関西スーパー、➂イカリスーパーです。調査の結果主力客層はコープが30歳代の主婦、関西スーパーは40歳代主婦、イカリスーパーは60歳代主婦です。それぞれの世代別に家族構成と食に対する好みや量から品ぞろえ、価格を変えてすみ分けているということです。
●詳細は映像でご確認ください。私の近所にも自宅から徒歩10分前後に食品スーパーが5社6軒あります。調査はしていませんが実際に訪れて買い物しながら観察してみると苦楽園地区ほど棲み分けが出来ているように思えません。
●大丸系の地域百貨店の食品売り場がややイカリスーパーに近いのですが、あとの4店舗は同世代を対象に競争しているように思えます。これは専門的に調査をすれば違いが分かるかもしれませんが、客層を細分化してねらっているようには見えません。
●実際の利用者も重複しているように見えます。ですが本当のところは本格的に調べてみないと分からないものです。
●『市場細分化』についての基準が示されます。どのような細分化の基準があるのかということです。ここでは4つ紹介されます。
①地理的軸→地域によって区分する方法です。
事例として「カルビーのポテトチップス」が挙げられます。いろんな種類が出されていますが、地域によって売れるものが違ってくるというものです。東京では自由が丘と巣鴨では売れる味が違うということのようです。
●テレビで拝見したことがあるのですが、ヤマサキの「ランチパック」も地域によって売れる商品が違うようです。
●②人口統計的軸(年齢、性別、家族数)
これは先のスーパーマーケットの事例が適用できます。家族構成によって食べるものやその量が違ってくるからですね。
●心理的軸(ライフスタイル、性格など)
サントリーの缶コーヒー「BOSS」の事例が紹介されています。
●行動面軸(使用頻度、使用場面)
中高年を対象にしたサプリメントのテレビ通販やスポーツ用品などがこの基準にあてはまるでしょう。
●市場細分化を行う時のポイントが3つ述べられます。
①同質ユーザーがある規模以上存在すること。
②特定メディアや経路で接近可能なこと。女性向けのターゲットが明確な雑誌の事例。
➂測定可能性。
●上手な市場細分化をしている事例には「どのようなものがあるだろうか」という問いかけがされます。受講されている方はカシオの腕時計「Gショック」を挙げられます。小川先生からは「DELL(デル)」のパソコンの事例が紹介されます。デルは初めての方には売らないで法人ユーザーに絞って販売して成功したというものです。
■以上がマーケティングにおける打つ手のその1の内容です。『市場の細分化』においてもメーカーの場合と流通業、サービス業では具体策が違ってきます。市場細分化を行う時の3つのポイントを念頭に、自社の業種・業態では何が有効なのかは「自分で考える」必要があります。その時に重要なのはねらい(目的)である【顧客とのミート率を上げる】ことに最適な手段・方法は何であるかということです。<続く>
■参考資料
マーケット・セグメンテーションの基準
【フィリップ・コトラー教授のマーケティング・マネジメントから加筆・訂正されたもの】
注:手元資料の筆者は不明です。ご容赦ください。さらにそれに修正を加えています。
●①地理的基準
・地域→行政区分が代表的
・人口→都市型、郊外型、農村型などの地域特性別
・気候→太平洋側、日本海側、内陸地、寒冷地、風雪地など
・地域特性→商業地(都心繁華街)、工業地、学園街、団地(中層、高層)、戸建て
●②人口統計的基準(国勢調査など)
・性別→男・女
・年齢→10代、20代など10歳きざみでの分類が一般的
・家族構成→若年1人暮らし、高齢一人暮らし、夫婦共働き2人、子供2人の4人家族等
・職業→公務員、民間企業人、派遣・パート労働者、自営業、専門職など
・所得→年収200万以下、年収300万、400万、500万、600万以上800万、1000万以上
・学歴→大卒、高卒
●心理的分布基準
・ライフスタイル→貯蓄節約型、流行志向型、趣味多彩型、家族志向型など
・性格・価値観→社交的、上昇志向的、子供の教育重視、夫婦2人主義など
●行動的基準
・使用頻度→初回使用(おためし派)、定期的・継続使用
・使用量→トライアル派、ヘビーユーザー
・ロイヤリティ→ブランドへの忠誠心の強度、
- 登録日時
- 2015/12/04(金) 13:44